妄想：変数０２ いやいや、カルフォルニア独立なんですよ
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もう忘れたが、飲み屋で知り合った客人との会話である。
「これからの世界？あぁ、君が言っていたように変数はたくさんある。中国の国外治安介入もそうだろう。 アメリカ合衆国に変数がない？いや、一党独裁のような動きがあるから激しく抵抗する動きも目立つんだよ。 いやいや、チカラで押さえつけようとすればなおのこと。反逆が反逆を呼ぶわけ。 えっ？経済が傾くからみんな黙ってついて行く？それって、米国国民の最大の弱みって？ 俺は違うと思うよ。」
「なぜって『民主主義宗教（民主教）』がエリート社会で広がっていくからだよ。同時にゴールドラッシュを夢見る開拓者魂も甦る。自由に行動したい人々が民主教に入信してね『共同体の一員として全体に貢献』しつつ自由にふるまうんだよ。あっちの全体主義とは違うね。あっちは『忠誠』が免罪符だからそれを持ちたくない人が民主教に入信するんだ。」
「君、ペットショップボーイズってグループ知ってる？Ｇｏ Ｗｅｓｔ♪ってうたってるやつ。あっ知らないか、じゃ、歌ってあげるよ・・・わかった わかったよ、そんなに断んなくたっていいじゃないかぁ・・・。でね、西に行けっていうんだよ。え？インドじゃないよ！天竺って、君古い言葉持ち出したなぁ、後でまた触れるよ。いやいや、そこじゃなくって『カリフォルニア』なんだって、そこ、そこ、あのカルフォルニアさ。」
「民主教の入信者は挙ってこの歌を歌うんだ。皆ノリノリでさ。なかには大麻を吹かして目が宙をを舞っているやつもいる。踊りに身を任せて陶酔しているやつもいる。不思議だけど、誰もアルコールを飲まないんだ。 でね、曲に合わせて仏教の御祈りをする者もいれば、コーランを高らかに唱える者もいる。もちろん、ほれ、あの、ド忘れしちゃった、あっ、ゴスペルだ。あれなんかすごいんだぜ。あれに乗せられたら天に昇ってちゃうよ。」
「で、何の話だっけ。あっそう、そう。で、みんなカルフォルニアに集まってくる。カルフォルニアが民主教の聖地になったんだ。民主教って不思議な宗教で、仏教派がいてイスラム派がいてキリスト派もユダヤ教派もヒンドゥー教派もゾロアスター教派も数え上げればきりがないほどの宗教が集まっているんだ。そんで、みんなその宗教を互いに尊敬している。裏を返せば存在するために『おだやかな牽制』状態と言えるんだけどね。で、不思議に経済が回るんだな。飽きがこないんだよ。さまざまな民族やら宗教が集まって互いを認め合ってるから、モノ・コト・カネ・トキ・ココロが行き交うんだ。互いに必要とする関係なんだよ。」
「ある時さ、だれかが『あっちの全体主義とは別の世界が欲しい』って言いだしたんだ。それっいいねっ！って広がっていったんだ。カルフォルニア州の独立運動だよ、やっと君の質問の回答にたどり着いた、ふぅぅっ。」
「それが、これからの世界ってやつ。それが言いたかったわけ。今の世界を牛耳るあっちの全体主義からどうやって離脱するか。皆秘かに思っていたけどチカラで押さえつけられて言い出せなかったんだ。だけど、カルフォルニアにいけば自由に言えるんだ。君も行ってみないか？カルフォルニア・・・おや、なんとなくその気になったみたいだな・・・じゃ、ぼくはこれで帰るよ。俺の飲み代は今の説教でチャラにしておいてくださいな。じゃ、カルフォルニアでお会いしましょ。」
一人取り残された私は、レシートをしげしげとみる。「結構飲み食いしやがったな」と思いつつ、あの人のよさそうな牧師（話の途中からばれていた）に、また、あってみようかと思い始めていた。
＊＊＊＊＊（イラストは、DALL-Eが作成）