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神社の鳥居はくぐらない。

四十九日が過ぎるまでは、神社の鳥居を潜ってはいけないらしい。葬儀社の方からお伺いした。

今回父が1月2日に亡くなったため、正月飾りが家にある状態だった。
父が亡くなって、正月飾りは全て片付けたが、普通ゴミで燃やすのは、これまでの生活習慣からためらわれる。
私の住んでいるエリアは、どんと祭と言う習慣があり、正月飾りは1月14日の夜に神社に持っていって焼いてもらい、その火を浴びることで1年の無病息災を祈るのだ。

葬儀社の方がいらっしゃった際に、どんと祭はどうすればいいのかお伺いしたところ、裏口がある神社などを選択して、とにかく鳥居を潜らずに、正月飾りのみを焼いてきたらどうかと言われた。

宗教によって死の扱いは異なるが、神社は死を穢れと判ずるためらしい。

ちょうど、どんと祭の日が病院の通院に当たっていて、正月飾りを紙袋に入れて家を出た。


街中は既に、大崎八幡神社に向かう裸参りの列が歩き始めていて、からんからんと音を鳴らしている。

毎年この日のそわそわした感じが、私は好きで、可能な限り大崎八幡神社に足を運んでいた。

1年で1番大きなお祭りなので、屋台もたくさん出るし、人もたくさん。小さい頃は屋台で何を買ってもらうのか、往路の参道で頭を悩ませたものだ。(そして往路と復路が異なる為に、たいてい食べたかったものにはありつけない)

さすがに今はそういう気にもなれず、家の近所の小さな神社で、正月飾りを焼いてもらおうと思った。
ところが、家の近所の神社は、裏口が存在せず、山のてっぺんにあって、どうやって中に入るかすごく考え、結局鳥居の脇の小さなスペースをくぐり抜けて参道に入って侵入した。なんか悪人のようだったなぁ。

せっかく父が買った正月飾り。
おそらくこれを買いに出たその先で転倒してしまったために、父の最後の買い物がこの正月飾りだった。
ほとんど使わないまま焼いてしまうことになり、なんだかすごく胸が苦しかったが、そのまま家に置いておくのは、それこそ良くないような気がして、火に焚べた。

最近なんだかやたらと感傷的な気分になりやすく、この日も胸がざわざわして、頓服の精神安定剤を飲んで、早めに布団をかぶって寝てしまった。

あの正月飾りは穢れたことになっているんだろうか。
役目を半分しか果たせないまま燃やしてしまってごめんね。



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