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WEBディレクターズガイド#3「プレゼン」~#4「受注」

■プレゼンテーション(提案)の場について

ここに至るまでのプロセスはこちらのバックナンバーをご参照ください。
WEBディレクターズガイド#0「イントロダクション」
WEBディレクターズガイド#1「ヒアリング」
WEBディレクターズガイド#2「企画・調査」

プレゼンテーションは準備した企画をお客様に提案する場です。
相手が「どういうサイトになるか?何をする必要があるか?」イメージできる場を目指します。相手のUXを向上するべく一連のストーリーを説明しますが、この回は失敗踏まえた私の体験談なども踏まえながら進めていこうと思いますので気軽な気持ちで読んで頂ければ幸いです。繰り返しになりますが、プレゼン前日の徹夜はおすすめしません。

■前日の徹夜はおすすめしません。

なぜ、これを繰り返すかと言うと、前回の企画・調査の段階でなかなかスムーズに進まず、プレゼンまでの時間がどんどん無くなっていき、あっという間にプレゼン前日「せめて企画書だけは仕上げないと帰れないぜ!」という状態になったことが何度もありました、実は。そのおかげで…

・プレゼンの朝に寝坊したこと
・資料を忘れたこと(論拠がどっか行ってしまったり)
・何を話そうか、本番で頭が真っ白になったこと
・午前午後と1本づつプレゼンがあって体力配分を完全に間違えたこと
・デザインが全然仕上がらなかったこと
・「この企画のポイントは3つあります!!」と意気揚々に言ったのは
 いいけれど3つ目のポイントを忘れてしまって滑ったこと、など。。。

上げ始めるとキリがありませんが、徹夜したことで起きた失敗が色々ありました…。せっかく色々お膳立てして来たものがパーになりかねないわけです。なので出来れば資料の出力まで前日の夕方には終わらせて、帰るまでの時間はコーヒーでも飲みながら資料の確認とプレゼンのイメージトレーニングが出来るくらいが理想です。(理想。)

■心構えと準備

近頃はリモートでのプレゼンもかなり普通になっているので、ZOOMやMEETなどのオンライン会議ツールを使ってやることも多いようですが、オンラインプレゼンは正直あまり得意ではないです。なぜならば先方を取り巻く場の空気感や相手の表情がリアルに比べると圧倒的に察知しづらいのもあるからです。(カメラOFFにしていらっしゃる方もいるので。)何よりコール&レスポンス的なリアクションがないのは、結構きついものがあります。

もちろんメリットもあるかと思います。物理的な出力や移動などの手間も省けますし、なにより台本を用意して読み上げるという手も使えます。(プレゼンが苦手、慣れないという方はありだと思います。)

ですが、個人的にはリアル(対面)でのプレゼンがいいなと思ってしまいます。ここではリアルでのプレゼンの場合で話を進めます。ポイントしては下記になります。

・デザイン資料はA3で出力しましょう。(企画書は場合に応じてA3で。)
・デザイン資料は極力説明時に渡しましょう。(企画書と一緒に渡すと10中8くらいの確率でお客様はカンプデザインを先に見ます。)
・簡易プロトタイプを見せると仕上がりをイメージしやすくなります。
・原稿の読み上げはやめましょう。(リアルでのデメリット!)
・企画書にメモ書き沢山あると先方に見えることもありますよ。
・相手の反応を見ながら、説明のリズムに緩急を付けましょう。
※出席者の反応を客観的にチェックしながら説明をする事ができるようになると場慣れしてきた証拠です。

■いざ本番!人数別対処法

プレゼンをする会社ごとに1日でタイムテーブルを区切って指定される場合もありますし、各社個別に場を設けてやる場合もあります。いずれにせよ遅刻は厳禁ですので大体まぁ、開始の10~15分前くらいにプレゼン会場に到着するくらいで移動するのですが、慣れるまでは、会場についてからプレゼンまでの時間が途方もなく長く感じられたものです。

今更どうしようもないのに、企画書の部数を確認したり、何故か確認したはずのページに誤字を発見してしまったり…など。。。どうにもならないので、会場についたらトイレ行くくらいにしておきましょう。。個人的には、会場で席についてからプレゼンが始まるまで営業担当がやるアイスブレイクの間緊張が高まる経験をよくしました。大体「じゃあ、あとよろしく」みたいな感じでスタートするのですが…

でも可能であれば複数名プレゼンター(男女混成がお勧め)がいた方がいいと思います。自身の経験では一人でやる事が多かったのですが、悪く言うとリズムが1本調子になってしまうこともあったりしますし、何より疲れることもあります。そういう時に話者がスイッチするとお客様も新鮮さが増しますし、それぞれのプレゼンターもインターバルが取れます。デモをやる事も踏まえるとやはり複数名でやった方がなにかとメリットは多いような気がします。

