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語句順訳のすすめ
▼語句順訳:
出て来る“意味の塊(かたまり・ぶった切りチャンク)”毎に順繰りに訳して行く仕方。listening、readingでの認知段階ではこれで良し。むしろ推奨!
⇒チャンキングchanking
1) Jill / gave / him /chocolate / on Valentine's Day.
"ジルは / あげたんだ、 / 彼に / チョコを / バレンタインデーに。"
2) On Valentine's Day, / Jill / gave / him / chocolate.
"バレンタインデーには / ジルが / あげたんだ、 / 彼に / チョコを。"
副助詞(主題)┘ └格助詞(主体・主語)
⇒無標主題と有標主題
¶ The city adopted radical measures to reduce violent crimes. (AFEJ.p27)
▼分節化:分けることは分かること!
The city / adopted / radical measures / to reduce violent crimes.
S V O (M)
順 ↑ 市は ─────────────┐
不|大胆な策を ─────────┤
同 ↓ 凶悪犯罪を減らすために ─┴─採った。
〇1) 市は / 大胆な策を / 凶悪犯罪を減らすために ─┐
〇2) 大胆な策を / 市は / 凶悪犯罪を減らすために ─┤
〇3) 凶悪犯罪を減らすために / 市は / 大胆な策を ─┤
◎4) 凶悪犯罪を減らすために / 大胆な策を / 市は ─┴─採った。
5) 市は / 採ったのだ / 大胆な策を / 凶悪犯罪を減らすために。(語句順訳)
(注意!)塾や予備校講師などが得意になって英文読解で、文の後ろから”返り読み”することを勧めている人がいるけれど、この癖をつけてしまうと、リスニングが出来なくなってしまうので危険!音は一方的に発音されては消えて行くから。(Dolingoの英文を日本文に直す問題でも要注意!)
日本語では、動詞(述語;採った)を文尾に持って行けば、動詞にかかる句が順不同でも、一応、文の体(てい)をなす (上記1)~4)以外にも文は作れる)。⇒日本語と英語の特徴
これは助詞(particle て・に・を・は…)のお蔭であり、日本語の非常に柔軟性に富む優れた点だ。
⇒#09 助詞ざっくりまとめ【日本語文法おさらい/日本語教師になる】
格助詞:を・に・まで・が・より・から・で・へ・と・や・の
覚え方「鬼までが夜(より)からデートやの」
(注意!)ネットでの語学学習で定評のあるDoulingoでも、日本語訳の問題で、英文を日本文に直す際に、与えられた日本語語句の選択肢を英文の文節を後ろから順番に並べて行けば日本語になってしまう。これがまさに助詞の効用で日本語の優れている点であるのだけれど、これに慣れてしまうと、上で述べたように、英語のリスニングが出来なくなる恐れがあるので要注意!
本多(1976)(本多勝一(1976)『日本語の作文技術』第三章「修飾の順番」)によると、新聞記事など誤解を避け分かりやすくするためには、述語にかかる修飾句は長いものから順番に並べて行けば良いという。
☞日本語の修飾の順番の原則:
原則1:句を先にして詞を後にする。
原則2:長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。
原則3:大状況から小状況へ、重大なものから重大でないものへ
この”本多原則”からすると、4)が良いことになる。
⇒「凶悪犯罪を減らすために大胆な策を市は採った。」
確かに、日本語では、きちんとした公式の、特に新聞記事や事務的な書き言葉や話し言葉ではこの原則が守られるべきだろう。しかし、英語を読んだり聴いたりする個人的な知覚・認知の次元;他人に伝達する必要がない場合では……
英文は目や耳に飛び込んで来る語句の順番に把握するのが良い。
これこそが肝心なポイントだ!英語のreadingやlisteningの向上を図るために、5)の「語句順訳」を推奨する所以である。まさにこの「語句順訳」が出来るのが日本語の利点であり、これを活かさない手はない。
しかし日本語の助詞の効用が仇になって、英語を文末から読む返り読みの習慣が横行して、日本人の英語力を阻害している!この悪習を断ち切って、英文を文頭から読み下す読み方を身につける必要がある。その一助になる方法がスラッシュ・リーディングだ。
⇒スラッシュ・リーディングする時のスラッシュを入れる位置 by miya
原則1: 前置詞の前、長い主語の後
原則2: 関係詞(関係代名詞、関係副詞)の前
原則3: 接続詞、疑問詞の前
原則4: to不定詞の前
原則5::カンマ、コロン、セミコロンの後
そしてとにかく、助詞がないために英語では極めて語順(word order)が重要になることを心せよ!⇒9文型(sentence patterns)、主題構造、情報構造