スカウターⅢ
「感染力が強い!デルタ株の〇〇倍だ!だからマスクや手洗いも無意味!空気感染だ!」・・という短絡的な解釈、してませんか?本日は「強さ」に関するコメントです。
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オミクロン株は「感染力が強い」という事実、どこまで理解できていますか?感染期間中に1人が何人に感染させるかという数(実行再生産数)が増えたから、でしょうか?それもありますが、急激な感染拡大の要因には、もう一つ"世代期間"が影響しているというのが、最新の専門家の見解です。
この言葉、少し前まで"潜伏期間"が短いという表現でしたが、発症の2日前からウイルスを飛散させることから、感染してから飛散させるまでの期間を指すものではなかったんですよね。その期間を示す言葉としてなのか"世代期間"という言葉を見かけるようになりました。
「オミクロン株は世代期間が短い」という点、今まで起きた変化を踏まえると、すごく腑に落ちるんです。デルタ株までは、どこかの国内で感染した後は世代期間になる頃は飛行機の機内もしくは到着した後だったはず。世代期間が短くなったのであれば、国から国への移動中、つまり中継地点となるハブ空港で感染拡大が起きた、というのが一気に世界に広まった要因となります。
では、再生産数と世代期間の関係について、具体的に説明しましょう。例えば、6日後に6人に感染させるケースA(再生産数6、世代期間6)と、2日後に2人に感染させるケースB(再生産数2、世代期間2)の経過を比較するとどうでしょうか?
6日後にAは6人ですが、Bは2日毎に増えた人数が2倍となるため8人となります。12日後にはどうなりますか?Aは36人ですが、Bは64人になります。18日後にはAは216人ですが、Bは512人ですね。
つまり「感染力が強い!」とひとことで言っても、その強さのメカニズムを理解していないと過度に恐れたり、感染対策は効き目がないなど、短絡的な"思い込み"を招いてしまうということ。スカウターで数値を見ても「強さ」は測れないという訳ですね。
事実を理解すること。これは、情報の断片や憶測で溢れかえるニュースやSNS、コメント欄の意見を鵜呑みにしていては、いつまでも理解に到達できません。今起きている現実を理解するために、日本の感染症対策の専門家が示す一次情報を眺め、そこから事実を正しく読み取ることが、私たちに必要なことだと思います。
[2022.01.23投稿]いいね:3
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