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薬指
お世話になっております。しがないピン芸人の小林ぼっちと申します。
毎月東京のどこかしらの殺風景な一室をおさえ、たましいおおくす君とマザーテラサワさんとの3人で「感じるな、考えろ」というトークライブを催しています。
最近では“ただの飲み会前のアイドリング”なのではないか?という脳内野党の厳しい非難も上がっておりますが、基本的には「日常に潜む微かな違和感を見つけ出して議論する」という大変高次元なひねくれお夜会でございます。
その魅力を少しでも理解し、会場に足を運んでくださるお客様が増えればと願いまして、過去回で僕が話したテーマの1つを「ハイパークリエイティビティ発表広場」こと、noteにてご紹介していきたいと思います。
今回の話題は「薬指」。
僕は軟膏やハンドクリームを皮膚に塗る際、なるべく薬指で塗るようにしています。しかし、正直大人な皆さんは薄々気づいているのではないでしょうか。
“人差し指の方が塗りやすい” ということに……
その圧倒的周知の事実から僕は、そして日本は、目を背けるかのようにこの4番目の指に「薬指」と名付け「薬を塗るための指」として持て囃しているのです。
親指は1番太く力強い、指界の頼れるリーダー。
人差し指は1番実働的かつ表現力が高いエース。
中指は1番長身で凶悪性を秘めたヒール。小指は1番小さく可愛げのあるアイドル。そして薬指は……
個性豊かなチームの中で、薬指は「薬を塗る」という唯一のアイデンティティに必死でしがみついています。彼から存在意義を奪うようなことはできない。僕が律儀に薬を薬指で塗るのにはそんな思いがあるからです。
……しかし
果たしてそれが本当に薬指にとって1番の幸せなのか。優しさは時に刃物にもなり得ます。本来は人差し指よりも劣っている塗布作業を、同情心からあてがわれている自分の立場に、やるせない気持ちでいっぱいかもしれません。
いつか、薬指が本当にやりたかったことを見つけ出し、新しい名前をつけてやるからな。……そう僕は薬指に指切りげんまんするのでした。
……みたいな不毛論さえ熱心に聞いてもらえるトークライブ。「感じるな、考えろ」は次回6/11(火)19:30〜高円寺北区民集会所にて開催です。ご都合よろしい方はぜひお越しくださいませ。