口の中の砂漠
今、私はベッドに横たわっている
息が苦しい
鼻から思い切り息を吸う
うっ
本来なら目一杯吸えるところが、全然吸えない
なぜだ、苦しい
気がつくと口の中が砂漠のように乾いている
舌の上の味蕾が乾燥で毛羽立ち、ザラザラとした感覚
嫌な感じだ
わたしは急いで起き上がり、キッチンに向かう
冷蔵庫で冷えているペットボトルの水を開け、思いっきりがぶ飲みした
…だめだ、全然だめだ
水は舌に触れた瞬間蒸発し、全く乾きを許してくれない
ごくごくごく…
あぁ、全く飲んでいる気がしない
乾きが収まらない
辛い
あぁ…
………はっ
として目覚める
ここはまだベッドの上だ
息を吸い込むと両鼻が器用に詰まっていて
その僅かな隙間から空気が肺に流れ込む
苦しさの正体はこれか
口の中の乾きを感じる
両鼻が詰まっていた私は、無意識に口呼吸を繰り返していた
喉の乾きを一刻でも早く癒やすため、リビングへ向かう
コップを手に取り、ウォーターサーバーから冷たい水を汲んだ
チョロチョロチョロ…
早く…早く…
喉の乾きにコップを握る手に力が入る
ごくごくごく
すーっと冷たい水が舌の乾燥を癒やしていく
喉のひりつきにやわらかな水が染み渡る
ふぅ…と水の美味しさに思わずため息をついた
そう。夢オチである。