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①※無料部分多め 「海外進出・新規事業系」

こんにちは、K&.です。今回は「海外進出・新規事業系 」ということで、網羅構造の中で最も重要である当パターンについて例題を用いて解説していきます。



参考:McKinsey問題パターン
①海外進出/新規事業系
②売上/利益減少系
③買収系
④公共系
⑤その他(DXなど)

全記事セットのマガジンでは個別に買うよりもかなりお得になっておりますのでぜひご検討ください。


以下はマガジン内で解説されている問題一覧です↓


 ②「売上/利益減少系」では、頻出問題である「地銀の利益率低迷」や、最近話題の「貸金庫」の問題など、苦手意識を持ちやすい題材を主に扱っております。

③「買収系(M&A)」ではファンドによる買収事業会社による買収の2つに分けて解説しております。思考時間が1分だったというお話も聞いておりますので、どちらも1分以内に構造化/幅出しできるようにしておきましょう。

④「公共系」は比較的フレームワークを使いにくい問題になりますが、トップダウンとボトムアップを用いることで安定して良質なアウトプットを出す方法を紹介しております。また、公共系では意外なフレームワークが活用出来ますので、そちらも解説しております。

その他記事についても同様に「代表的な論点構成紹介」+「例題解説」をしております。


記事冒頭で海外進出/新規事業系が最も重要と述べたのには大きく2つの理由があります。

・基盤となるフレームやその考え方の汎用性が高い公共系やDXなど、他の問題パターンにも応用できる
・Mck面接における出題頻度が高い

網羅構造の練習はこの海外進出/新規事業系から始めることをオススメします。



まず以下の例題を5分程度で解いてみましょう。

例題

クライアントはとあるアメリカのペットフード販売会社。この会社ではペットフードの生産から販売まで行っており、主に犬用と猫用の商品を取り扱っている。近年熱帯魚といった観賞魚のエサの市場が拡大しており、クライアントもこの市場へ参入するべきか悩んでいるとの相談を受けた。この相談に対し検討するべきことを構造的かつ網羅的に挙げよ。

解説

今回は新規事業進出系の例題になります。海外進出/新規事業系の問題では押さえるべき大論点は概ね決まっています問題や仮説に応じて中小論点やその切り口は変わりますが、大〜中論点に関してはフレームワークをベースに素早く幅出しし、お題特有の観点が必要な中小論点に時間を使えるようにしておきましょう。(大論点やその切り口が不適であると判明した場合には後から修正すればよいのです)

大枠の論点構成としては図1のようになります。

図1

図1は何も見ずにスラスラ言えるよう、一旦インプットしてしまうことをオススメします。

今回の例題もこの論点をベースに解説していきます。

<コラム:ケース勉強における注意点>
網羅構造/ビジネスケースの勉強においても「守破離」を意識することが大切です。私がこのようなnoteを出すことで、ここに記載されているフレーム/論点構成を「脳死で」暗記し「脳死で」ケース面接で披露してしまう方が一定います。

しかし、論点等の切り口やイシューは、その問題や自身の仮説に応じて変化するものであり、画一的なものではありません。

・ここで紹介されているフレーム/論点構成はあくまで一つの例であり、商材や自身の仮説に応じて、適宜カスタマイズする必要があること
・フレーム/論点構成をそのまま暗記するのではなく、なぜこのようなフレーム/論点構成に帰着したのかというプロセスに考えを巡らせること
・ここで紹介されているフレーム/論点構成をインプットし、そこに自身の解釈を加えることで「自分なりの型」を作りあげること

以上のような点を意識のうえ、本記事を読んでいただければと思います。

ATカーニーのHPには守破離に関する記事がありますので、ぜひ参考にしてください。
飛躍的成長に繋がる”守破離”の実践 | Kearney

では、先ほどの添付画像にある論点構成をもとに解説をしていきます。

参入可否

実現可能性

海外に進出するにしても、新規事業を始めるにしても、「そもそもそれって出来そうなん?」という論点があります。散々収益性や組織体制について検討を重ねた後に「法規制の関係でそもそも参入無理でした」となったら大惨事です。実現可能性については表1のように考えていきます。箇条書きの論点は代表的なものであり、問によってはこれ以外にも論点は発生します。

表1

■内部要因
・自社のリソースは足りるのか
:基本的には人/モノ/金/ノウハウを検討します。今回では特にモノやノウハウは重要になるでしょう。犬/猫のペットフードから魚のフードを扱う事となれば、原材料から作り方まで全く異なるでしょう。原料の調達先は確保できるのか、工場などの製造拠点は作れるのか(資金的に)、そこで働く従業員は確保できるのか、魚用フードを作るノウハウはあるのか、店頭に置いてもらえるのか、、色々と考えられます。ここでは図2のようにサプライチェーン(orバリューチェーン)を用いて整理するとMECE感が出ます。

図2

・株主の同意は得られるのか:クライアント企業が上場している場合には、株主の意向も気にする必要があるでしょう。この論点に関してはこれ以上深掘りする必要はないでしょう。


