Kさんの怪談 001
Kさんのいちばん古い記憶は3歳のとき、祖母の葬儀なのだという。
一軒家である実家で行われた葬儀の最後、なぜか集合写真をとることになった。
忙しくしている両親や祖父とはぐれてしまったKさんは、知らない大人たちに囲まれて泣きそうになっていた。
そのとき、手が差し伸べられる。
顔を上げると祖母がいた。
その頃のKさんは「死」というものが理解できておらず、亡くなったはずの祖母という違和感には気がつかなかった。
慣れた祖母がそばにいることに安心をして、Kさんは祖母の隣で写真にうつった。しかしいつの間にか、祖母はいなくなっていた。
当時の写真は今もKさんの実家にある。
写真の中央に笑顔のKさんの姿はあるが、そのまわりに当然祖母はおらず、知らない親戚に囲まれているだけなのだという。