WEBディレクターズガイド#6「スケジューリング」
まえがき
1か月ほど間が空いてしまいましたが、年内には15回完結を目標に書いていきたいと思っています。本シリーズはWEB制作を15のフェーズに分けて行う予定ですが、合併して書く回もあるので厳密に言うと本編は13回になります。残りの2回は番外編と最終回としてのあとがきになります。残りは以下を予定しています。
「#7:プロトタイピング」~こんなはずじゃない!!を防ぐために~
「#8:原稿整理・実装」~コンテンツの品質がここで決まる~
「#9:動作検証・デバッグ」~見るべきポイントを見よう~
「#10&11:テストアップ・修正」~プロジェクトの分岐点はここから~
「#11&12:ユーザーテスト・調整」~ユーザ視点のWEBサイトにするために~
「#13:本公開」~最後の落とし穴にハマらないために~
「#14:請求&#15:運用」~ディレクターとして知っておくべきお金の事&サイトを育てるのはここから~
「WEB制作用語集」~番外編~
「あとがき」~WEBディレクターズガイド最終回~
今回が折り返し地点かなと思っています。元々は前職で、WEB初心者だった後輩がWEBの案件の打診を受けたことがきっかけで、指南書代わりに作ったパワーポイントのスライドが始まりでした。(私はプロジェクトの途中で移ることが決まっていたため、ラストレター的な位置づけのスライドになりました。)
WEBディレクターとして10年間携わって来たので、「今まで経験してきた事がもしかしたら、他の誰かの役に立つかもしれない」「自分のキャリアをまとめておくのも悪くないかもしれない」そう思い、このシリーズを書くことを決めました。つたない文章ですが、沢山のスキを頂く事ができて本当にありがたく感じています。ありがとうございます。
さて本編です。
今回はWEB制作におけるスケジューリングの話ですが、スケジュール管理って経験値を要求されます。各工程のおおよそのリードタイムを把握しておかないとなかなかみんながHAPPYになるスケジュールを立てるのは難しいと思います。なので、理想を言えば先輩ディレクター(または上司)とOJT的に案件を何本かやってからこの工程を担当させてもらうのがベターだと思います。(ここをミスると関係者が睡眠不足になったり、最悪の場合、案件が燃えます。)
実際問題、一緒に組むメンバーの力量にも左右されますし即席チームの場合かなり難しい工程になります。ですので1人で立てるのは極力避けた方が無難です。
とはいえ。
「WEB担当私だけなんだけど」「人数が少なくて上司も自分の案件でパツパツ。話聞いてもらえないよ」「頼れる人、誰もいない。」みたいなケースも結構あると思います。WEBデザイナーとディレクターを兼任して!(無茶な話ですけど)みたいな事もあり得ると思いますし、ひどい場合だと「よろしく。」の4文字で片づけられる事なんかもまだまだ否定できないのが現実化と思います。
スケジューリングのポイント
なので今回はすべてを網羅はできないと思いますが、スケジューリングのポイントを記載したいと思います。(ケースも違えば、環境も異なる、メンツも異なる、、それくらいスケジューリングって難しいんです。。)
基本的なことですが、スケジューリングは工程を決める作業になるので「誰が」「何を」「いつまでに行うか」、作業範囲と役割を明確にすることになります。デザイン制作の時も下記のような図を出しましたが、とにかくアバウト厳禁です。勝手にディレクションのV字工程と名付けてますが、これはスケジュールにも当てはまると思います。
最低でも以下のポイントは押さえておきましょう。
①サイトの規模、仕様によりテストアップは複数回設定する。
複数回のテストアップ、これは制作サイドだけでなくクライアントも助ける事になります。こちらが思っている以上にクライアントは自分たちがやるべき事を理解していません。「どこからどこまでをいつまでに見て下さい。」と言う事と必ずお客さんは上層部に対し中間報告をするので、そのタイミングについても抑えておいた方がよいです。見当違いのところを先に手を付けて、上層部の報告のタイミングが近づいてきてから「うわぁ~!」みたいなことになってしまいます。
②顧客向けテストアップと内部向けテストアップは別にしておく
これは当たり前ですね。ノーチェックでお客様に出せるの?と言う事です。(過去にこれやっちゃってとても怒られた奴=私)
③素材(原稿・画像など)の手配は早めに行う。(埋め込みタグも同様)
原稿支給、素材支給の場合はほぼほぼ最初のタイミングでこちらが必要です。画像1枚、原稿1つにとっても、お客様が他の部署(省庁)と調整を行わなければならなかったり、撮影したりする必要もあったりで、パッと出てくる事ばかりではないことは留意しておいた方がいいと思います。
