【会計士の備忘録】Vol.2 賞与引当金の会計処理概要
こんにちは!
新米会計士の"K"です。
今回のテーマは比較的に若い年次に任せられることの多い「賞与引当金」の会計処理についてお話したいと思います。
○賞与引当金とは
賞与引当金とは企業が従業員に支払う賞与、つまりはボーナスの支払いに対して引き当てるものです。
もっと簡単に言うと将来に支払うべきボーナス金額を事前に見積もって負債として計上するものになります。これにより将来支払いうべきボーナスが引当時点ではいくらあればいいのか(いくら支払原資があればいいのか)を把握することができます。
○具体的な会計処理
賞与引当金の処理は簡単です。
将来支払うべき金額を基準期間で按分する。
これだけです!
将来支払いべき金額については取締役会等で承認された金額が対象となります。
では具体的な処理方法を下記で解説しますね!
(下記では上場会社で四半期決算を行う会社を前提として解説します。)
ここで重要なのは賞与引当金にかかる計算要素は大きく分けて2つです。
➀賞与支給の基準となる"給与の何ヶ月分"を引き当てるのか
→これはよく言う給与の何ヶ月分に当たるのかと言う部分です。
②賞与算定の"基準期間の何ヶ月分"が引き当てられているのか
→賞与引当金繰入額は月次(会社により異なります。)で繰り入れられるので現在何ヶ月繰り入れられているのかという部分です。
企業では一般的には年2回の賞与が出る企業が多いかと思います。
そのため以下の仮定を置きます。
・11月〜4月の6ヶ月間(基準期間)に働いた分の賞与を6月に支給
・ 5月〜10月の6ヶ月間(基準期間)に働いた分の賞与を12月に支給
【例題】3月決算で期末の場合
支払われる金額:総額で120百万円(120M)、基準給与の2ヶ月分が支給されるとします。
■3月で期末決算の場合
上記の破線の11月〜3月の5ヶ月間賞与引当金が月次で引き当てられていきます。この引当対象の支払は6月に起きますので3月末時点では5ヶ月分引当されていることになります。
このときの賞与引当金は120M÷6ヶ月×5ヶ月分=100M賞与引当金が計上されることになります。
■12月で四半期決算の場合
上記の破線の11月〜12月の2ヶ月間賞与引当金が月次で引き当てられ12月末時点では2ヶ月分が引き当てられています。
このときの賞与引当金は120M÷6ヶ月×2ヶ月分=40M賞与引当金が計上されます。
気をつけなければいけないのは3月末残高と12月末残高を比較したときにこの引当期間の違いによる増減が起きることに注意しなければなりません。
増減の比較をするには上記2点の要素について分析してください。
○賞与引当金の考え方
賞与とはそもそも基準期間働いたことに対する給付という性格を持っています。
そしてこの会計処理はズバリ"引当金の4要件"によるものですね。
実際に当てはめていきましょう!
①将来の特定の費用または損失である。
⇒将来支払われる費用です。
②当期以前の事象に起因している。
⇒3月末を基準としたら11月〜3月と、当期(期末)以前の事象に起因していると言えますね。
③発生の可能性が高い。
⇒6月支給が決定しているなら・・・発生の可能性は相当程度高い!当たり前ですが。
④金額を合理的に見積もれる。
ある程度の計算方法は定められていることが多いです。それを承認を受けているわけですから金額は合理的に見積もられた金額と言えますね。
なので引当金の4要件に当てはまるので引当金を計上することになります!
○最後に
賞与引当金の計算要素は上記で示したとおり2つです。
この2つさえ抑えておけば賞与引当金のあるべき計上額がいくらであるのかということが自分の中でわかってくるかと思います。
受験期間中にあまり触れられていない科目ですが実務に付いて実際にやってみるとよくわからないことが多々出てくるので早い段階で腹落ちさせておくとよいかもしれません。
今後あるかもしれない分析の際の参考になったら幸いです。
今回はこのへんで失礼します。
ありがとうございました!