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ハイレート・アンサンブル Vol.1
※この記事の物語はフィクションです。以下記載のある人名・地名・用語等は現実世界のいかなるものとも関連を持ちませんのでご注意ください。
という注意書きでお察しください。よろしくお願いします。
プロローグ/新たなステージ
2017年。
新年を迎えた賑やかさも落ち着きつつある1月25日。
各種マスコミはアメリカ大統領選挙の結果報道ばかりを繰り返す。
史上最高齢のトランプ氏が就任したことを大々的に、いつまでもロボットのように伝え続けるのではないかと思われた、そんな頃の出来事。
僕は政治に疎い。特に興味も無い。
早く来月になって欲しい。
「劇場版ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」が楽しみだ。
巡る思考は利己的なものに終始していた。
大学生として最後の春休み。とうに曜日の感覚など破壊されている。
4年生の前期で卒業確定した後、まともに大学の教室など訪れていない。
時折キャンパスへ向かう機会と言えば、友人と昼食を共にするためだった。
苦しかった就職活動も夏休みを前に終え、一安心。
同級生と外出するか、1人でふらふらと遊ぶか、アルバイトか。
人生の休息期間を謳歌する僕に、1通のLINEが入った。
K先輩「セットどう? 金曜(27日)徹夜!」
K先輩は僕の大学の麻雀サークルの創始者だ。
勉強会など定期的に開き、後輩たちの指導にあたっている。
社会人となり、麻雀の機会が減っているのかと思えばこのようにセットの話を何度ももってきてくれる。いい先輩だ。
僕「例のごとく行けます。」
麻雀を嗜む人間である僕が言うのもはばかられるものがあるが、僕は健康的な生活をしている。
酒を全くと言っていいほど飲まないし、タバコは大嫌いだ。
夜の電車や街の雰囲気がどうも苦手で、夜遊びなんかもしない。
泊まりを除けば、外出時は終電より前にほとんど撤退。
飲み会に彩られた華やかな大学生たちより、湿った生活を送っていたと言えるだろう。
そんな僕が徹夜でセットに赴こうと思ったのは、新しい一歩を踏み出したいという期待なのか、踏み外した道を見たい好奇心なのか。
今となっては、もう、覚えていない。
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