核兵器が問題なのは「核の応酬」が止まらないことだ。無論、残留する放射線による被害の甚大さ、生物遺伝子への深刻な影響、その他、核兵器が引き起こす現象は枚挙に暇がない。
戦う者たちが生き残っている間は「やられたらやり返す」。持てる最高の兵器で破壊の限りを尽くすだろう。
つまり、核兵器による抑止が効いている間は、通常兵器による現状修正を試みる戦争が絶えないということだ。事実、現在を監察すればそれが現実であることに気づく。
現在は、「核兵器を現実に使用できるようにしなければ核抑止を強化できないという矛盾」の中に居る。
よって、「通常兵器で現状修正を試みる」のであれば、同時に核兵器を使える状態にするということになる。ロシア大統領の行動と一致するのだ。
その他、相手に脅威を与えたい規模の小さな国々はひそかに核兵器を保有し「使える核兵器」に昇格させるために多大な国費を投入する。もはやそれを隠そうともしなくなった。北朝鮮を代表とする国々は、核兵器を持つということ自体「世界から許されている」という認識に至っている。
米国軍に護られるという「核の傘」はどこまで有効か。核兵器を持たない「核の傘を持つ国々」は核兵器を持つ周辺国の脅威にどこまで耐えうるか。「米国議会や米国大統領の意思次第」の中で、自主自立を保つことができるか。
核拡散の闇が世界を覆う。核抑止論は通常兵器を強化する。どこかが通常兵器による戦争をエスカレートして1発の核兵器を打ち上げた瞬間、敵がなんであろうとどこであろうと「核兵器の応酬」が始まってしまうのだ。そこが、問題なのだ。
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