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いまどきの
「今時の若いもんはぁ〜」何て言われてムッとした経験があるからこそ自分はああはなるまい。そう思っていたはずなのに、悲しいかな年齢を重ねるとそれが口をついて出てしまうことがある。
今時の若者……というか、お子さまには驚かされることがある。私には姪がいるが、6歳にも満たない彼女のたどたどしい口調でこんな話をされるとは思わなかった。
「アイちゃんはねぇ〜、すとおかにさされてぇ、しんじゃうの」
「すとおかってわるーいひとなんだよね」
「でもぉ、すとおかってアイちゃんのことすきだったんだよ。ねえー、なんでさしたのかな」
おそらくアニメ『推しの子』の内容だろう。星野アイというキャラクターが出て来たはずである。確か、人気絶頂のアイドルであった彼女は熱狂的なファンにより命を奪われてしまって……という導入ではなかっただろうか。姪の年齢で触れる様な作品ではないと思うのだが……YouTube大好キッズな姪のこと、もしかしたらそこで目新しい情報をスポンジの様に吸収したのかも知れない。
昔でいう「ユビキタス」な現代、姪の様な年齢でも電子機器を扱えネットワークに簡単にアスセス出来てしまう。そこで得た情報を彼女らは素直に吸い上げ、そして素直な疑問を大人へとぶつけて来るのだ。それは昔の子どもの中からでは出て来ない様なものもごまんとある。姪の言う「すとおか」はストーカーのことである。ストーカー何て言葉をはじめて口にしたのはいつだっただろうか、一々そんなことは覚えてはいないけれども姪と同じ年齢で歪んだ愛情について考えたことははない。
「例えばね、メイ(仮名)と仲の良いお友だちがいて……メイはその子と遊びたいんだけど、そのお友だちはメイよりも仲良くしたいお友だちがいて、メイじゃない子と遊びたいって言われたらどう思う?」
「悲しいし、もしかしたらメイは嫌な気持ちになって怒るかも知れないよね。その悲しい気持ちや怒った気持ち、それが爆発しちゃってすとおかはアイちゃんを刺しちゃったんだと思うな。メイも怒ったら暴れたりパパママを叩いたりするよね」
「……メイ、さしてない。わるいひとじゃな〜い」
ストーカーが何か分からなくても、彼女の中で「すとおか」はアイちゃんを刺した悪者なのだ。その悪者と似たり寄ったりな部分があると言われて気を悪くしたのだろう、その話はそれっきりだった。複雑な表情を浮かべて食べるおにぎりはどんな味がしたのだろう。
このお話は終わり。今はそれで良い。他人に答えをたずねるのではなく自分で考え、答えを見つけられる様になって初めて触れるべきこともあると思う。与えられる莫大な情報に対し、子ども達の脳や心はまだあまりにも小さい。どうか身の丈に合った成長をしておくれよ。
「ごちそうさま〜!」
そうそう、そうやって顔に米粒をつけているのがお似合いで「イマドキ」なのだ。
りあくえ水曜担当
ミラクルファンタジスタKeroco