分かりにくい外来用語使う事はやめて欲しいね。「オーバーシュートとロックダウン」
日本では、オーバーシュートというカタカナ言葉を爆発的感染拡大とか爆発的患者急増と定義して使用しているけれども、もう少し正確に定義すれば良いのになあと思います。
このオーバーシュートという言葉は、専門家委員会の協議結果を報告する際に、副委員長が使ったことにより、マスコミが取り上げ一般視聴者や政治家も認識し使い始めたものと認識しています。
英語のOvershootとは、an act of going past or beyond a point, target, or limitという定義なので、何らかの基準点(a point, target, or limit)があり、それを超える(over)ことです。https://www.lexico.com/en/definition/overshoot
ここでの今回のCOVID-19に関する基準点は医療キャパシティーであり、それを超える感染拡大をオーバーシュートと定義すべきでしょう。すなわち、医療崩壊を生じるほど多くの感染者が出ることであり、これは死者が増大する避けるべき事態です。
医療キャパシティーは、地域によって異なるために、大きなキャパシティーのある大都会と小さなキャパシティーしかない地方都市とは異なるので、感染者が50人でもオーバーシュートは起こり得る反面、医療キャパシティーが大きければ1000人でも起きない可能性もあります。
さらに、感染者の中にも不顕性感染者や軽症者も含まれており、そうした人が自宅での自己隔離を行うことで対応するのであれば、病院のキャパシティーは一定でも感染者総数が多くても治療対象者の5倍程度の感染者があってもオーバーシュートは起きないことになります。(今回のC O V I D−19は80%を軽症者・不顕性感染者と言われているので、20%のみを病院が対応すると仮定するとそうなります。)
いずれにせよ、せっかく他の国で使っていない用語をマスコミも政治家も使い始めているのであれば、その定義を正しくして使うことによって、国際的にも利用得るものなので、早急に用語の再定義を行い正しく使うべきだと考えます。
また、ロックダウンという言葉も定義が曖昧なままマスコミで使われています。
Lockdownという英語は欧州ではCOVID-19に関して早くから使われており、少なくともカリフォルニア周辺では使われていません。多分、英語と米語の違いだと思うのですが、衛星都市型の欧州では都市のロックダウンは比較的容易だったのでしょうか。
イタリアのロンバルディー州では、武漢と同じようなロックダウンが行われたと聞いています。
最近では、ニューヨーク市についてもLockdownと言う用語が使われ始めており、カリフォルニアでも時として使われ始めているようです。
日本でも、東京について首都封鎖・都市封鎖という意味で使われているようで、武漢封鎖のような都市の外部との交通・往来を止める状況を言う場合に加えて外出禁止のような時にも使うと厚労省では言っているようです。しかし、マスコミに出てくる専門家や政治家は、その用語の使い方に違いがあり日本語で「ロックダウンすなわち都市封鎖」とか「外出禁止などのロックダウン」とか言っています。
私の住むカリフォルニアの場合には、客商売が禁止され、仕事などでも家から出ないような外出禁止命令は出ていますが、道路を通行禁止にして車で他の町への移動ができないと言うわけではないので、厳密な意味でのロックダウンにはならないのでしょう。社会機能が止められたと言う意味で多くの場合shut downとかclose down と言うだけだと思います。
ニューヨーク市や東京について、もしも爆発的感染が起きてしまった場合には、他都市との往来を止めてしまおう(必需品の物流は残す)と言う意味でロックダウンをすべきであると言う議論はされているようで、それはありうると思います。しかし、それが外出禁止と新幹線などの交通機関や空港を閉鎖するかどうかは大きな違いで、それをいい加減な外来語のロックダウンと言う言葉を使うべきではないと考えます。
小池東京都知事が、唐突にロックダウンがあり得ると言うことを言うから、都民を不安にして、不要な買い増しや買いあさりが始まり(英語ではPanic buyingと言っています)平常時の生活ができなくなりました。こうした意味がはっきりしない用語に、一般市民はどちらかと言う過剰反応を示してしまいます。
日本語でちゃんとした定義をして一様に使うか、日本語で都市封鎖、外出禁止、集合禁止などの分かりやすい用語を使って、国民の間で誤解が生じないようにすべきでしょう。
いずれにせよ、COVID-19については早く有効な治療法が見つかり、早期に収束することを祈念しています。
K2masaki 3/27/2020