プレゼンと一言で言っても、相手の人数もそれぞれで異なります。相手が1人と言うことは余りありませんでした。仮におひとりだった場合、確実にその方だけで決めることはないと思うのでなるべく細かくやり取りをした方がいいです。(なぜなら上司やチームメイトに何かしら報告する役目を負っていらっしゃるからです。)

大体ですが、3名~5名、7~10名、10名以上…で分類できました。

①3名~5名の場合

対面になることが多いですよね。先方様の机の大きさにより若干距離が出来たりすることもありますが、可動式の机の場合最初に移動させる作業をやったりしてやや緊張がまぎれることもありますね。

この場合、企画書を先方にお渡ししてモニターにPCをつないで説明…というのが最近多いのではないでしょうか。持ち時間があまりない時は紙ベースで説明します。

お客様の反応はまちまちですが、大体責任者の方は目の見ながら話を聞いてくださることが多かったので基本的には責任者の方に中心に話しかけ、たまに他の方の反応を見つつ、うなづきかけたりしながら話を進めます。たまに「聞いてないなこの人」みたいな方もいらっしゃいますが、この人数感であればその方に向けて身振り、手振りをつけながらアピールこともできるかなと思います。

現在は飛沫感染防止用のパーティションが中央に立っているケースが多いので、比較的大丈夫かと思いますが、比較的距離が近くなることもあったので経験が浅い時は企画書に「これを話そう」と色々メモ書きすることが多かったので、メモ書きが先方から丸見えになってしまったこともありました。。(苦笑)。

②7~10名の場合

このくらいの人数の場合、大体大会議室クラスのお部屋に通されることが多く、もちろん資料はお配りしますが、こちらが紙ベースで説明することはほぼありません。よって先方様のプロジェクターやモニターをお借りすることになるのですが、、、こんな時に限って…Windowsアップデートが強制的に始まったりするような悲劇(T_T)に見舞われることもあります(実際ありました…)ので、出来れば出発前にPCのご機嫌も取っておくこともおススメします(^^)。

そして、私の場合はほぼ立ってプレゼンしていました。身振り手振りを踏まえて説明することで熱量も増しますし、声も通るようになります。何より気持ちいい!!!

プレゼンってある意味ライブをやるのに近い感覚があります。ハコが大きくなるとそれだけ気合も変わってきます!終わった後は燃え尽きるくらいの感じになるプレゼンは本当に気持ちがいいです。

③10名以上

この規模になりますと、ホールとか大講義室に入ってやることになります。教卓的なところから話すことになるわけですが、マイクやピンマイクを使うケースもこのくらいの人数からかなと思います。

プレゼン!!!というより説明に戻る感じになりますね。
今までで一番人数が多かった時で30名くらいだったのですが、逆にマッタリしてしまったような記憶があります。。。

■プレゼン後の質疑応答

これ、苦手な時期ありました。。。プレゼンで精いっぱいでフリースタイルが出来なかったときは、スムーズに返せず周りに答えてもらっていたりしましたね。

返せる質問はもちろん返すのですが、この場で答えられない質問が来ることもあります。そういう時は無理に答えようとすると却ってマイナス評価になったり、先方に頼りない印象を与えてしまうこともあるので、遠慮せず堂々と持ち帰りましょう。お金や契約など、会社対会社に関する質問は営業に振ってしまうと良いです。

あまり大きな声では言えませんが、制作範囲に比べて短納期な案件もあります。どう見てもこれ、間に合わないんじゃないか…と提案前から分かっているようなケース、、この場合、お客様が制作に掛かる自分たちの負荷がわかっていない事が多いので、公開がかなりの確率で後ろにずれます。

ですが基本は形式的にでも希望納期に合わせ、大日程を組み望みます。

■プレゼン後の回答(勝った?負けた?)

この回答によって、勝ったか、負けたか、が判明するわけです。案件の規模と参加者数によりけりですが、大体1000万円くらいまでの規模であれば1回のプレゼンテーションで決まることが多かったです。

稀に2~3社に絞られた状態で最終プレゼンを依頼されることもあります。(1次ではここが弱いと思ったので、貴社ならこの部分をどう考える?みたいに具体的なレビューと共にご要望頂けるお客様もいらっしゃいました。)

ここは個人的な経験になりますが、大体プレゼン後3日~1週間の間に連絡が来る時(レスが早い場合)は、勝っているor真っ先に落とされたときが多いです。「ピントがずれとるやないかい!!」となった場合即、負け。です。逆に「ドンピシャじゃーん!!」の場合も早いです。

