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妄想:吠えれば吠えるほど弱く感じるのだがな

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ドルを強くする。けれど、安くもする。なんのこっちゃわからん。

強い米国。それが「米ドルの強さ」を反映している。だとすると、どの通貨より高い位置にあるドル。けれど、それでは世界市場で米国産が高くなって売りにくい。だから、ドルは安い方がいい。「バイアメリカン」は国内向けの運動だが、これを国外でも行う。そうすると、「高くても米国産はいいのだから、買え」という主張になる。ドル高は是正しようがないから、強気の押し売りである。特に軍需産業で著しい。

ドルに対して安い通貨を持つ国の産品については高い関税を設ける。それで、米国内の輸入品購買力をそぐ。政府機関関連の調達には「バイアメリカン」が継続して行われる。

だが、賢い米国消費者は「欲しいものを適度にEC買い」する動きに出る。どこか不釣り合いな米国産は「黙って買わない」のである。静かに始まる米国消費者の「推し」に米国産が選ばれなくなる。

米国産の人気のなさに苛立つ大統領。ディールで通貨が安い国に無理強いをしていく。関税がどんどん上がる。米国産はとんと支持されない。欲しいが高いモノコトを買わなければならない米国消費者は不満をあらわにする。「欲しいモノコトを適正価格で買いたい!」と声に出すようになる。

すると、ドルが下がり始める。米国産の競争力がないと判断されたのだ。米国はエネルギー関連や食料関連の輸出を強力に推し進める。これはロシア・中国の同産業の輸出力をそぐという世界戦略にも通じる。やすくなった米国産のエネルギー関連と食料関連。ドルに対して強くなった通貨をもつ国々は米国産を買い漁る。そして、備蓄に汗を流す。

ロシア・中国の輸出はエネルギー関連や食料関連から先端医療やバイオテクノロジーに推移していく。米国市場では関税によって売りにくくなった。ドルに対して強くなった通貨を持つ国に売りに行く。そこそこの性能があればそれらの国は輸入していく。その広がりが米国以外の自由貿易圏の形成を促していく。ロシア・中国は安い米国産エネルギー関連や食料関連を秘密のルートで輸入し先端医療やバイオテクノロジーに変えて輸出で成功したのである。

一方、米国産に対する助成金も跳ね上がり減税に伴う政府税収も芳しくない。「米国産消費喚起の大判振る舞い減税」も効果が出ない。国産エネルギー関連価格は増産に継ぐ増産で歴史上類を見ない安値を付けている。だが、社会正義に目覚めた米国消費者たちは環境にやさしいエネルギー購入や輸入食料関連を選択する。国産エネルギーや食糧を安くしても消費に繋がりにくいのだ。

大統領は吠える。「アメリカ第一、偉大なアメリカ合衆国、偉大な米国国民、なのに、どうしてこうなるんだ?!」。偉大さを誇示するためは軍事力で服従させるより他はない。国外も国内も力で米国産消費喚起を行う。重火器を世界の消費者に向けながら、「さぁ、偉大な米国産を買うんだ!さもなくば・・・」と引き金を引く真似をする。

*****(イラストは、DALL-Eが作成)

#日経COMEMO #NIKKEI

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