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ポールの”Oh! Daring"における二重否定
”I'll never do you no harm."という歌詞は、二重否定=肯定と考える、お利口さんの規範英文法の立場からすると間違いで、” I'll never do you any harm."が正しいとされる。
でも、ローリング・ストーンズの”I can't get no satisfaction."のようにロックの歌詞でしばしば聴かれ、実は庶民の日常会話では二重否定=強い否定として普通に用いられる表現なのだ。
因みにミックが激しく歌っているけれど、改めて歌詞の内容を聴いてみると、欲求不満だと大騒ぎする程のことかと拍子抜けしてしまうものだ。でもポールの場合は実体験に基づくものだったのだろう。この曲の発表当時、結婚し幸せな生活を営んでいた妻のリンダに向けたものではなく、以前に同棲していたジェーン・アーシャーに向けたものであることが想起される。彼女とは表向きは仲睦しいナイスカップルに見えたけれど、演劇を本格的に志したい彼女とポールの間には考え方の違いが広まって行き、実は大喧嘩もしばしばあったそうだ。その際、実際に”あんたなんかもういらない”という辛辣な言葉も彼女から投げかけられたのだと推測できる。
ジョンに向けた歌ではないかという意見を耳にして、上手く行かなくなってしまっていたあの頃のビートルズの人間関係を考えると、思わず「うわぁ」と唸ってしまった。
⇒【ビートルズ】ねえ!君(Oh! Darling)【日本語で歌ってみた】