坂本龍一とデヴィッド・シルヴィアンの禁じられた色彩:何回聴いたかわからない
音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その8>
David Sylvian and Ryuichi Sakamoto "Forbidden Colours"(1983)
YMOで原宿のたけのこ族を踊らせて日本のトップとなった後、坂本龍一が名実ともに世界的なアーティストになったのはこの映画「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」のサントラだったのではないかと思います。
実際に数年後にこれまた出演してサントラもつくった映画「ラスト・エンペラー(The Last Emperor)」でアカデミー作曲賞受賞していますしね。
「戦場のメリークリスマス」というのはビートたけし、デヴィド・ボウイ、坂本龍一という豪華キャストで撮影された大島渚監督の戦争映画。日本軍が占拠しているジャワ島での捕虜収容所のお話です。
映画はそこそこヒットしたと思いますが、映画以上にそのテーマが大ヒットしまして、たぶん当時の日本で聞いたことがないひとはいなかったのではないかと思います。通称「戦メリ」なんて呼ばれたりもしていました。
印象的なフレーズがずっと繰り返されて、儚いというか切ないというか、そんな音。
今の教授(坂本龍一の愛称)のつくる音はやや高尚な現代音楽っぽいのですが、この頃はもっと俗っぽくて(褒め言葉です)いいんですよね。
で「禁じられた色彩(Forbidden Colours)」は元ジャパン(Japan)のデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)がその戦メリに歌詞を付けて歌った曲です。
曲はもちろん素晴らしいんですけど、デヴィッド・シルヴィアンの声がまた曲にぴったりで、うっとりします。
デヴィッド・シルヴィアンが在籍していたジャパンはルックスが良かったが故にミーハーバンド的な見られ方をされてましたけど、音の方はすばらしかったんですよ。特に後期の3枚「クワイエット・ライフ( Quiet Life)」「孤独な影(Gentlemen Take Polaroids)」「錻力の太鼓(Tin Drum)」は大好きです。
デヴィッド・シルヴィアンの声って、ちょっと浮き世離れしていて、教授の曲に本当に合うんですよね。「バンブー・ミュージック(Bamboo Music)」「Heartbeat(ハートビート)」「ゼロ・ランドマイン(Zero Landmine)」などでも教授の曲を歌っているのでぜひそちらも聴いてもらいたいです。
教授のアルバムは「B2ユニット」とか「左腕の夢」とか好きなんですが、どれか1つに絞れと言われたら「戦メリ」。で歌入りの「禁じられた色彩」はさらに特別かな。今でもときどき聴いたりしますしね。
髙橋幸宏が亡くなり、坂本龍一も亡くなり(ご冥福をお祈りします)、YMOで育った身としては寂しい限りなんですが。
昔、中森明夫さんの「坂本龍一になりたい」という短編小説があって、めちゃくちゃシンパシー感じていたのがもうずいぶんと昔のこと。
坂本龍一にはなれなかったけど、まだ何かにはなれると信じて今日もあれこれ奮闘しています。
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