■外部要因
外部要因
としては、法的規制や政情的要因が挙げられます。事業内容や海外進出先によっては法的規制によりそもそも海外進出・新規事業が出来ないといったケースもあります。また最近のロシア・ウクライナ情勢のように、政情的要因によって特定の国への進出やそこでの経営が制限される場合もあります。今回で言えば食べ物を扱う以上、法規制などはありそうです(実際ペットフード安全法というものがあるようです)。具体的な法律まで知っている必要はありませんが、法規制がある可能性があります、と仮説ベースで簡単に説明すると良いでしょう。

以上のように、新規事業検討の際には「そもそもそれって実現可能そうなの?」という点を考えます。ただし、後の論点で登場する「参入方式」でのM&A選択有無で資金面の実現可能性が左右されたりと、今後の論点を検討する中でも実現可能性の考慮は必要になります。ですので、ここでは初期的な実現可能性検討といったニュアンスで理解いただければと思います。


参入要否

収益性

海外進出/新規事業参入が実現可能そうだと分かったら、「では本当に今参入するべきなのか?」という点について考えます。これは分解すると「儲かるの?」「リスクは大丈夫?」という論点に分解されます。

収益性

■利益:利益は売上と費用に分けて考えていきます。

図3

・売上:売上は需要側と供給側から検討します。ここでの基本事項は表2の通りです。

表2

今回は市場規模*シェアで分解しましたが、売上の分解にも様々な切り口が存在し、必ず根拠を持って切り口を選択することが重要です。

①売上=市場規模*シェア
②売上=地域A売上+地域B売上+・・
③売上=商品A売上+商品B売上+・・
④売上=店舗売上+EC売上
⑤売上=店舗数*店舗あたり売上
などなど、分解の仕方は多様にあります。

例えば市場はまだ導入期/成長期のため、まずは市場全体を拡大させることが重要との仮説から①の分解を選択する(EVにおける充電ステーション設置等)

例えば商品数が膨大であり「選択と集中」が出来ておらず経営資源を効率的に投下できていないため、伸びしろのある商品Aに注力できておらず競合に負けていることが課題との仮説から③を選択する
・・・

といったように、自身の仮説に伴い切り口を選択することが重要です。

今回であれば観賞魚エサ市場へ参入するにあたり、そもそもその市場の大きさや成長率はどのくらいなのか?その中でシェアはどれくらい取れそうなのか?という点が気になるほか、犬猫用のペットフード事業と魚エサ事業どちらにより注力するべきか?といった話にもなりそうです。そうすると結局犬猫用ペットフードの市場は今後どのように推移しそうなのか、その中での自社のシェアはどの程度になりそうかといった論点が重要になりそうという仮説から、今回は売上=市場規模*シェアで分解しております。(新規事業系は市場規模*シェアで分解することが多いです)

また、売上を市場規模とシェアから考える場合には、加えてプロフィットプールという概念にも留意するとよいです。市場規模とは「売上の総和」ですが、プロフィットプールとは「利益の総和」になります。売上をいくら上げても利益が全然ついてこない・・という結果にならないよう、予め利益観点からも収益性を確認しておくとよいでしょう。

今回の問題では、以下のような論点が出てきます。

図4

・費用
次に費用に関してですが、海外進出・新規事業系においてはイニシャル/ランニングで分けることが多いです。ランニングコストについては更にサプライチェーンで整理したり、固定費/変動費に分解して発表すると良いでしょう。今回の例題で言えば、以下のような費用が考えられます。

表3
図5

以上が収益性の利益の論点になります。


■シナジー/アナジー
海外進出系の場合には主に他地域とのシナアナを、新規事業系の場合には既存事業とのシナアナを検討します。具体的には表4, 5の通りです。

表4. シナジー
表5. アナジー

一般的に、コア事業からの周辺事業への展開成功率は10~30%程度と言われており、それほど高くはありません。

想像すれば分かるように、犬猫用ペットフード会社が魚エサ事業を始めるのと、例えば自動車生産事業を始めるのでは、明らかに前者の方が成功確率は高いと考えられます。

このように、新規事業を立ち上げる際には「コア事業との関連性」が重要であり、これを「シナジー」として今回論点に挙げています

コア事業と顧客/競合が一部被ることで分析コストが削減できる、エサ生産のノウハウを活かせる、設備を一部利用できる、このようにコア事業とどれだけ関連しているか(共有しているか)という点をシナジーという文脈で落とし込んでいます。

アナジーに関しては、全てリスク検討の論点に組み込んでも良いかと思います。これらカニバリ、ブランド毀損などの発生確率が低いのであればリスクほぼ必ず起こるのならアナジーとイメージしておくと良いでしょう。


リスク検討

参入要否の検討にあたっては、何か懸念すべきリスクは無いのか?という点についても考える必要があります。リスクに関しては前述の通りアナジーと区別がつきにくい部分もあり、個人的にはアナジーの話で出てきたような論点は概ねリスクの論点で出しています。(あまりにも発生確率が高いリスクについてはアナジーで出しますが。)従って代表的なリスクとしては表6のようになります。

表6


参入後戦略

以上を踏まえ参入するべきだと判断したら、次に参入後戦略について考えていくことになります。

実行戦略

実行戦略では参入方式と事業ポートフォリオ、経営体制に分けていきます。

参入方式
については図7のように、自社で全てやるオーガニック的手法と、M&Aなど他社を巻き込むインオーガニック的手法に分けられます。

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