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五美大展を見てきた

ちょうど関東に行く用があったので、国立新美術館でやっていた五美大展を見てきた。
5つの芸大が合同で開催しているので、作品数がかなり多い。駆け足だったゾーンもあるが、休憩を除いて3時間ほど見ていた。体力があればもう少しゆっくり見たかったなと思う。

ヘッダー画像は、多摩美術大学 先生 佳蓮『Excuse me』
多摩美ゾーンの入り口に吊ってあった。「この囲いのなか」とは。

あいにくの雨だったが、乃木坂駅からは一応傘なくても入館できたし、屋外展示ゾーンも傘が用意されていたので見に行くことができた。


好きだった作品

作品数が多かったので、特に気になったものに限って写真を撮った。
見返したら日本画ばかり写真に撮っていた。
油絵も少し、彫刻と版画もいくつか。

日本画

手前の草の書き方、奥の窓の赤い空の色合いが好き。
この作品が一番好きだった。

多摩美術大学 孫 晨『部屋』

いろんな草が描かれていてよかった

多摩美術大学 川端 もくは『杉並区西荻南2丁目、ボクシングジム前』

熱帯系の植物が描かれていて、すこし厚みのある葉が白っぽい感じが本物の質感みたいだった。

女子美術大学 槇野 鈴『夜間遊歩』

中央左にひっそり鳥がいた。近くで見ると絵の具の厚みがすごくて、版画の板を見ているようだった。

女子美術大学 李 唯親『沈淪』

色がきれいな作品。前面の緑と淡い白、繊細な鳥の羽がきれいだった。

多摩美術大学 葛 玲瑋『咲』

箔でぴかぴかした作品で、これは生で見ると印象が違うと思う。

武蔵野美術大学 齋藤 晶『蓮』

背景の金箔と植物がぱっきり分かれて描かれていてよかった。

女子美術大学 久保田 琳『実りの音』

光の淡い感じや水辺に生える植物がよかった。少女もかわいい。

女子美術大学 魏 卓羚『メルヘンの世界』

植物がわさっとしていていい。遠近での色合いやどこまで描画するかの加減がよかった。

女子美術大学 石井 沙英『Silent Love』

油画

ほとんど黒一色に見える絵。だけどよく見ると草や道がある。これも現物を見た方がいい。すごい。

武蔵野美術大学 池田 沙緒梨『ふかくふみいり』
『ふかくふみいり』拡大

かわいい油絵。ねんねは手足の残像もあってもぞもそしてる感があっていい。グラデーションもきれい。

女子美術大学 木村 文香『ねんね・ドッグ』『おでかけ・ドッグ』

やっぱり植物いっぱいの絵が好き。

東京造形大学 吉田 優菜『夕暮れに伝えて』

ぱっと見あまりにも写真な連作。でも写真以上に艶めかしい質感だった。

日本大学芸術学部 森田 愛梨『希望』『偽り』『永遠の愛』

でかくて最高だった。表面の質感も好き。

多摩美術大学 松島 功典『心に月を蔵して』

にじんだ色合いがきれいだった。

多摩美術大学 本田 航生『無題』

版画

木目が生かされた木版画で、版画だからこその表現って感じで好きだった。

多摩美術大学 セキ ムコウ『暗闇から咲いた花』

銅版画。木版画より線がはっきりくっきりする印象。そのうえで、ドット絵みたいなモザイクにしてる箇所があっておもしろいなって思った。

東京造形大学 川嶋 藍子『見ないふり』

でかいリトグラフ。大きい紙を9枚つなげた大きい作品。

東京造形大学 柴田 莉奈『擦る』

透明な板に刷ったシルクスクリーン。インクがぽったり重なっていて、板が透明だから裏のインクもちょっと透ける感じもあった。

武蔵野美術大学 ギュウ チン『Within one stem』

その他絵画

真ん中の小さいキャンバスにも同じように黄色い枠線が刷られている。今ここに立っている私も作品の中にいる。

武蔵野美術大学 黒尾 瞳『私たちは絵の外側にいない』

絵はキャンバスにアクリル。扉も含みの作品で、扉をのぞき込んで見るのが、プライベートを盗み見ているようで、見てはいけないものを見た気分だった。

東京造形大学 森 アルコ『プライベート』左
東京造形大学 森 アルコ『プライベート』右

遠目に見たときは、なにか文字で埋めてあるのかな?と思った。
近づくと、たくさんのモールだった。特になにか明確な形を示しているわけでもないのに、それがたくさん集まってなにか意味があるような気がしてくる。

多摩美術大学 稲又 洸太『drawing』
『drawing』拡大

彫刻、立体アート

不穏でよかった。

武蔵野美術大学 矢野 修平『perceive』

細い針金かなにかで作られたもこもこしたものが、ライトで照らされて、見る角度ですこしずつ様相を変えて、写真では撮りきれないよさがあった。

女子美術大学 川村 典子『夢に巻く』

池があった。石がちゃんといろんな色味してていい。

東京造形大学 下館 杏樹『lake(generic)』

金属フレームに囲まれ、点滴を打たれる本人。これも不穏でよかった。

東京造形大学 大室 悠人『self-portrait Ⅲ』

かわいいたくさんの石像。1体ずつ名づけがされていて、壊れてもそこに名前があって存在している。

女子美術大学 渡邊 陽菜樹『愛おしいが故に』
『愛おしいが故に』スーちゃん

うごめくような、糸目でにっこり笑う人。土台の石がそのままだから、石から這い出てきているような気持にもなる。

東京造形大学 髙﨑 唯『人虹・群像』

おわりに

どうやっても大きくて植物を描いている日本画が好きなんだと思う。
大きい絵の迫力が好きだし、モチーフとしての植物が好きだし、日本画のあの絵の具の感じが好き。岩絵の具のすこし青みががった緑もきれいだなと思う。

キャプションに素材を書いてないことがあったけど、目録には書いてあるのであとで確認しようと思う。
SNSアカウントをアピールするような文化はなさそうで、作者を追いかけるには名前で検索するしかないのも、追いかけきれない~もったいない~みたいな気持ちになった。

制作展は、大きい作品も多いし、そもそも作品数が多い。
いろんな作品を一挙に見ることができて、疲れるけど楽しい。

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