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『海辺の彼女たち』Vol.2

驚くべきことではないが3人の彼女たちは、ベトナムのホーチミン市、ハノイでのオーディションにて選ばれた女優あるいはモデルである。100名の中から選ばれはだけあり誰もが役柄にマッチしており魅力的だ。本名をそのまま役名として使う藤元監督ならではの手法により、彼女たちは完全に役になりきっている。来日前にベトナムにて技能実習生と同様に日本語学校へ通う過程を踏み、その時点から日本へ働きに行く技能実習生の心理状態となっている。実際に日本へ技能実習生として働きに来る人の事情はそれぞれではあるが、どちらかというと農村部で暮らす20代から30代の人が多い。ただし、家庭の事情はあるにしろ、本人の意思によって技能実習生への道を選んでいる。3年間ないしは5年間を無事に勤め上げれば地元で家を建てたり、親兄弟を裕福にすることができる。そんな背景もありベトナム政府は日本への技能実習生制度に理解を示しているが、日本側の受け入れ態勢については、まだまだ問題は山積している。日本に於けるいちばんの課題は、日本国民の無関心さではないだろうか。既に日本は外国人移住者数でいうとドイツ、米国、スペインに次ぐ世界第4位の外国人移住者を迎えている。このことに気づいている日本人は少ない。外国人がいるなとは認識していても観光客かコンビニのアルバイトとしか思っていない。コンビニのアルバイトを行っている人は留学生が多く、技能実習生として日本に来た人は職場も変わることもできず、もちろんアルバイトも許されない。なるべく問題から目を伏せることが普通になってしまった日本社会において、映画の果たすべき役割は大きい。今の行いがいつかは自分に返ってくることを認識しなけらばならない。実際に3人の彼女たちはベトナムをはじめ、アジア諸国で活躍している。東南アジア諸国の発展は凄まじく国際化はさらに加速している。藤元監督が世界に通用する映画を作成していることは一筋の希望である。

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