「こども本の森 中之島」から安藤忠雄氏を知る
大阪市に「こども本の森 中之島」という図書館があります。
この施設は、建築家の安藤忠雄氏が、
『こどもたちに多様な本を手にとってもらい、無限の創造力や好奇心を育んでほしい』
『自発的に本の中の言葉や感情、アイデアに触れ、世界には自分と違う人や暮らしが在ることを知ってほしい』
そんな想いでつくった文化施設で、2020年7月5日にオープンしました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、オープンから現在に至るまで、インターネットによる事前予約制になっています。
その素晴らしい建物と書籍の品揃えから、予約希望者が殺到し、オープンから1年経った今でも、予約が取れない状況が続いています。
私は夏休みに、子供と一緒に行こうと思い、8月1日〜14日までの予約をしようと思いましたが、結局ネットにつながらないまま予約終了となりました。
異端の建築家、安藤忠雄。
大阪の下町に育ち、17歳でプロボクサーとして活動したのち、独学で建築の道へ。大阪を拠点に世界で活躍する。
1976年に「住吉の長屋」で高い評価を獲得し、日本建築学会賞を受賞。
コンクリート打ち放しや幾何学的なフォルムによる独自の表現を確立し、世界的な評価を得るようになる。
大阪府・大阪市特別顧問、東京大学名誉教授、ハーバード大学客員教授、コロンビア大学客員教授、イェール大学客員教授、南カリフォルニア大学客員教授などを歴任。
2003年に文化功労者、2010年に文化勲章、2015年にイタリア共和国功労勲章を受章。
「学歴も社会基盤も、特別な才能もない、人生困難ばかり。ひたすら全力で生きるしかなかった」
今年79歳。がんで5つの臓器を摘出するも、いまだ現役だ。
「子どもの時に、もっと本を読んでおけばよかった。10代の後悔です。例えば、今、夏目漱石の『坊っちゃん』を読みながら、構想力、内容の深さに考えさせられるわけですが、つくづく『この本ともっと若い頃に出会えていれば』と」
安藤は今も日々、多くの本を読む。地下2階、地上5階からなる安藤の事務所は、壁面を本が埋め尽くす。
図書館を手掛けた背景には、子どもたちへの思いがある。
「今の問題は『過保護』です。
子ども中心の核家族で、子どもの言いなりじゃないですか。
その子が大きくなった時、たくましく育った世界の人たちと対抗できますか。
壁を乗り越える心の強さ、知的体力を鍛えなきゃいけない」
「今は人生100年といわれる時代。最後まで青春を生きたい。そのためには、好奇心と生きる力。生きる力は知的体力。
30代、40代は、やけくそでいかないと。
うまくいかなかったらやり直したらいい。
挑戦を重ねるなかで道が開けてくる。
事務所のシニアスタッフにも言ってるんです。50歳になって設計事務所を始めても、まだ30年ある。気持ち次第で、これから先、いくらでも、誰にでもチャンスはあるんだと」
闘う人生を通して、気付いたことがある。
「人生は、一つの道に賭けて突き進みつつ、いつも周囲、社会を見渡す目を忘れなければ、面白いことがいっぱいある。自分次第で、可能性はいくらでも見つかるんです」
安藤忠雄氏の言葉には、人生をたくましく生きてきた人の重みがあり、
「無理ゲー社会」と言われる日本で、「どう生きていくのか」の問いに対するヒントを与えてくれます。
今回の記事は、今までの人生を振り返り、これからどのように生きるのかを、立ち止まって考える良い機会になりましたので、何かの参考になればと思い投稿させて頂きました。