鎌倉殿の13人 第34回「理想の結婚」

まえがき

 前回の最後も含めてここ暫く張り詰めた空気だったので、鑑賞前のサブタイトルや予告映像を見て、久しぶりに落ち着いて観れるかと思っていたんですが、人が死ぬのとはまた別の意味で見た後の後味の悪さを感じる回となってしまいました…

泰時への継承

 冒頭、頼朝の形見として義時に預けられた小さな観音像が泰時に渡されていました。自分にはそれを持つ資格が無いと義時が話していましたが、なぜこのようなエピソードを今回挟んできたんでしょう?
 この観音像が今後何らかの意味を持っているのか、ただ単純に義時が自分を恥じて持っていられない事を表現したかったのか、なんとも想像がつかないんですが、いずれ泰時が北条の後継者と認められる時に関連してくるのかもしれませんね…
 そういえば今回も時房の面白場面がありましたが、いつまで突っ込まれキャラとして引っ張るんでしょうね…全成さんが居なくなって、鎌倉内で一服の清涼剤となりうるのは今のところ彼か和田義盛くらいしかいなそうなんですが、物語の最後まで健在なのは時房ですから最後まで突き通すのかもしれませんね

成長著しい実朝

 前回の衝撃的な頼家の最後から一転して、鎌倉ではまるで何事も無かったかのようにすっかり成長した実時がお披露目されていました。
 ただ、実朝が合議の場に立ち会っていたのは頼家の死が知らされたのとほぼ同じ月なはずな事を考えると、前回の可愛らしい実朝が泰時もビックリするほどの著しい成長を遂げたので有りました…(この後結婚する場面で子役のままでは違和感ありそうなので早いタイミングで柿澤さんに切り替わったんだろうと思いますが、どうせなら将軍就任の場面あたりから切り替えてしまった方がネタになったかもしれないですね)

義時にも結婚話が

 そんな中、義時にも縁談の話が持ちあがりました。二階堂行政の孫ということもあり、大江広元ら文官からの熱烈な要請に義時も断りきれず、何度か合ってみてから決める事になりました(二階堂の孫との触れ込みでしたが、のえの兄となる伊賀光季、光宗ら兄弟はいずれ登場することになるのかな?恐らく最終回の付近で大いに関係することになるはずなので…)
 実際合ってみた所、性格も良さそうですし幼い子供らに懐かれて八田知家からもお墨付きをもらっていましたし(いつも恋愛絡みで相談していた三浦義村を不信だとして相談しなかった事が若干気にかかりますが)、更にこれまで義時の女心が分からない象徴として扱われてきたきのこのプレゼントを大好きだとして断らずに受け取ったのも大きなポイントとなり、義時も結婚することを決めたのでした。
 しかし、八重や比奈との結婚に至るまでの流れとは大きく違う展開だったので、こんなにあっさり決めてしまって大丈夫なのかと気になってはいたんですが、まさかね…

不穏な空気

 将軍の外祖父として権力に酔いしれている時政(実際はりくに操られているも同然なんですが)は、武蔵に所領を持つ畠山重忠と足立遠元を呼び寄せ、比企が持っていた武蔵の所領について自分が貰うと宣言しました。そして重忠には武蔵守に推薦させる代わりに畠山家が代々継承してきた総検校職を寄こすよう迫ってきたため、重忠と時政の間に不穏な空気が漂い始めました(実際は先に平賀朝雅が武蔵守に就任しており、京都守護として都に派遣される代わりに政所別当の時政が武蔵守を兼任したので、上記の任官話は仲違いのきっかけを作る為の創作かと思われる)
 重忠から相談された義時は時政に注意しに行きますが、鎌倉を自分の意のまま動かせる状況に義時からの忠告など意に介さず取り合いませんでした

実朝の複雑な心境からの…

 義時と政子の報告場面ですが、普通に会話している感じに少し違和感を感じました。確か、頼家配流の件や一幡を助けなかった事に義時への信頼関係にヒビが入っていたと思っていたんですが…
 政子は前回頼家にわざわざ干鮑を修善寺まで届けに行っていたくらい気にかけていたはずですが、その後で頼家が亡くなったと聞いたのなら普通の親であれば相当悲しむのではないでしょうか?、また配流を行った義時に対しまず殺害の疑いを持ったりはしなかったのでしょうか?
 まるで頼家の事などすっかり忘れてしまったかのような感じで話が進んでいたのがちょっと気になりました(もしかしたら頼家死去を報告する場面が存在していたものの、尺などの理由あって無くしたのかもしれませんね…)
 実朝は良い将軍になるよう朝から晩まで武道や政治などについて御家人から教えを受けていましたが、見た目は大人のように見えてもこの時まだ13歳の子供なわけで、恐らく周りの大人になど相談出来る訳もなく、いきなり結婚だのと自分の意思そっちのけで話が進んでましたし、そりゃ政子も大姫ようになってしまわないかと心配するだろうと思います(なので、こんなに自分の子供たちを心配する政子が頼家の話題を語らない事に違和感を感じてしまいました)
 周囲は文武両道に育って貰いたかったでしょうが、実朝自身は政子が苦労して写した和歌集を見つけ目を輝かせておりました。前回でも和歌の教えを受けた時には結構前のめりになっていまし、実朝と和歌の関係については歴史上にもかなり密接に絡みますので注目するポイントになると思います

朝廷の思惑と北条政範の死

 朝廷では後鳥羽上皇や慈円、源仲章らの策略によって、平賀朝雅に時政とりくの息子である北条政範を亡き者にするよう謀っておりました。史料では北条政範は京に到着後急に病で亡くなったと書かれているのみで、平賀朝雅が関与したとは記載がないと思われるのですが、畠山重忠との関係悪化の件に政範の死が絡んで来るのではないかと思われます
 そういえば、九条兼実と慈円の兄弟が顔を合わせる場面が少しだけありました。兼実はこの後数年は健在なはずですが掠れた声で慈円に後を託していましたので恐らく最後の登場ではないかと思われます。

ラストの衝撃シーン

 それにしても、最後の場面で泰時がのえの本性を見てしまうという展開はなかなかに衝撃的でありました…
 のえ(後の伊賀の方)は恐らくこの物語の最後に語られるであろう義時の最後について絡んでくるので、ある程度きつい性格になりそうと想像はしていたんですが、結婚までは正体を隠していて話が進むうちに本性を見せていくのかなと思っていたので、いきなりの種明かしでビックリしました…
 余りにも想像通り過ぎたので、もしかすると裏をかいてくる可能性も考えられそうですし、驚くような最後の演出もありえそうな気がします。
 まぁ今から最終回への想像を巡らせていてもしょうがないですし、この話はまたラストに近くなってきたら考えてみたいと思います。