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「芸人をやってたことを後悔したことは今んとこない」

役者を目指していた。

高校受験を控えた中学3年生。漫画やアニメにハマってた私は演じる道に進んでみたいと漠然と考えていた。
それから演劇の勉強もできる高校へ進み、専門では本格的に学び始め、卒業後は事務所にお世話になりつつワークショップに参加していた。20代の中頃までは。

その後は演劇から離れて今に至るんですけど、それについてはこっちにつらつら書いていますので暇なときにでも・・・。


そんな私なので、2021年4月クールに放送された「コントが始まる」というドラマは色々と刺さりまくってた。売れないお笑いトリオ・マクベスの3人と、あることから退職した姉と、姉の世話をする同居中の妹、5人の青春群像劇。推しを推す側としてだけではなく、芸事の道にちょっとでも進んでいた側としても毎週自分ごとのように見ていた。いや、どちらかといえば後者の立場として見ていた部分が大きかった。


なにがいいって、マクベスの解散を決めた彼らが紆余曲折ありつつ、葛藤しつつも、最後は解散するところなんですよね。「解散を決めたけどやっぱり続ける!そして栄光の道へと進んでいく!」とはならず。
いや、それはそれでいい作品もあります。でも、それって同時に解散すること、つまり諦めること→敗北→極端に言うと悪って描いているんじゃないかと捻くれてる私は思っちゃうんです。まあ、それは私が諦めた側だから感じるのかもしれないけど。
でもこのドラマは諦めることを敗北と描いていない。敗北と思っていた彼らがそうじゃないと気付く。そこに救われたんです。私は彼らに自分を重ねて、辞めた私は負けだと自分で傷をつけてた心にドラマの台詞一つ一つを薬のように塗っていました。

中でもガツンときたのがタイトルの台詞。これは7話で3人が愛車を売りに中古車販売をしている元芸人の先輩に会いに行った時のもの。これを聞いた時、なんだか励まされたような、ありのままの私を肯定してくれたような気持ちになりボロボロ泣いてしまったのを覚えている。
「辞めた」「諦めた」と話すとその夢を追いかけていた日々すべてを失ってしまうかのような錯覚をしてしまうけど、そんなことはない。そりゃ、もっとああすれば良かったとか、心残りのような後悔はある。
だけどやったことに一つも後悔はしていない。高校も専門も事務所も劇団も。そして、辞めたことも後悔していない。

今まで、辞めた自分はその道への努力や情熱が足りなかった敗者だと思っていた部分もあったけど、ドラマを見て、そしてこの台詞を聞いてからはあの頃の自分をちょっと認めてあげようと思うようになりました。


あー、誰にもないものを持っていたいのになあ

ドラマの主題歌、あいみょんの「愛を知るまでは」のこの歌詞は私を表しているようで、聞くたびにちょっと心がチクッとする。
個性が欲しくてあがいていたあの頃。普通が嫌で仕方なかったあの頃。いや、それはぶっちゃけ今も同じか。今も自分にしかないものを探している。多分これからもずっと探すと思う。
それも盛大なコントの前フリになるといいなあ、なんて思いながら。




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