妄想:どこの国も「勢いのあったあの頃」を持ち出してくる
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アメリカ合衆国が「自国第一主義」で単数の国とディールを行うスタイルは、世界各国でどこかの国とどこかの国が「二か国で交渉していく外交(二国間外交)スタイル」が広がる可能性がある。「多数派を形成し交渉する外交(多数派・多国間外交)スタイル」は非主流となっていく。
そうすると、アジアでは中華人民共和国は二国間外交スタイルを活用し「あの頃」の勢いを取り戻す交渉で強気に押し切ろうとするのだろう。相手は日本であり大韓民国でありフィリピン共和国でありベトナム社会主義共和国でありインドネシア共和国であったりする。ロシア連邦はアメリカ合衆国の黙認でウクライナ戦争を優位に進める。その足でポーランド共和国・バルト三国各国・モルドバ共和国、そして中央アジア各国との二か国外交を展開していくだろう。
力のある国は「徒党を組ませない」外交スタイルで一致する。一国の事情に食い込んでいく外交手法は「多数派を形成させない魔術」である。弱小国の事情を強国に握られ、弱小国間の利害関係が浮かび上がる構図にするのだ。弱小国間で牽制しあい、強国との交渉でどちらが有利になるのか競争させるのだ。
歴史的に見て隣国同士の関係ではどちらかが勢いのあった時期が存在する。それは数千年前までさかのぼる。その「勢いのあったあの頃」が交渉背景にあるのだ。弱小国も強国を凌ぐ時期があって、その勢いを再び手にしたいと願っている。
こうして、第二次世界大戦後に確立した領土・不平等貿易や利害関係を修正しようとする動きが出てくる。二国間外交でそれを「利益」材料として結託する可能性も出てこよう。二国間で協議した領土や貿易ではどこかの隣国が蝕まれてしまうことになる。強国はその国とも二国間外交を展開する。「利益」はそこでも活躍する。玉突きのように領土・不平等貿易を修正していく現象が発生するのだろう。
多数派を組めない弱小国たち。互いに「あの頃」の栄華を夢見る。足元を見れば弱小国の自治体が隣国と結託する動きが活発化していた。国の分解が始まっているのだ。弱小国の一部では分離した自治体を糾合していく強国が誕生してどこかの国が地図から消えた。その新強国が勢いを増す時、現在の覇権を握る超強国との二国間外交が行われ、決裂する。
新強国と超強国との覇権争いに発展していく。弱小国を味方につける外交が激しくなる。二国間外交による「利益誘導(偏った富の分配)」は超強国の体力を衰えさせていく。新強国は次々に弱小国を糾合していく。形勢が逆転しようとするその一瞬間、超強国の核兵器が新強国を撃つ。互いに核兵器の応酬を繰り返す。
*****(イラストは、DALL.E作成)