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自動詞の認知的受動態文
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よく中学校の英語の授業では、上記の図解を示して能動態から受動態への書き換えが説明され演習がなされ、テスト問題にも出題されることが多かった。まず書き換え前の元の文の中に目的語を探して、それを主語の位置に移動させ、その主語の後ろの動詞句を”be +過去分詞”に書き換えるように教えられる。noteでも分かりやすい基本的な説明の記事がある。
動詞┬自動詞+目的語
└他動詞+目的語
このように目的語を取るのが他動詞で目的語を取らないのが自動詞であるという基本的な動詞の分類があり、他動詞、したがって目的語を含む文としての能動態文を受動態文に書き換える演習がせっせと行われる。
ただし、往々にして能動態文⇄受動態文の書き換えが機械的に行われてしまう傾向があるが、
1-1) He turned the page over.
1-2) The page was turned over by him. △
2-1) He turned the corner.
2-2) The corner was turned by him. ✕
1-2)は、受動態文として辛うじて成立するが、2-2)は受動態文として常識的に完全にアウトである。彼の車一代がその角を曲がったにしても、その角には受動性(passivity)が認知されないからだ。1-2)も比喩的に”歴史の扉が、偉大な彼によって捲らた”というようなことを語るのであれば、十分受動態文で表現する価値はある。
3-1) I visited Nakano-Mandarake yesterday.
S V O (M)
?3-2) Nakano-Mandarake was visited by me yesterday.
この3-2)の文も、確かに上記の書き換えの文法的な説明には合致しているけれど、常識的に考えておかしな文である。僕一人が訪れただけでは3-2)のような受動態文は成立しないからだ。
4-1) Many manga-otaku people visit Nakano-Mandarake every day.
S V O (M)
◯4-2)Nakano-Mandarake is visited by many manga-otaku people every day.
S V A (必須副詞句) (M)
「まんだらけ中野店には沢山の漫画オタクが毎日、訪れている。」
この4-2)なら受動態文は成立する。なぜなら大勢の漫画オタクが連日訪れていることで、まんだらけ中野店は、強い受動性を帯びているからである。
5-1) John Lennon used to play Rickenbacker325.
S V O
◯5-2) Rickenbacker325 used to be played by John Lennon.
S V A
「リッケンバッカー325はジョン・レノンがよく弾いていたモデルだった。」
この5-2)も受動態文として成立する。特にジョン・レノンというロックレジェンドに弾かれていたモデルとして、強い受動性が認知されるからだ。⇒楽器の冠詞
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【大人のフォニックス】慣れた?慣れてないって英語で言える? used to/ be used to/ get used to の違いはこれでばっちり! [#250]
マリリン・モンローが野球選手のジョー・ディマジオと結婚して日本に新婚旅行に来た時に集まった記者の中から非常に下衆な質問が飛び出した──
「夜のベッドでは何を身に着けているか?
What do you wear in bed at night?」と。
それに対するマリリンの答えは非常にスマートだった。”Chanel No. 5.(シャネルの5番よ。)”
杓子定規に英語に直せば──
6-1) Marilyn Monroe wears Chanel No.5. in bed at night.
S V O (M) (M)
◯6-2) Chanel No.5. is worn by Marilyn Monroe in bed at night.
S V A (M) (M)
この受動態文もマリリン・モンローのカリスマ性が働いているが故に成立する。
マリリンは”wear"という動詞が単に衣服や寝間着や下着を”着る”、”身に纏う”と言う意味だけではなく、香水を”着ける"という使い方もある他動詞であることから、機転を効かせた答えをしたのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1739039013-aSUReNjgckb5dOs6hP8oAnyJ.jpg?width=1200)
さらに興味深いのは、元が自動詞で目的語がない文でも受動態文が成立するという事実だ!
マリリン・モンローはこのベッドに寝た。
7-1) Marilyn Monroe slept in this bed.
S V (M)
sleepは自動詞だけれど……
◯7-2) This bed was slept in by Marilyn Monroe.
S V A
マリリン・モンローがジョー・デイマジオと新婚旅行に来た際、帝国ホテルのベッドで眠ったことは歴史的な意義ある出来事であったから、ここにベッドに対する"他動性"が生じるので、ベッドを主題にする認知的受動態文が成り立つ!
当然、by Marilyn Monroeがない下記の文は不可。
✕7-3) This bed was slept in.
8-1) 1) The Beatles stayed at the Tokyo Hilton Hotel in 1966.
◯8-2) The Tokyo Hilton Hotel was stayed at by the Beatles in 1966.
8-1) ビートルズは1966年に東京ヒルトンホテルに宿泊した。
8-2) 東京ヒルトンホテルは1966年にビートルズが宿泊した。
もう東京ヒルトンホテルはないのだけれど、歴史的事実は永遠に消えない。