経緯と展望
今更ではございますが、改めまして私、ピン芸人・小林ぼっちは令和元年の6月に所属していたプロダクション人力舎を退所し、フリーで活動して行くことに決めました。
「知らんがな」「ご勝手に」という話ですが、僅かながらにも気にかけてくださる方々もいてくださるため、そして自分の思考を整理しておきたいという思いから、このnoteに事務所を離れるに至るまでの胸中と今後の方向性について記そうと思います。
もし、痛烈な古巣批判などを期待して読み始めた方にとっては、退屈な駄文長文が綴られるのみですので、ここで引き返した方が賢明です。
思えば、そういった事務所への不満や反感の気持ちが薄れ始めた2〜3年前から、人力舎を離れること、その後のことを本格的に具体的に考え始めた気がします。一見すると矛盾しているようですが違います。
言い方を変えれば「チャンスが回ってこない」「人気がつかない」「うれない」……そういった不都合な現状を招いている諸悪の根源は自分にあるのだと、ハッキリと自認し始めたのが2〜3年前からだった気がします。
養成所に入ったのが2011年。僕らは3.11の起きた直後から「これからお笑い頑張ります!」などと言ってるふざけた世代なんですが、それからまる8年、自分なりにはあれこれ試行錯誤しながら一人コントを主軸に「頑張って」きました。この業界には常軌を逸した頑張り方をする人が何人もいるので、その人たちから「全然頑張りが足りてない」と吐き捨てられたらそれまでの程度ですが……。
でもいつからか、僕のその「頑張り」も結局は自分の好きな努力でしかないことに気づき始めました。言うなれば、事務所がしてほしい「頑張り」、テレビ局が求める「頑張り」、うれるための「頑張り」、それらに対して僕はあまりにも怠惰でした。具体的には、例えば趣味・特技、キャラを作るといったような実技面。また、1番大事な社交性やカリスマ性といった素質面。自分にそれらが欠けていることは、周りの結果を出している人間を見れば明らかでした。
そして、それが許されるほどの圧倒的な才能と実力も(少なくとも今は)持ち合わせていないことにも気づき始めました。
つまるところ、僕はうれること(≒TVタレントになること)に挫折してしまいました。明確に実力不相応だと思いました。情けない話です。事務所がお店なら、タレントは商品。利益を生み出すつもりがない商品が、いつまでも棚に陳列されているのは店側にも客側にも失礼だし、何より自分自身が後ろめたい気持ちに苛まれて滅入ってしまいます。
……と、
ここで「じゃあ芸人をやめよう」という着地ができたらマジで幸せぴょんぴょん丸だったんですが。
8年もやったせいか、8年しかやってないせいか。そんな気にはさらさらなれず、今日も今日とて新ネタおろしてウケたスベッたなんて生活を相変わらず続けています。……すみません、今日に関しては100でスベりました。
「うれる」っていうゴールも取っ払っておきながら、なぜにせっせと夜なべしては新しくコントをこさえ、ライブに出ているのでしょうか。しかも一人で。自分でもキモいと思います。
誤解を恐れずハッキリと言ってしまえば……これはもはや
「趣味」です。
しかし、ということはですよ?僕はネタを作って客に見せてウケるってのが、本当に好きだったということが立証されました。仕方なくやってたわけではありませんでした。それがわかっただけでも事務所を辞めた意味がありました。
「趣味」でやってる奴が応援してほしいなんて、おこがましいことは言いません。ただ面白かったら笑ってくれて、欲しいものがあったら買ってほしい、それだけです。
僕は事務所を辞めた今でも、「芸能人」として「うれる」ことは断念してしまいましたが、ちょっと枠を広げて「表現者」として「食える」ことにはもうちょっと挑戦していこうと思っています。(ネタ以外に何をしていくかはまた別の機会に……)いつかそれにも挫折した時は、社会人お笑いとして週末だけライブに出ているかもしれません。
事務所外のライブにたくさん出させていただけるようになって、お笑い界には本当にいろんな芸人の在り方があることを知りました。社会人兼芸人だからといって生半可なお笑いではないことは、僕以上にお笑いライブのお客さんの方がご存知かと思います。そんな生き方もイカしてんじゃん!と今なら思えるわけです。
さて、ダラダラと書き連ねてしまいましたが、そろそろまとめに入ります。
フリーになるかどうかは数年にかけてじっくり考えていたんですか、決める時はあっさりでした。単独ライブをするために会場を押さえた時です。
現在の人力舎のシステムだと僕が単独を打つことは難しく、それはこちらの格が伴わないせいなので文句はなかったのですが、とにかくいよいよ我慢ができなくなって「とりあえず一旦押さえてみようか」なんて言ってたら、今すごいですね。ネットですぐですよ。じゃあしょうがない、フリーになるか〜、と。
まあ、あとは僕も今年で32歳になりますし、環境変えるならまだ体力のある内に〜なんてのも思ったり。
とにかくそんなわけで、書き終わってみれば単独来てほしいという話でした。10月なんでもうちょっと先。ぜひぜひ頭の片隅に。