コンペなのにその場で決めて頂いた事やプレゼンの翌日、抜け殻状態の時にお客様に呼ばれ補足説明をして勝ったこともありました。

勝った場合でも負けた場合でも、自分のプレゼンや企画を客観的に見て頂けるお客様のレビューは可能な限り詳しく聞きましょう。

■受注のご連絡を頂いたら

なるべく早めに顔合わせを行い、プレゼンのレビューやその後の段取りについて会話する機会を設けるようにすることをお勧めします。

■余談①「プレゼンに慣れるには…?」

実は、WEBディレクターになりたての頃は社内の打ち合わせにおいても人に対して説明することが大の苦手でした。人の視線が集中しているかと思うと頭が真っ白になり、毎回シドロモドロになっていました。人前で説明をすることが一番苦手だったので、WEBディレクターを辞めようと思ったことは1度や2度ではありませんでした。

なのでまず始めたのが、「企画書にメモる」「台本を作る」事でした。ですが上述の通りお客様に見えてしまうような事もあり、とりあえず場を乗り切る…みたいな感じの印象を与えてしまうことも多く、質疑では泳いでしまったりと、勝てるプレゼンテーションには程遠い状態でした。。。

先輩にコツを聞いても「慣れると、どってことないよ~」という回答であったりとか…

まぁそんな状態でしたが、コツをつかめたのは上司や先輩にプレゼンを聞いてもらいレビューを受け、本番を任せてもらう、これを繰り返すことで少しづつですが、何となくのコツをつかめるようになりました。

その後は実践機会も沢山あった(1か月で20本とか)ことから、「慣れると、どってことないよ~」の状態になっていったのですが、プレゼンが苦手な人からするとこれは生きるか死ぬかの問題なわけです。

なので、例えば上司や先輩に言うのがためらわれるのであれば、スマホで自分のプレゼンを撮影して自分で見返したりしてみてください。何より自分のプレゼンを客観的に見る、または見てもらいながら練習の積み重ねていく事が遠回りのようで近道なのかと思います。

■余談②「こんなこともありました」

最後に余談な話を2つさせてもらい、本編を終了したいと思います。

1)「笑ってはいけない…」
とある学校のお客様だったのですが、WEBサイトをリニューアルしたいということで、私は初訪問でした。営業担当からは「WEBサイトをリニューアルする時の考え方みたいなものを簡単にまとめておいてもらえればいいので」と言うことで、ヒアリング的な打ち合わせのつもりで資料を4部持って、客先に伺いました。4人程度入れる応接室的なところに通され、お客様を待っていたところ「あ、ここじゃないんでこちらへどうぞ~」と別室に通されましたが、、、、実はそこが大講義室でプレゼン会場でした。目の前には20名程度座っておられました。

想定外の出来事で思いっきりキョトーン(・_・)…としてしまい、不覚にもちょっと笑いそうになり、「笑ってはいけない」の世界に放り込まれたような感覚になりました…。横を見ると石のように固まったままの営業担当のひきつった顔がなおさらその世界をリアルにしていきますが、お客様の

「さぁ!今からプレゼンテーションを20分でお願いします!!!」

の声に、我に返り、足りない資料(4部しか持ってきてなかったので)は回し読みして頂くことで、何とかやりましたが…さすがに負けました。。

2)「絶対に取り返せ。」
とある企業様のWEBリニューアルの火消しに入った時の事です。元々は既存案件で(ディフェンディングの立ち位置)、別拠点の担当者が進めていた案件がありましたが、提案の段階で炎上…お客様が既に他社に対し決裁しようとしていたタイミングでした。そんなことも知らず私は、何気ない冬の朝100円玉で買えるぬくもりと共に出社したら、鬼の形相の役員が私を待っていました。「え!?!?!?」と驚く間もなく経緯を聞かされ…、いや聞き、その役員から出た指令が「絶対に取り返せ。」でした。

指令を受けて、とりあえずそのお客様の下へお話を聞きに伺いましたが、はじめましての状態で既に半ギレの状態で、もらった猶予が1週間、、、考える間もなくその役員は「はい!!!大丈夫です!!!」と即答状態。なかなかな規模のサイトのリニューアル(数千ページほど)の企画を1週間、、、さすがに何回か徹夜しましたが、前日の徹夜だけは死守しました。

結果、無事取返すことが出来ましたが、なんでそんなに怒らせるまで放置していたんだ、という気持ちにしかなりませんでした。。。(確かに、お客様がリニューアルしたいって言ってんのに「リニューアルはなし!」という提案したら普通怒りますよね。。。)

以上余談でした。

次回はWEBディレクターズガイド#5「設計・デザイン・スケジューリング」として、受注後の実制作の話に入ります。よろしくお願いいたします。


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