もう情報に振り回されない
インフォデミック
インフォデミック。2020年、この言葉を知った人もいるだろう。
パンデミックから作られた「情報の感染(デマ)」を指すことばだ。
先月、SNSでのとある個人の発言が世の中のドラッグストアからトイレットペーパーを消してしまった。今やそれぐらいSNSによって個人の情報の影響力が一人歩きしてしまうようになってしまったのだ。
かつて、2003年にSARSが流行した。当時では、今のデマのような問題は発生しなかった。それは、一重に情報技術の成熟度が全くことなることによる。
情報に振り回されず、自分の時間を取り戻すにはどうすればいいだろうか。
そのためには、情報の洪水から一歩身を引くことと、情報の正しさに対する姿勢と向き合う必要があるのではないだろうか。
情報に奪われるもの
日常で何気なくポケットから通知の音が鳴る。ワクワクして開くと知らない誰かさんが僕のツイートをいいねした。という情報だった。
Facebookを開くと誰かさんの結婚報告、気遣いとしていいねを押しておく。
ここには奪われたものが二つある。それは「情報を考える余裕」と「時間」だ。知らない誰かの情報で脳味噌がいっぱいになってしまう。さらに、それに対してアクションする時間を奪われてしまう。
本当に必要なことなのだろうか。おそらく必要ないことがほとんどだろう。
どのように必要かどうかを判断するべきか。
それは、「デジタルミニマリズム」を実践することにある。
デジタルミニマリズムは「デジタル」で「ときめかないものは捨ててしまう」スタンスを貫くことを意味する。
例えばこうだ。まず、一通りアプリを削除する。1ヶ月使わないと決めた上で削除したアプリを「これは自分にとって本当に必要なものか」を考えて戻していく。そうすることで奪われていく時間と無駄な情報をシャットアウトしていく。ポイントは「機能性」とか「新しさ」とかでなんとなくアプリを残しておかないことだ。
私たちが大切にするべきはリアルだ。自分が生きているこの世界と周りの人たちを大切にすることだ。「デジタル・ミニマリスト」はそのことを教えてくれる。
情報の正しさ
情報と触れる場所を減らしたあと、問題になるのは触れる情報の正しさだ。
情報技術の発展は目覚ましい。とある政治家が話してもいないことを肉声データを機械学習させて話したデータを捏造したり、動画を加工して作ったりする技術が至る所で利用されている。「ディープフェイク」といわれるものだ。
そして、メディアは読み手を写す鏡だ。反政府思想の人間が「首相、緊急事態宣言延長へ」というタイトルを読むと首相への愚痴をSNSへ垂れ流すだろう。
情報技術はますます政治利用の武器になっていく。トランプ政権は2016年のニュースに情報技術を利用して選挙を勝ち取った。Netflixのグレート・ハックはその実態を暴くドキュメンタリーとなっており如実に情報技術の危険性を目の当たりにすることができる。
情報の正しさを追うためには沢山のことを意識しなければならないが、大切なのは「どの立ち位置のメディア」が「誰のニュース」を「どう伝えているか」を見抜くことだとおもう。また、見出しに書かれていないことは何かを調べることも大切だ。
グレートハックでは、「データは石油の価値を超えた」という話がでてくる。どちらも管理を行わなければ爆発の危険が伴うのだが。
だからこそ、情報と突き合わせてうまく付き合うリテラシーがますます必要となってくる。
データ・リテラシーでは各国のフェイクニュース戦略や、現在のマスメディアの構造を詳しく説明している。おすすめである。
ファストからスロウの時代へ
自らをスロウの時代へ戻す必要がある。情報への向き合い方が何もかも素早く考えずに、から大切なものだけをじっくりと考えて、の時代へと変わっていく。
いまこそ溢れ出る情報を減らし、何が正しいか向き合うこと。これこそが自分を守る防具となり、次の行動へつなげる武器となる。
明日の自分を守るために、スロウに。
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