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現役大学生デザイナーに聞く「ルック制作とショーコンセプト」 Part2

Keio Fashion Creatorは昨年12月、ファッションショー「羽化」を開催した。デザイナー部員のうち17人がショーのルック制作を振り返る。全3回。

安東優衣/慶應義塾大学 2年生
近藤はな/慶應義塾大学 2年生
M.H
井上朋美/神奈川大学 2年生
坂下初音/青山学院大学 1年生  (ショー当時)

ーコンセプトの意図はなんですか。(現代においてタブーと設定されることや、ご自身が選択した問題意識の根底にどのような考えを持っていましたか)

安東:
私たちが一番囚われているタブーは、個性を出すことだと思います。多様性の時代に、むしろ自由になることを強要されているのではないかと感じました。

近藤:
政治に興味があり、西洋の絶対性の否定をテーマにしました。
はじめに思いついたのは、環境活動家が畜産業に対しての反抗としてデパートで牛乳をぶちまけること、トランプ大統領が自国ファーストであることといった風潮です。社会システムを考える上でも、自由とは、自分だけでなく自分と他の人の自由がぶつからないところを考えることであると思いました。ただ西洋だからいいというようなところから成長しなければいけないと考えています。

「西洋の絶対性の否定」HANA KONDO

H:
祖母の死を経験したことで、死を身近に感じました。他にも死に直面することが多かったです。そのため、死は日頃意識しないことだけれど、今日1日を大切に生きよう、周りに感謝しようと改めて思うようになりました。失ったことに後から気づくということが少なくなるように過ごしたいと思っています。

井上:
鷺娘という日本舞踊の題目から連想しました。白無垢を着た若い女の人が踊るもので、恋愛に悩んだ末に亡くなるという内容です。白無垢を女性の恋愛が結婚につながることを固定しているものの象徴として捉えデザインしました。女性が結婚するのが当たり前という風潮に疑問を持っており、結婚を完全否定するのではなく、女性の在り方は結婚だけではないということを示しています。

坂下:
SNSの普及によって自分を表現するのが楽で、飾った自分を世に出せる反面、こうあるべきと自分で自分を縛り付けていると感じました。そのため、自己とはどういうものなのかを考えることを目的としました。

ールックのディティールでこだわった部分はどこですか。

安東:
多様性を色や形で表し、それらが黒で縛られているようにデザインし、どうメリハリをつけるかということにこだわりました。

「個性の強制」YUI ANDO

近藤:
西洋の建築を色々調べて、ゴシックリバイバルを使おうと思い、つけ襟の部分に用いました。つけ襟は、たくさんの白い生地を比べて選びました。

H:
生地を透明にしたことです。死んだら骨になる。何もない。ものになる。だから、全てを曝け出すこと、飾っていないことを表現し、最後は全員平等ということでシンプルさを意識しました。

「死」M.H

井上:
白無垢がモチーフとなっていますが、カジュアルにしたかったのと、白無垢や着物の素材を使わないと決めていました。洋装の作り方を習っていたから、そしてどうしても着物は着物という認識になってしまうからです。
威厳は保ちつつ、カジュアルな見た目にマッチする素材や、ラフではなく強い感じを出すためにレザーのような皺加工が入った生地を使いました。白無垢をアレンジして、アクティブな女性を表すためノースリーブのジャンプスーツを作りました。

坂下:
モチーフは白無垢ですが、カジュアルにすることと、白無垢や着物の素材を使わないことは決めていました。これは、洋装の作り方を習っていたので、どうしても着物は着物という認識になってしまうためです。威厳は保ちつつ、カジュアルな見た目にマッチする素材や、ラフではなく強い感じを出すためにレザーのような皺加工が入った生地を使いました。白無垢をアレンジし、アクティブな女性を表すためノースリーブのジャンプスーツを作りました。

ールック制作をする上で部員同士で話しあったことや、その中で影響を受けたことはありましたか。

安東:
パターンを引くよりもシルエットを大事にし、マネキンに着せてみてどう見えるかをいろいろな人に聞きました。ずっと先生がいるわけではないので、部員同士でカジュアルに聞き合いました。

近藤:
先生の影響のほうが大きかったのですが、スカートの丈の長さや襟の大きさなどは部員に相談しました。

H:
周りの人、特に長瀬さん(前代表)に助けていただきました。

井上:
素材を買う段階で他の子と相談して生地屋さんに行き、そこで決めたものがレザー加工の布です。自分の知らなかった生地選びの可能性を、コミュニケーションの中で見つけました。

「鷺娘」TOMOMI INOUE

坂下:
服を作るのが初めてなので、初めての子同士で意見交換をしました。他の人のコンセプトを聞いて、新しい価値観に影響を受けました。

ー羽化というテーマをルックのデザインに派生させるにあたり、まず何をしましたか。

安東:
テーマが難しいので、それについて考える時間が多かったです。何が自分に一番引っかかるかを考え、それをコンセプトに引っ張り出す作業を行いました。

近藤:
文字で考えるタイプなので、スマホのメモに問題意識として考えていることを書いていき、最終的にはぼんやり考えているときに思いついたものに決めました。

H:
テーマに対して自分の状況を合わせる作業です。自分が持っている問題として死があったので、それを結びつけました。

井上:
羽化というテーマが難しいので資料を読み直しました。世の中に対して自分が抱いているモヤモヤを並べて、そこから自分のアイディアの中でルック化できそうなものを選びました。

坂下:
殻を破るのが羽化だと思ったので、外に出ていくことを表現するためにカチッとしたものと緩めのものという対照的な2つのピースを作ろうと考えました。

「自己」HATSUNE SAKASHITA


2023. 06. 20
SAKURA KIMURA(INTERVIEWER)


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 ● HP : keiofashioncreator.com


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