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「間」も捉える
昨年2月、日本のAI研究の第一人者、松尾豊教授の講演会を聴講する機会がありました。
教授の書籍や記事に出てくる「ディープラーニングは最小二乗法だ」という話も興味深かったのですが、一番印象に残ったのは下記のような内容です。(私が咀嚼して理解する中で言葉が変わっているため、教授の発言そのものではないので、ご注意を)
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人間は、ものごとをわかりやすい形で見ようとする。モデルや数式、等価回路に置き換えて、捉える。大学の分野も理系・文系と体系を分け、更に細かく専門分野にわける。こうした考え方・捉え方は、要素の「間」にある部分を捉えられず、全体をありのままに理解できていない。
ディープラーニングが進化してフェーズが進むと、モデル化せずありのままに捉えるようになる。この「間」の部分を含めて、AIの判断材料になると、どうなるか。
AIは人間の理解を超える。理解しようとしないことが大事だ。
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1.
ものごとを眺める上で「分けて考える」ことで、表層しか見えなくなっていることは多いと思います。
近年、学界ではこれまでの専門別の学科ではなく、文理融合や総合学科が増えていることから、「全体を捉える」「深く考える」ことを学ぶことが、日本の教育に欠けていた点と認められたのかな?と受け止めています。
他方、産業界が「ジョブ型」に傾倒するのは、こうした流れから逆行している印象なのですが・・
2.
複雑に変化する状況を理解するアプローチが要素還元型、論理的思考で解決できるとは限りません。
モデル化、数値化することが、全容を理解できるとは限りません。何の数字が重要なのかを議論しても、問題を構成する要素が一つとは限りません。
AIの活用に限らず、理解できないことを畏怖と捉えると、本質を見誤ります。
3.
「複雑な世界を複雑なままでは理解するのは大変難しい」
要約したものを見てを理解しようとか、誰かの解釈で、ものごとの一面だけを見て、理解した気になっている、そのことが問題だと思います。
「複雑なので理解できない」で良いのでは?
4.
「わからない」と素直に認めること。
そうすると、見えてくる世界は変わります。
素直に認めた時に「初めて君は笑う」
「染み付いた霧が晴れる」のだと思います。
「駆け出していく」原動力。
エネルギーになるのだと思います。
[2021.03.31投稿]いいね:51