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猿回し宮大工 左門 司
釘を打てば、その家がどう建ちたいのか。
カンナを削れば、どのように組みこむべきか。
猿坊が飛び跳ね、鳴きはしゃぐ。
それもこれも、猿回し。
すれば自ずと見えてくる。
祇園精舎の鐘の声。
どうも。
「猿回し宮大工」の、左門 司(サモン ツカサ)です。
日頃は、
全国の宮という宮を建築すべく、相猿「猿坊」を引き連れて飛び回っております。
はて、、
なぜ大工が「猿」といっしょに建築しているのか??
そんな声が聞こえてきました。
お教えしましょう。
猿は古来から木に登り、木の上で生活しております。
猿は、木の「声」を聞くことができるのです。
建築する際にも、木材に対して、どのように建ちたいのか、どうすればいいかを私は猿坊を通して「木」と対話し、釘を打っております。
トントン!
「あらよっと!あらよっと!」
『キー!キー!キー!』
「んな〜るほど!そう建ちたいわけね!あらよっと!あらよっと!」
トントン!
『キー!キー!キー!』
「んな〜るほど!あらよっと!あらよっと!」
すれば建ちし、理想の都。
昔、築数百年を越えるお寺を改築したときのお話。
「歴史あるこの寺に猿を入れるとは何事だ!断じて許さん!!」と
寺の住職に言われました。
しかし、私は一歩も引かず、
いかにして「猿坊」が必要なのか、
「木」と「人」を繋ぐ、大切な役割を担っている。
それが「猿」なんだと、
半年にわたって、私は根気強く住職を説得しました。
そして、、、
その説得が一念通じて、それならばと 特別に住職が「猿坊」の寺入りを許可してくれたのです。
私と猿坊は大いに歓喜しました。
歴史あるお寺に、私と猿坊の存在が認められたのです。
その日は宴でした。
私は意気揚々と特別な日にとしまってあった、日本酒を出し、お寺の前にゴザを敷き、「猿坊」とあたりめで一杯。
歴史あるこのお寺を、猿回し宮大工が改築する。こんな嬉しいことはありません。
お寺を見上げます。。
一生の記憶に残る仕事になるだろうと、うれし涙が、、
猿坊と歓喜し、酒がすすみます。。
お互い、かなり酔っていて、どちらが猿かわからないくらいに私の顔も真っ赤でした。
「キー!キー!」
「ん、なーるほど、、!」
話しはどのように改築をするか、
「キー!キ〜ヒー!」
「んな〜るほどっ!そりゃ名案だ!」
猿坊の提案で、いまからお寺を改築しよう!と
そりゃいい!名案だ!と。
「キィー!」
「あいよ!」
私たちは千鳥足で立ち上がりました。
「キキキ」
「おっととと!」
視界がぐらぐらする中、猿坊があらぬ方向に指をさし、
「キ〜キーキィ〜!!」
こちらも、呂律が回らぬ返事で、
「ふぁいよ ォ!」
私たちは、
「キー!キィ〜!キー!」
「ん、なぁーあ、、る、ほ、ど!!ね!!」
酔っていたのです。
「キー!ヒック、キィー!」
「はーよっと!ヒック、あら〜よっと!ック!」
トントン!トントントントン!
「キィー!」
「へいさ!ヒック!」
「キィ〜!!」
「ほいさ?、、ほいさー!!」
トントン、ギコギコギコギコ!!
ギコギコ!
ギイー!
「キィー!キー!キー!!」
「ん、なーるほど!!」
トントントントン
ギコギコ、キキキキキ
ガシャーン
「キー!ー!」
「あら〜ック、よっと!!あらよっと!!」
ガシャーン
ガガガガシャーン
トントン!ギコギコ!
ガシャーン
ガシャーン
ゴオオオ ォォ
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
気がついたときには、
寺は、
大きく燃え上がっておりました。
「何やってんだー!!!!!」
住職が飛んできました。
「キサマらー!!」
「ち、違うんです!違うんです!!」
「何が違うんだ!!!」
「あのォ、、」
私はダメもとで、、
「猿坊、、」
「キイー!」
「ん、なーるほど、、。」
「あの、住職さん。。
信じられないかもしれないんですけど。。
木が、、
『 燃やせ 』って言ったんです。」
「この野郎ー!!」
やはりダメでした。
そのあと、私と猿坊はもちろん、警察のお世話になりました。。
人生、山あり谷あり。
私と猿坊は大いに反省致しました。
今ではなんとか、出所して、また猿坊と一からやっております。
千里の道も、一歩から。
釘を打てば、その家がどう建ちたいのか。
カンナを削れば、どのように組みこむべきか。
猿坊が飛び跳ね、鳴きはしゃぐ。
木と共に生き、猿と踊る。
祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
?、
さっぱりわかりませんが、
お仕事、お待ちしております。
宮大工 左門 司