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コトノハ0005:いつ「大人の男」になれるのだろう

君の瞳に乾杯

私が若い頃は「男らしさ」とか「女らしさ」なんてものが求められた時代で、落ち着いていて包容力があってイザというときの決断力もあるような理想の男性像を「大人の男」なんて言ってました。

そんな「大人の男」の具現化がハンフリー・ボガードだという意見は当時かなり濃厚でした。彼はアメリカの映画俳優で、トレンチコートの襟を立ててタバコを吹かすのがトレードマーク。

映画「カサブランカ」はハンフリー・ボガードの「大人の男」の魅力が120%楽しめる名作なのですが、劇中で元恋人(イングリッド・バーグマン)と再会してお酒を飲む際にこのセリフを言うのです。

君の瞳に乾杯

かっこよすぎて実際に自分で口にすると小っ恥ずかしいですが、映画の中では見事にはまっているので、真似をしてバーで撃沈した男達が大量発生したとかしなかったとか。

元のセリフがHere’s looking at you, kid.で、日本語は見事な意訳になってます。

英語圏でくしゃみすると隣の人にBless you.と言われるのですが、これってMay God bless you.が正式フレーズで、直訳だと「神のご加護がありますように」ですけど通常は「お大事に」と訳します。

Here’s looking at you, kid.も正式にはHere’s God looking at you, kid.で「神があなたを見ていてくれること=あなたの幸運・安全に乾杯」みたいな意味でしょうけど、あのハンフリー・ボガードのセリフだからとキザで美しい日本語にしたんだと思います。

こういうのが粋だと思います。訳者も「大人の男」だったんでしょう。

気付いてみれば私も十二分に大人の年齢になってしまっていますが、いまだに「大人の男」にはなれていません。

はてさて、私はいつ「大人の男」になれるのでしょうか?

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