「アトピーと生活デザイン」“痒み”から”夢中”へ、アトピーと共に心豊かに生活する55の記録。
はじめに
幼少期から常に自分は他の人と違うと感じていた。
シンプルに見た目が違った。
そしてずっと身体が痒かった。
アトピーの痒みで常にストレスを抱え、体力も少なく、集中力も低く、1日の生活を終えるだけで精一杯だった。
ちょうど就活の時期を前に生活環境の変化、些細なストレスの蓄積が積み重なり、アトピーの症状が爆発。
強制的に長いこと苦しんできたアトピーと向き合わざるをえない状況に。
朝起きて最初にすることは、肌に貼り付いた服を剥がすこと。北海道の冷え切った安アパートで。
辛いことがあまりに大きいと、人は日常に落ちているたくさんの素敵な瞬間を見落としてしまう。
痒みの不快感、悪化の恐怖、人の視線、弱みを見せられない孤独。人の優しさがとても痛かった。
そんな状況から約5年間アトピーと向き合った。
それは複雑に絡み合った紐を一つ一つ解いていくような5年間だった。
長い旅をしているような気分だった。
当時の僕にアトピーは痒みという手段を用いてメッセージを送ってくれていた。「この世界にはもっと楽しい世界がある、少し先の未来で待ってる」と。
雪が深々と降る冬、冷え切った北海道のアパートの部屋で、僕は少し先の未来で待っている”楽しい世界を生きている自分”と約束した。
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