2024-08-14 メドレー FY24-Q2 決算コメント
はじめに
本日、メドレーはFY24-Q2の決算を発表しました。本投稿は、メドレーを応援いただいている長期投資家の皆様、メドレーへの入社を検討している皆様に推奨します。再掲になりますが、当社が向かっている新中期目標地点については会社から公式noteが出ておりますので、初見の方は文脈の補足として併せて御覧ください。
決算コメント
FY24-Q2の売上高は、前年同期比40%増、EBITDAマージンは28%となり、FY24-Q1に上方修正した通期業績予想に対して、やや上回る推移をしています。通期業績修正予想では年間売上高はYoY+43%、EBITDAマージンは16%を見込んでいます。前年のQ2は、リオープニング影響が大きかったため、今年は下半期に成長率が高くなる予定です。FY29、1000億円の売上高目標を前倒しするための事業の打ち手を増やすべく、トップ・タレント集めに投資しています。FY24下半期は、例年以上に目まぐるしくなりそうです。
人材PF事業セグメント
Q2の人材PFは、前年同期比46%の増収と、引き続き堅調です。EBITDA成長率は+29%に留まりましたが、主な要因は前述の通り、前年のリオープニング影響のほか、転職閑散期でのテレビCMを初めて実験してみたことがあります。いわゆる転職閑散期では競合他社も宣伝活動を控えている傾向があり、面白いチャレンジでしたが、短期業績への貢献は限定的となりました。
新中期目標でお伝えした、医師・看護師・薬剤師への支援強化や、副業支援領域などの影響はQ2はありませんが、取り組みを始めていますので、ご期待ください。
求人サイトの勤続支援金に関する規制強化の可能性について
現在、政府機関等において、求人サイトで採用決定した求職者に支払う「少額の勤続支援金」の是非について検討が進められています。現時点では実施の有無も未決定ではありますが、市場の皆様からの問い合わせを想定し、経緯と規制が加わった場合の当社の対応について、スライド内でご説明しておきました。
記載の通り、株主価値に関わるようなリスクでは有りませんが、当社の顧客事業所、ひいては全国の患者や介護福祉の利用者にとっての悪影響を強く懸念しており、準公共分野の効率性が維持されることを望みます。
引き続き議論の流れは注視し、政府の合理的な意思決定に資する情報提供を行っていきますが、規制及び当社の対応策について重要な進捗があり次第、速やかに開示を実施します。
医療PF事業セグメント
FY24-Q2の売上高成長率は+15%、EBITDAマージンは-3%となりました。病院向けサービスの導入がQ1に偏重したため、Q2は弱く見えますが、下半期の売上高成長率は+35%前後となる見込みとなっています。
Q2では、前回お伝えしたUber Eats社との配送連携に加え、Amazonファーマシーとの連携も開始しました。有り難いことに、Amazonファーマシー経由で医療機関を受診する部分を、当社が現時点では全て担わせていただいております。
Amazonファーマシーに限らず、調剤薬局と診療所等の連携は重要です。調剤薬局領域では、COVID-19の最中にPharmsというプロダクトで開始しましたが、現在、リリース後最大のバリュー・プロポジションの再検討をしています。私自身が調剤企業の経営をする場合は、必ずPharmsを徹底活用すると言い切れる状態にすべく、Dive Deepしていきます。
US事業の状況
US状況はTech CrunchのTC Brand Studioの記事にも掲載されています。Medley, Japan’s healthtech leader, debuts Jobley to solve hiring barriers in the U.S.
(1) 対象地域の拡大
前回もお伝えしたように、現在は、チームビルディング効率の観点から、歯科分野に特化して事業の骨格を作り、地域・職種は、日本におけるジョブメドレーと同様に、拡大対応していく方針としていました。第一弾として、2024年8月から40以上の州に拡大しています。長丁場を覚悟し、精度の低い大型投資は行わない方針ですので、ややコスト面で今期予算を下振れています。
(2) 非営利団体向けのサポートプログラムの開始
Jobleyは現在歯科向けにサービス提供をしていますが、このプログラムは無料で質の高い歯科治療を提供する非営利の歯科医院に対して、Jobleyの成果報酬を無償で提供するものです。
アメリカでは日本と異なる保険制度のため、低所得者や無保険者が医療アクセスに苦労する直面する場面が少なく有りません。歯科領域でも、2023年のCareQuest Institute for Oral Health によれば、成人の約 27% が歯科保険に加入しておらず、健康保険に加入していない人は 9% であり、メディケアおよびメディケイド加入者の約 3 分の 1 も歯科保険に加入していないことがわかっています。
メドレーは、日本でも自社が厳しい時から被災地への支援などに取り組みました。3.11の時は、自社の資金もない時でしたが、支援を通じて私自身もこれから作っていく事業の社会的な価値を感じたものです。USでも、私達は時間がかかったとしても(速いに越したことはありませんが)、社会に必要不可欠なレベルのサービスに育てていきたいと考えています。こうした取り組みがUS事業のチームにも小さな誇りに繋がっていけば嬉しいです。
おわりに
最近は、Open Innovationの取り組みや、グッピーズのM&A以降、協業に関する問い合わせが増え、目まぐるしい毎日を送っています。
当社の基本戦略は、顧客事業所数を増やし、複数プロダクトによりARPUを高めていくというシンプルなものです。
その中で、最近、意識しているのはARPUの質です。質とはつまり、プロダクトが良い状態かどうかです。プロダクトが良い状態とは、顧客が他の顧客を連れてきてくれる程に満足度が高い状態であり(いわゆるNPS)、市場シェアが最も伸びている状態/もしくはトップシェアの状態になるでしょう。
そして、トップシェアのプロダクトの場合は、数字の見栄えが悪くなくても、ARPUの裏にある不満や課題をもっと理解し、将来の社会にあるべき姿を考え抜かなくてはなりません。そのためにも、データ主義一辺倒ではなく現場を見る・顧客の話を聞くということを、一層大切にしていきます。
引き続き、全社一丸で良いプロダクトづくりに繋げていきますので応援よろしくお願いいたします。