後、ぬけがちなのはGoogleAnalyticsやその他サードパーティ製の埋め込みタグの手配ですね。(何気に時間かかります。)その辺りも踏まえて余裕のあるスケジュールを作成することをお勧めします。時間がかかるようであればこちらの制作はダミー画像で対応しておいて後から差し替えるなどの手段を検討します。
④多言語版のサイトの場合、翻訳が発生するのでその分の期間も見込んでおく。
最近ですと自動翻訳やWovnなどの言語切り替えツールがあったりしますが、やはり大体の場合翻訳原稿を用意することが多いのではないかと思います。その場合、日本語の原稿を用意してから翻訳工程に入るので、翻訳作業の期間も見込んでおいた方が良いと思います。
⑤設計事項を明確にしておく。
これについては端折らずに細かく書いておくことをお勧めします。ある意味ディレクター自らが行う作業をすべ考慮した上で「どれくらいの所要時間がかかるのか?」を積み上げた上で検討する、くらいで丁度良いのではないかと思います。(細かいことを言いますとサイトマップのフォーマットを自分で作るのと、誰かのフォーマットを使う、のではそこに費やすリードタイムも異なる、そんなイメージです。)
⑥ディレクター単体で立てるのではなく、制作チームと相談して作成する。
これが基本かなと思います。相談して決めます。スケジュールを作る行為に対する所要時間は要しますが、けっしてディレクター単体で立てない。これに尽きるかと思います。もしくは自分でこうかな?と思ったスケジュール表を作成して、「どうですか?」と先輩ディレクターまたは、関係者に相談するという手もあるかと思います。
プロジェクト管理ツール
会社で決められたツールがあるのであれな、そちらを使って工程管理を行うのがいいと思いますが、なかなか決まったツールがないケースも多いと思います。そういう場合、自分で探したりすることもあるかと思うので、いくつか管理ツールをご紹介させて頂きます~少しでも足しになればと言う思いを添えて~。※エクセルやGoogleスプレッドシートもおススメですよ
①Brabio
これ、一番よく使ってました。5人まで無料で使用することが出来ます。ガントチャート機能や、メッセージング機能(添付ファイルも付けれます)もありかなり活用させて頂きました。一番よく使ってたのは、ガントチャートでWBS(Work-Breakdown-Structure)を作り、それをエクセルにエクスポートする機能でした。操作も分かりやすく複数プロジェクトも設定できることから無料で十分すぎる機能が備わっているかと思います。
②Backlog
こちらはご存じの方も多いのではないでしょうか?プロジェクト管理、バグ管理、タスク管理、バージョン管理、カンバン機能などまさにWEB制作のために作られたのではと思う管理ツールです。1か月間は無料トライアルで使用できます。ですので、制作見積に経費として含めておいた上で使用するのがベター化と思います。(プランも4つあり金額もプランに比例して2,600円~55,000円/月までレンジがあります。)
比較的関係者の人数も多く、大きめの案件に向いているのではないかと思います。
③マンモスプロジェクト
こちらはマンモスプロジェクトというツールになりますが、PMを20年以上経験された方が開発プロジェクト管理のかゆい所を網羅した管理ツールになります(現場での経験って強いですよね。)。直感的に使うことができ、プロジェクトの議事録やコメントなどもタスクごとに時系列で追うことができます。(人間同士の永遠の課題、言った言わないが解消できそうですね。)プランも3つあり、一番安いプランだと500円/月・人、で使うことができます。直感的に使えるのでおススメです。
その他
スケジューリングには、会議体(内部定例、クライアント定例など)の設定や何か問題が起きた際のステアリングコミッティなど様々なケースを想定した上でのタスクを組み込んでおいた方が良いです。プロジェクトを円滑に進行するも燃やしてしまうのもある種ディレクターの双肩にかかっているといっても過言ではないので。。。
最後に
スケジューリングって本当に経験値を要求されます。なので、1人で悩むなら周りの助けを借りるのがベターですが、、、1人で悩みを抱えざるを得ないディレクターのがいらっしゃるのであれば本記事が少しでも一助になれば嬉しいです。
次回は「#7:プロトタイピング」~こんなはずじゃない!!を防ぐために~を書きたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?