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絵師()は求めてないよね問題
補足、というと烏滸がましい気がしてならないのだけれど、具体例を出して細かい話をしてみようかと思います。
最初に、ぼくは経歴として(会社が潰れて短期間にはなりましたが……)ゲーム開発でアートディレクターをしていたことがあります。
それ以外でもレベルデザイナーとかやりましたがそれはまた別の話なんで、一応「そっちの話は実体験として理解している」と言うことです。
いうて5年も前ですが。触れておきました。
さて本題。まず、真っ当な契約を行ったうえで報酬を受けた実績がなければ、フリーランスでもイラストレーターという肩書をもつのは違うのではないかな、と思っているんですよね。
こちらの記事で挙げられているのはそういう意味での絵師()を含まないものなのかもしれませんが、であれば逆に挙げられているタイプに「名乗っているだけ」の層も入れてしまってもいいのかもしれません。それほど絵師()というのは飽和状態にありながらも、本来のイラストレーターを必要とする仕事の枠は少なく、安定した仕事でもありません。
余談:そもそも絵師って関係者当事者以外からの呼称であって、自分で使うのは滑稽ですよって話でね。こういう使い方やめろやってイライラしちゃいませんか?あと課金の使い方間違ってるやつとか。お前はなにか?税金払うことを課税したっていうんか?
話が逸れ過ぎました。ゲーム開発の話に触れます。
開発費の高騰はよく出る話ですが、フリーのイラストレーターの仕事が減ったことと深く関わるのは複数のイラストレーターの絵をアホほど採用するFGOのような形態を持つゲームが減ったというところでしょう。
これには大きく分けてふたつ原因があります。まずひとつめ「画風が安定しないのをごちゃごちゃいれると分散してしまってファンがつきにくい」「クオリティを保つ難易度があがる」といった要因。もうひとつが「そもそもただの一枚絵(プラス差分)をポンとおいて済ませるようなクオリティのゲームはもはや求められていない」という、技術向上による面。
この2つが相まって、イラストレーターの単価が上がりました。単価が上がるということは契約人数は抑えて、能力の高い人にたくさん働いてもらいたいとなるわけです。そもそも素人は不要なんですよね。
Live2Dだったりで動かせる構造を意識して作れないイラストレーターは必要ないし、そういった作りができる絵柄というものは絞られてくる(アウトラインがぼやけてるようなのは使いにくいですからね)
絵師()が飽和した時代がずっと続いている中で、それだけの腕をちゃんと持っている人間がどれほどいるか?という話で、そんなちゃんと仕事のできる人というのはおそらく(超低レベルの自称絵師を含めると)5%にも満たないのではないかと思います。
もちろん、デザイン起こしてもらって3D化するとかもあるわけなんですが、それはそれでちゃんと三面図作れて魅力的なキャラクターを作れてなんぼです。一枚絵でただ魅せるだけだと、本当に仕事がないです。
この状況を個人的には「まともなイラストレーターが正しく評価される時代になったのではないか」と考えます。あくまで仕事なので、必要とされる技術を持たない人間は仕事を失って当然なわけです。
技術を持たないフリーの絵師()が活躍できる場というのは、引用記事にあるようにラノベの表紙や挿絵くらいかと。ただ、イラストレーターという仕事はもともとお金になりませんよ。
一時的に儲かることはあっても絶対に安定はしない。フリーランスなら尚更当然ですね。
だからこそ、プロのイラストレーターって凄いわけですよ。そういった方を含めて絵師()と括るのは失礼だよなと思うほどには。
絵を描くことを仕事にしたいと思う若い人たちに「やめておけ」などとはぼくは絶対に言いません。ぼくも夢を追った側なので。ですが「夢を語るな。ちゃんと目標にしろ」とは言いたいです。
ただ妄想しても金にはならんし、生きていけんので。