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【Look Book 2024「スポ根」】 デザイナーインタビュー Part.1
Keio Fashion Creatorは今年11月、「スポーツ根性論」をテーマとしてLook Book2024の制作を行った。今回ルックを担当したデザイナー部員6人がルック制作を振り返る。全3回。
藤まいか/国際基督教大学 2年生
ー今回のルックブックテーマである、「スポ根」をどう自分なりに解釈して、ルックに落とし込みましたか。
藤:
私は「スポ根」を根性論と解釈しました。私の中で、根性論には「根性が全て」とか、「根性があれば何でもできる」というイメージがあったので、自分が根性で乗り越えた高校時代の部活動の思い出をルックに落とし込みました。
私が根性で乗り越えた出来事として、高校時代の部活動が大きかったと思っています。中学の時は運動が好きでしたが、絵を描く方がもっと好きで美術部に入りました。高校入学前のコロナ禍にアニメ「ハイキュー!!」にハマり、心機一転バレー部に入部しました。
運動は好きでしたが、今まで本格的にやってこなかったので、正直、最初は全然上手くなかったです。もちろん周りは自分よりも上手な人たちばかりで。そんな中、下手な自分というのはずっと苦しかったです。
先生にも「周りが上手いのにお前は何してるんだ」、「まいかもっと動けよ」と言われ、苦しくてずっと辞めたかったです。でも、辞めたらかっこ悪いし、自分に負けてしまう気がして。根性だけで乗り越えました。そんな思い出を反骨心として昇華したくて、高校の頃の根性論をルックに落とし込みました。
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ー帽子やトップスに施された星のバッチや、ウエスト部分の装飾が目を惹きますが、これらのデザインにはどのような意味が込められていますか。
藤:
今回のルックで昇華したかった反骨心は、パンクなどのカルチャーに近いかなと思いました。それを象徴するためにトゲのパーツをたくさん使いました。星のバッジについては、自分のジェンダー観に対する思いが少し込められています。子供の頃、「女の子はハートが好き、男の子は星が好き」というような風潮がありましたが、私はその枠に収まらず、星が好きな女の子である自分を大切にしたかったんです。ジェンダーに対する自分の考えをルックに込めることで、既成概念にとらわれない自分のジェンダー観を表現しています。そして、単純に星が好きだという気持ちももちろんあります(笑)。
ー藤さんのルックにはスカートが使われていますが、あえてメンズモデルを起用したのにも同じような意味が?
藤:
メンズモデルを起用したのも、性別にとらわれない自由なスタイルを表現したかったからです。スカートを着ることで、男性らしさだけでなく、個人の強い意思や反骨心を示したいと思いました。自分のスタイルを貫き、周りの目を気にせずに自分らしく表現することが大切だと感じています。性別に縛られず、自由に自分を表現できるファッションを作ることが、個人的な思いを反映させる手段でもあります。
ーご自身の趣味嗜好(アートや音楽)など、デザインに大きな影響を与えるものがあれば教えて下さい。
藤:
絵を描くのが好きで、 特に漫画に表現されているリアルとはかけ離れている人の体がとても好きなんです。今回のルックには、現実とかけ離れたように見えるカッティングを脇腹の部分に落とし込みました。
あとは、今年のショールックもそうですが、「自分について考えること」や「ふとした時にぼーっと考えてること」などは、よくルックに反映していると思います。
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ールックブックの撮影において6体のルックが揃った瞬間、どのような感情が湧きましたか?
藤:
単純に「かっこいいな」と思いました。「野球」という同じテーマのもとで統一感があり、すごくバランスが取れていると感じました。野球というテーマを広く捉えて、それぞれがユニフォームやボールなど、さまざまな要素を自分なりに抽出して表現しています。私も、ユニフォームを中心に野球の要素を取り入れてデザインしています。
ールック制作の過程で特に印象に残った瞬間はありますか?
藤:
デザインを作り上げていく中で、デザイン画を何度も描き直したりトワルを組み直して納得がいく形にするのが大変でした。最初はなかなか納得できる形にならなくて、「これじゃないな」と思うことが多かったです。でも、その都度修正を重ねていくうちに、少しずつ形が整ってきたときは、やはり達成感がありました。友達が作ったバッグに出会ったときも印象的でした。そのバッグを見た瞬間に、「私のテーマにぴったりだ!」と思い、すぐにアイテムとして使うことに決めました。デザインを何度も書き直して試行錯誤した結果、最終的に並べてみたときには、それぞれのルックに個性がありながらも、全体的に統一感があって、すごく可愛い仕上がりになりました。その過程を経て、改めて「頑張ったな」と感じる瞬間がありました。
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武田渚/青山学院大学 3年生
ー今回のルックブックテーマである、「スポ根」をどう自分なりに解釈して、ルックに落とし込みましたか。
武田:
「スポ根」に対しては特に肯定も否定もせず、ニュートラルな立場で捉えています。見えない努力や報われない努力の側面を、ファッション業界に重ね合わせることで、大量消費社会に対する批判や皮肉を表現しました。その過程で、大量生産を行う側の苦労や理不尽、不条理な面と一致させながら、ルックを制作しています。
「スポ根」をあまり経験していなかったので、自分がそこにどのようにアプローチできるかを考えた時間が多かったです。なので、ファッション業界に「スポ根」を投影するのが一番自分として噛み砕きやすかったです。
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ーご自身の趣味嗜好(アートや音楽)など、デザインに大きな影響を与えるものがあれば教えてください。
武田:
映画や美術がもともと好きで、学科が比較芸術学科ということもあり、そこで得たものを落とし入れたかったです。「アンダルシアの犬」という映画が好きで、この作品の中で使われる実験音楽的な、金属がぶつかる音や不吉な音楽に影響を受けた側面があります。
ーどのような意図でこのルックを作成しましたか。
武田:
見えない努力や不条理に焦点を当ててほしいという思いで制作しました。具体的には、土のニュアンスは「スポ根」から引っ張ってきた要素です。「少し汚いけれど、それも含めて見てほしい」というニュアンスを込めています。上半身はキャッチャーのプロテクターから引っ張っていて、それは逆に「その作り手や苦労してる人たちを守るもの」という風に作用してほしいという意図があります。
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ートレンドと個性のバランスをどのように保っていますか。また、トレンドにを追う中で、あなたのデザインが失うことのないものは何ですか。
武田:
特にトレンドに左右されるようなスタンスではないと思っています。僕が好きな服、自分が作る服ではなくとも、自分が着るものにも共通してることは、本当に好きなものしか持たないようにしていることです。
ーデザインに行き詰まった時、どのようにして創造性を取り戻しますか。
武田:
私はデザインが得意ではないので、自分が着たいと思える服をできるだけ作るようにしています。変に凝ったデザインや創造性に溢れたものを作ってしまうと、ルックとしては存在しても、実際には着ることができなくなってしまう。だから最近は、より実際に自分が着たいと思える服を作るようになりました。今回はコンセプト重視になってしまい、自分らしさがあまり出せなかったことが反省点です。
ー”アシンメトリー”が印象的ですがバランスを保つ上で意識したことはなんですか。
武田:
”シュルレアリスム”や”不条理”みたいなものは、自分にとって一見受け付けないものが多いです。なので、少し不可解かつ有機的なものを意識したら、アンバランスな感じの着方に行き着きました。
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2024.12.8
DESIGNER: MAIKA FUJI/NAGISA TAKEDA
EDITOR: KAZUNE KUNIEDA/TAIGA TAGASHIRA
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