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ゼロクレジットの男(第4話)

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国内で新型コロナウイルスの例が報告されてから数か月。
その猛威は未だ止まらず、日本は不安と混迷を極めている。

「自分は大丈夫」といったバイアスにとらわれることなく、客観的な情報を基盤に全国民が協力し合い、利他的な行動をしていくことが重要になるのは、言うに及ばないだろう。

過酷な情勢の中、我々に「思い込み」の恐ろしさを伝えてくれるのは、

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もちろん、あっさじーんさんである。

***

2018年6月中旬。
法事の関係でボクは親戚の実家がある大阪へ向かうこととなった。
祖父の生家は長崎なのだが、その後大阪に転居している。

眠い目をこすりながら午前の新幹線に乗り込み、都内から大阪へ。
関西に着いたとまず実感するのは、いつ来ても「駅のエスカレーターが右寄りに乗られている」瞬間だった。

昼過ぎに新大阪駅の地に降り立つ。いくつかの路線を乗り継ぎ、斎場の下見が済む頃にはおやつの時間だった。

夕方夜と親戚に挨拶して回る。昔からよくしてもらった方々へ遅ればせながらの就職の報告をすると、自分の子のことのように喜んでくれていた。
素敵な人々に囲まれて育ち、幸せだなと改めて自覚する。

そして翌日朝。寝覚めが良いのは前日夜に暇を持て余し、早く布団に入ったからだろうか。

「18時までゆったり過ごしとけ。大阪の街を見て回ってきてもいいぞ。ほどほどにな。」

朝食を早々に終え、父から自由時間を言い渡される。

「分かった。17時半にはそっち着くようにしとくね。」

そう答え、シャワーで意識を再起動させる。
中学・高校に通っていた頃は朝シャワーにこだわっていたが、大学生・社会人と経るにつれ落ち着いて湯船に浸かるのも乙なものだと認識し直している。人間の感覚は環境の変化と共に移り行くものだ。

(...じゃあ、行きますか。)

と思ったところで、問題が発生する。
宿泊用の服などを比較的大きめのスポーツバッグに詰めて東京の実家を出発したのだが、携帯用カバンを持ってきていなかったのだ。
仕方無いので、買い物で使うかもしれないと放り込んでおいたエコバッグに財布・小銭入れ・定期入れ・スマホ充電器の4点を放り込み外出。
見た目的には完全に近所のスーパーまでおつかいに出された中学生である。

地元の路線に乗って移動し、まずは京橋駅で用事を済ませる。
実のところ、学部を卒業するあたりまで東京都内にも京橋という駅が存在することを知らなかったりする。
幼き日から関西へよく帰省していたボクにとっては完全に大阪の駅名だったのだ。

京橋から目的地となる大阪駅へ移動。
京橋・難波・梅田にはマーチャオの4人打ちフリーがあり訪ねたこともあるのだが、関東と違いウマが1-2なのでちょっと慣れなかった。
そして何より、「大阪でいい店はないか」と探していたボクに複数のフォロワーから勧められた店があり、そこに行こうと決めていた。

大阪駅を梅田方面に向かうところで無事2回ほど現在地を見失って迷子になるものの、何とか地上に出ることができた。

移動中に検索し気になった蕎麦屋に突撃し腹ごしらえ。
鴨せいろ蕎麦、非常に美味でございました。

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万全の準備と僅かな緊張を共に、店の扉を叩く。

その後、関東に遠く離れたあっさじーんさんが事件を起こすとも知らずに。


ASJ4号事件

今回訪れた雀荘は...

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