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企画書はラブレター。 「読む気が失せる」と一蹴された企画書公開

私はニッポン放送のラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン」のヘビーリスナーなのですが、その番組の中で「企画書はラブレター」というコーナーがあります。

企画書1枚をきっかけにして、ことが進むこともあれば振られてしまうこともあり、聞くたびに「企画書はラブレター」とは言い得て妙だなと思います。

自分の頭の中で、あれをしたいこれをしたいと考えていることを誰かに伝え、会社の決裁をもらい、人を巻き込んで実行することで、企画は実現していきます。

その推進力の根源になるのが企画書と言えます。

話がスムーズに進む企画書、決裁が通る企画書とは何なのか、「ネット不動産」の取り組みを例に、企画実行力を高めるポイントとして整理しようと思います。

※RENOSYのネット不動産についての詳細ページはこちら。

「読む気が失せる」と一蹴された企画書

「なぜあなたの企画は進捗しないのか」という偉そうなnoteを#1で書いたのですが、まず企画の決裁を取らないことにはそもそも何も始まりません。

かくいう私は、企画書を出したものの読んでもらうことすらできなかったという経験があります。

それも最近解禁された「ネット不動産」の本丸的な企画内容で、です。

不動産取引がオンラインで完結する、というネット不動産の企画内容が悪いのではなく、企画書が悪いから、決裁が通る通らない以前に読んですらもらえなかったのです。

会社には企画書のフォーマットがあり、項目に沿って書いていけばある程度の完成度になる御膳立てまであったのにも関わらず。。

私は何をしたかというと、用意されたフォーマットいっぱいに熱量込めてやるべき理由を書き連ねていき、しかも枠が足りないと勝手にフォーマットを拡張し、ページを追加していました。

ここまで熱量のある企画書であることをアピールできればいいだろうという勘違い野郎を発症しており、有名な怪談話「耳なし芳一」ばりに、びっしりと文字を埋め尽くしていました。

正確には上司は読もうとはしてくれていましたが、その企画内容ではなく書き方や表現に注意を向けなければならないものを私が提出してしまったのです。

見せ方の問題もありましたが、内容についても改善すべき点が多くありました。

誰がその企画書を読むのかという視点が抜けており、ただ自分がやりたいことを熱量込めて書くことに終始し、相手が知りたいこと、会社としてやるべきか判断できる材料に不足もありました。

今見返すととても恥ずかしい企画書です。

※画像は社内新規事業コンテスト用のフォーマットのため、実際にプロダクト開発で使用しているフォーマットとは異なります。
我ながらこれは酷い。

企画書が通るかは発想力やアイデアセンス、熱量ではない

企画書は自分がやりたいことを熱量を込めて書くのではなく、相手が知りたいことを相手が理解できる内容で書く必要があります。

企画書は発想力やアイデア勝負のセンスでも無いのです。

誰に向けた企画書なのかを考え、相手が何を求めているのか、会社にとってこの企画をやることのメリットを中心に盛り込む必要があります。

なぜこの企画をやる必要があるのか、なぜ今なのか、実行したところでどれくらいの効果を見込めるのか、その確度はどれくらいか、が企画書の主役であり、自分の想いや熱量、アイデアの魅力をひけらかすものではないのです。

そんなのは当たり前でしょ、フォーマットにもだいたいそんな項目あるでしょ、と思われるかもしれませんが、項目はあってそれに答えているようでも、読み手が知りたい情報を満たしていない場合もあります。

フォーマットにこう書けばいいんでしょという通過儀礼のようなものでもないからです。

重要なのは読み手に読みたいと思ってもらえるか、読んでみて実行したいなと思ってもらえるかどうか、です。

ネット不動産の取り組みの場合、#1のnoteでは 「ユーザーにとっての理想」を考えるところから企画の着想をしていましたが、企画書では以下のように会社にとってのやるべき理由に転換していきました。

  • WEB接客で既存の営業リソースにレバレッジを効かせられる

  • ユーザーが能動的に進行できることによる業務効率の改善

  • ユーザー接点増による成約歩留まり改善の運用しやすさ向上

  • 当時の社会情勢や法律改正、ネット不動産PR戦略上の必要性

 などなど…

言い訳は企画力が無いと宣言しているようなもの

「会社の都合や上司の都合、売上・コストといった面のみで判断されたくない」

「直接何かのインパクトに繋がるわけではないけど、重要と思うからやりたい」

「数値的な箇所ばかりではなく、やることそのものや意義を見て判断してほしい」

という思いを持つことはあると思います。

ただ、そのような期待した反応が得られないからといって、読み手の目線やフォーマットを言い訳にしていても進みません。単に自分が読み手の知りたいことを提供できていないだけです。

自分の実行したいという意志と、そのために社内で決裁を突破するところが企画者としては腕の見せどころだと思います。

やはり、企画書はラブレターです。読み手があっての企画書です。

自分の理想や要望から企画に入ったとしても、企画書では読み手が誰かを考慮して、読み手の知りたい情報を適切にカスタムし、視点を切り替え提供する必要があります。

そして会社のリソースを使う以上は、会社にとってのやるべき理由を切り離すことはできません。どんなプロジェクトでも必ず期待効果は描けますし、描けなければ読み手はGOの判断ができませんし、GOすべきではないと思います。

期待効果は売上やコスト削減、それを達成するためのインプットKPIだけではありません。リスクの抑制やセキュリティに関することなどもあります。その期待効果を求めて実行すべきかどうか、読み手が判断できさえすればいいのです。

あらゆる視点の人がいる会社で、読み手を意識した説得材料を揃え企画書に落とし込むことも含め、企画力と言えると思います。

企画のアイデンティティは保つべし

企画書を通すにあたり、視点を切り替えて読み手の知りたい情報を書いていくことになりますが、企画のアイデンティティは企画者の意志として忘れないようにしたいところです。

企画のアイデンティティとは、「これは私の企画である」ということです。

その意志がない企画は、企画書に落とし込み決裁を経る過程で自分の企画ではなくなり、熱が冷めてしまいかねません。

企画書の突破が難航し出すと、
「そもそもなんでやるんだっけ?」
「もうこういう風に書いておけばいいんでしょ」
と企画のアイデンティティが失われやすくなります。

読み手のことを考えた企画書でスムーズに突破させ、内に秘めた熱量が冷めやらぬ状態で企画を実行していきましょう。

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