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わたしやあなたでなくても

収穫と言えば秋のイメージが強いかも知れないが、夏の収穫も凄まじい。私が今住み着いている田舎では少しずつ夏野菜が出回り始めた。

「出回り始めた」というのは農家さんの収穫の様子で、もちろんスーパーでは年中多種多様な野菜を見つけることが出来る。

しかし、トマト・ナスビ・キュウリ・トウモロコシはまだ小さめ……と、実際に畑の様子を見て土地の旬を知ることは楽しい。

さて、実りがあると田舎というのは「食べんかね」とお裾分けがやって来るのがデフォルトだ。いつやって来るか分からない、どれくらいの量がやって来るのかも分からない、いわゆるガチャである。

「冷蔵庫にキュウリがもうないわ〜」って買い足した次の日にキュウリがわんさかやって来て、冷蔵庫の中で無限キュウリしてました。というのは去年の夏のことであった。

食べ物をいただけるのは嬉しい。だけど量があるとなるといかに早く消費してしまうかも重要になって来る。だからそういう時は惣菜を作り置くのだが……料理の仕方って本当に性格が出るなあと台所に立つ度に思うのだ。

私のスタイル(?)というのは全て目分量、レシピに目を通したとしても材料と出来上がりの写真に軽く目を通しただけの完全ブラックボックス式である。この材料使って見た目がこうなら大体こんな味でこう作るんじゃない?みたいな。レシピ通りにしっかり作る人からしたら失神ものかも知れない。見た目と味がそれっぽければオッケー的な考えなのでレシピにないものを入れたり、書かれていない工程が入ったり、工程を抜いたりと、かなり好き勝手にやってしまう。

この前もそうだ。Twitterでりいさんが美味しそうなジャガバターを載せていたのを見つけて反応したところ、別の方から肉味噌を乗せると美味しいと教えてもらって。で、肉味噌のレシピを見せていただいたけれどもその材料がすぐ揃うことはなくて。でもなんかちょっと揃い方が惜しくて。青ネギはなくてもタマネギはあって、味噌はあるけど白味噌で……ニアピンみたいな。まあ、お察しの通り私はその状態で調理に取り掛かったわけだが。

青ネギがなければ新タマネギの先の部分(店に出されているタマネギではほぼカットされている)で良いし、白味噌に醤油を足して辛みをつけてやれば良いし、豆板醤?ないから焼肉のタレをテキトーに。そうして肉味噌(ただしくは肉味噌の様なもの)は完成し、無事ジャガイモと食べることが出来たのであった。

何にしろ、これでなければいけないっていう場面の方が実は少ないと思う。物でも、人でも、かわりは溢れているから。でも人は満たされたい生き物だから「あなたじゃなきゃダメ」をたくさん欲しがるものなのね。オンラインの世界を歩いてみるとよりそう感じてしまう。

「あなたじゃなくても大丈夫。(代わりになる人はたくさんいるから)でもね、私はあなたが好きだよ。あなたが良いと思っているよ

それで充分だと思ってしまうのはチープなのだろうか。

肉味噌(ただしくは肉味噌の様な物)美味しかったけどね。

と、ここまでが実は長ったらしい現実逃避。
野菜室を開くと「何でもいいから使え!」と言わんばかりのすし詰め状態の野菜と目が合う。私はありがたさに色んな意味で押し潰されていた。

ああ、相模屋さんの様に料理のレパートリーがたくさんあったなら。

私の頭の中の束子さん、どうしたら良いの。そう問いかけると……。

「私はバナナを30本以上、ポン菓子を1キロ以上消費し、そして今度は大量の生ナツメを消費しようとしていますが何か?」

と。



りあくえ水曜担当
ミラクルファンタジスタKeroco

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