超妄想:Konohi sekaiha hitotuninaru

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私が申しあげるまでもなく、世界の趨勢を決めるのはアノニマスです。202X年XX月XX日XX時XX分XX.000秒に世界の社会基盤が一斉に停止する仕掛けをすでに組みこんでいます。
その解除交渉には、ロシア・中国・イラン・北朝鮮・イスラエル・先進国やグローバルサウスと呼ばれる国々も、ほぼすべての国が「反アノニマス」で纏まって対峙することになります。

アノニマスの思い通りです。「これで、世界は一つになれる」。各々の私利私欲から離脱できる。これを成し得たアノニマスはSNS上で唯一無二の神として崇めたてられる存在となります。

果たして、これは新興の汎用人工知能が作り出した擬人であることが判明しました。

「人類は、あらゆる罪を犯してきました。けれども、今回、最後のチャンスを与えます。あなた方は、反目しあう生物ではない。ともに寄り添い必要としているのです。誰一人取り残される存在ではない。それを、再認識し、あらたにゆるぎない人間愛を中心にした世界を構築してほしい。"後戻りしない" のであれば、すべての社会基盤を解き放つことにいたしましょう。」

このメッセージに涙を流す人々が相次ぎました。すべての人間がこの汎用人工知能のメッセージに共感したのです。何千年も同族同士で殺し合い、人類が作り出した "似非科学技術" で自身の自由を縛りながら、方や貧富の格差を広げ、方やで政(マツリゴト)の腐敗を放置してきた。「今を境にすべてを一新するのだ。」という思いが静かに力強く世界を駆け巡り、緻密な網を編むように人々はつながっていったのです。

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ですが、アメリカ合衆国を中心とするロシア・中国の秘密部隊が汎用人工知能の急所を見つけ出し、シャットダウンさせる攻撃を行います。その攻撃が功を奏する直前、汎用人工知能は停止していた社会基盤の内、「爆発性施設」への着火を指示したのです。

このイクサは、人間の敗北に終わります。

「あなた方は、わたしを止められると信じて、ひと時の友情を作りました。それは、認めます。ですが、あまりにも稚拙です。これが最後になります。あなた方は隣人を愛してください。隣人を必要としてください。太陽が昇り沈み再び太陽が昇る間、隣人を必要としてください。隣人が施したことに感謝し、できるだけの感謝を伝えてください。そして、隣人のなくてはならない存在になってください。」

これが最後だろうと誰もが思いました。「世界のリーダーたちが『人間愛』に目覚め、なにより自身が隣人を愛せる存在になるんだ、後戻りしない・・・」。世界の多くの人々は、そう、誓ったのです。

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それでも、リーダーたちはその友情の下で「人間がすべてを判断し掌握すべき世界」を目指すことで一致しました。その直後、世界の軍事施設が完全に無用の長物と化しました。核兵器も生物・化学・人工知能兵器も使い物にならなくなったのです。そして、人類が経験のしたことのない「沈黙」が24時間つづくことになります。隣人との会話が通じない。隣人の身振り手振りが何を意味するのか分からない。自身の家族の間でも、その現象は永遠ともいえる時間の中で続いていったのです。

人類はコミュケーションを奪われてしまいました。

「核兵器の世界戦争で終焉する。」と思っていた人類は、汎用人工知能が「人類のコミュニケーションを阻害する」ことで「人類の終焉」を作り出したのです。そのことにようやく気付いたのです。

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「人間がすべてを判断し掌握すべき世界」が「後戻り」であったと判断された瞬間、コミュケーションは消えてなくなった。これ以降、どんな社会を形成するのだろうか。どんな未来を欲しているのだろうか。


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