Horizonグラフ: 面グラフの変形で、空間効率良く時系列データを表現できる可視化手法
「情報可視化入門」の第14章 時刻データの表現手法で紹介した「二色塗り分け擬似カラー」は、空間効率良く時系列データを表現できる可視化手法です。それに続いて紹介した「Horizonグラフ」はページの都合で例を掲載できませんでした。二色塗り分け擬似カラーに似た手法ですが、面グラフを重ねるという考え方が面白いので、ここに紹介しておきます。
「二色塗り分け擬似カラー」は、先日「新型コロナウイルスの感染状況を俯瞰するために、二色塗り分け擬似カラーで可視化した」としても紹介しました。空間効率良く時系列データを表現できるため、全国の新型コロナウイルスの感染状況を俯瞰するために使用しました。
Horizonグラフは面グラフ(Area chart)の変形だと考えることができます。面グラフから始めて、Horizonグラフの描き方を説明します。まず、下のような面グラフがあるとしましょう。これは2020年の旭川市の1年間の気温(7日移動平均)を表したものです。面グラフの読み手は面積からも値を読み取ろうとする可能性があるので、面グラフは面積が意味を持つようなデータの表現に適しています。気温(摂氏)を表す面グラフは必ずしも面積が意味を持つとは言いにくいのですが、ここではそのことは気にしないことにしましょう。
旭川市の冬の平均気温は氷点下になります(つくば市も冬は寒いですが、もちろん旭川市ほど寒くはなりません。二色塗り分け擬似カラーの例ではつくば市の気温を使用しましたが、Horizonグラフの例では負の部分が欲しいの旭川市のデータを使用しました)。氷点下部分は、X軸よりも下にも現れます。この部分の色を、下のように変えることにします。
ここでは暖色と寒色で色分けしました。色分けをしたら、下のようにX軸で折り返します。色分けしたので、こうしても、あいまいではありません。
こうすることで、表示領域を(単純に考えると)半分に節約できました。
さらに縦方向に2段に分けて、上の部分を、色を薄くした下の部分に重ねると下のような図になります。元の描画領域を基準にすると1/4の領域になりました。
縦方向を3段に分けて、同じように重ねると、下のような図になります。
元の描画領域の1/6の領域になりました。
「二色塗り分け擬似カラー」と違って、正と負の値を明確に区別するために、二つの色相を基本に、彩度を変えたグラデーションを使います。また、凡例からも分るように0のところで、上下の色の塗り分け方を変えています。同じ色を使って、「二色塗り分け擬似カラー」と同じ塗り分け方にすると、下のようになります。負の部分が上から下に伸びるように見えます。これはこれで悪くはなさそうです。
最後に旭川市の30年分(1991年〜2020年)の気温の変化を表したHorizonグラフを載せておきます。
データの出典: 気象庁(ここで紹介した図のデータの出典は気象庁ホームページです)