見出し画像

韓国語能力試験(TOPIK)を受けました in 光州

 10月13日(日)、ここ光州で韓国語能力試験(TOPIK)を受験しました。


久しぶりのTOPIK

 国籍は韓国ですが、わたしは29歳になるまで韓国語を話すことができませんでした。それが仕事の関係で語学留学することになり、およそ1年間ソウルの大学で韓国語を勉強しました。振り返ってみれば、帰国後の方が一生懸命勉強したかもしれません。暇さえあれば韓国のラジオをストリーミングで聴き、風呂場に「韓国語ジャーナル」を持ち込んで湯船に浸かりながらテキストを音読していました。日中は普通に働いていたので、疲れでウトウトしてきたらそこで音読は終了。幸い雑誌を湯船の中に落とすことはありませんでしたが。

 その甲斐もあって韓国語を勉強し始めてから3年足らずでハングル能力検定の2級、TOPIKの6級に合格することができました。その後は職場で翻訳・通訳をする機会が一気に増えたので、実践を通じて韓国語を勉強しました。おかげさまでそれなりの実力を身につけることができたと思っています。

受験の動機

 今回12年ぶりにTOPIKを受けてみる気になったのは、こっちでの商売に不可欠だと実感したからです。日本語を教える家庭教師のアルバイトをしているのですが、いくら受講生を募集してもなかなか集まってくれません。ソウルに比べて人口がずっと少ない地方都市ということもあるのでしょうが、もしかしたらわたしの韓国語に不安を抱いているのかもしれません。日本語ネイティブが日本語を教えるというと聞こえはいいのですが、初心者の場合はまず韓国語を使って日本語を勉強します。それなのに講師が日本語しかできなかったらどうしよう。そういう不安からわたしを選ばない人が多いのではないか。あくまで推測に過ぎないのですが、多分大きく外れているわけではないと思います。

 ここはひとつ「日本語はもちろん、韓国語も当然できるんだよ」というところを見せなければいけない。そこで今回、実に12年ぶりにTOPIKを受けることになった次第です。

受験会場で時の移り変わりを実感する

 受験会場は光州市内にある朝鮮大学校です。受験当日、パートナーに会場まで送ってもらったのですが、キャンパスがあまりに広くてビックリしました。写真を撮れなかったのが、残念ですね。

 12年前にTOPIKを受けた時の会場は東京外国語大学。当然受験者のほとんどは日本人でした。今回の会場では日本人と思われる人はほとんど見られませんでした。代わりにアジアからの留学生と思われる若者が大多数を占めていたのですが、その内訳に時代の変化を感じました。

 わたしが韓国に語学留学していたのはいまからおよそ15年前。大学の語学学校に在籍していた生徒の8割ほどは中国人でした。彼・彼女らは大学附属の語学学校で韓国語を学び、TOPIKで一定の成績を収めることで、学部への転入を認められていました。つまり韓国の大学に進学するために語学学校に入学するというケースがほとんどだったのです。日本人は1割か2割ほどでしたが、多くはすでに社会人を経験しており、中には薬剤師や看護師といった国家資格を持っている人もいました。つまり日本人留学生の多くが「純粋に韓国語を勉強したい」という気持ちから留学を選んだ人たちでした。

 今回TOPIKの試験会場で目にした若者たちも、おそらく大学への進学を目的に受験しにきたのでしょうが、その内訳は大きく変化したように見えました。中国人学生が一番多かったのは昔と変わりないのですが、それに劣らず東南アジア系の学生たちも多かったです。おそらくベトナム人でしょう。インドネシアあたりの若者もいました。光州にある大学附属の語学学校が東南アジアからの留学生を積極的に受け入れているのでしょうか。それとも、地域に関わりなくベトナムなどからの留学生が増えているのでしょうか。はっきりとはわかりませんが、わたしの直感からいって後者ではないかなと思います。

韓国社会と外国人

 話が変わりますが、光州にも東南アジアからの移住者が多く存在します。受験前日、光州市内のウォルゴットンという街に出かけました。するとそこは韓国人の方がマイノリティーではないかというくらい中国や東南アジア、中央アジアの人でごった返していました。繁華街のいたるところにベトナム料理店や当地の雑貨を扱ったお店が存在し、地域に溶け込んでいるように見えました。一緒にいったパートナーとその家族も「光州にもこんなところがあるんだねぇ」と驚いていました。

 韓国は単純労働に従事する外国人を一定程度受け入れているため、自転車に乗って工事現場に出勤する東南アジア系の労働者をよく見かけます。たまに移住者や外国人労働者に対する差別をニュースで目にすることがあります。これからも東南アジアや中央アジアからの移住者は増えていくでしょう。差別や偏見をなくしていくことがいまの韓国社会に求められています。

受験を終えて

 さて、話を元に戻しましょう。実際にTOPIKを受けてみた感想です。

 あらかじめ過去問をやっていたので比較的落ち着いて回答できました。リスニングと読解は合格点を超えているはずですが、意外と難しく感じました。やっぱりリハーサルと本番は違いますね。

 前回との大きな違いは作文でした。12年前はこんなに長文を書かせたっけ? 問題番号53はグラフの内容を300字以内にまとめるもの。54番は与えられたテーマに沿って600字から700字で文章をまとめるものでした。53番を書き終えて時計を見ると、すでに残り時間が25分しかありません。そこから大慌てで54番に取り掛かったのですが、残り5分になっても400字程度しか書けていない。日頃手書きなんてしていないため、ペンを握る手が痺れてきました。左手を使って震えを抑えつつ、ようやく600字を埋めることができました。試験終了の合図と同時に、思わず安堵のため息をつきました。
 受験者数が増えるにつれて、問題のレベルも年々上がっているのでしょうか。そりゃ12年前と全く変わらないのであればそれはそれで問題ですけどね。

 無事試験を終えることができました。あとは結果を待つばかり。最善を尽くしたつもりなので、高得点であることを願います。そして日本語家庭教師のアルバイトに繋げられたらもっといいですね。

 

いいなと思ったら応援しよう!