朝霧よ静寂聴くほうきの音
ベトナムハノイホアンガン通り
午前4時の静寂は 何色に染まるのか
市場通り沿い
ザーサー
ザーサー
ザーサー
ひそやかに現れる影々
名もなきほうきたち
都市の片隅で 遠くほうきの音色
近く人々の暮らし
埋立てのゴミ それは遠い
彼らの手に交錯するのは現実だけだ
名声も賞賛も要らない
ただ黙々と 新しい一日
通りを整える
太陽と雨 風と共に音を立て
ほこりや臭いに耐え 現実を繋ぐ
夜が明けると ほうきの音色は
新しい日を迎え 通りにまた輝く
重いほうきを道路上で振り続け
ゴミの山を通り過ぎ
魚臭な匂いに耐え
彼女らは 黙々と動く
こなし 耐え
人々の目に映らぬ現実の織り手
心なき言葉 心なき視線
ほうきの音は 静かに今日を繋ぐ
夜の静寂の中で ほうきの音色
都市の行き交う人と
バイクと車の現実にも
黙々と心に響く
大雨、台風にも懸命な姿、
押し流されず彼女らは闘う
ベトナムの人々の尊さは
現実の中にしかない
彼女らは都市の片隅に
黙々と拾い掃き進む
ザーサー
ザーサー
ザーサー
偉大な人々は目の前の現実の中
新たな朝の光りに照らされる
黒や銀色の様々なゴミ
彼女らはカートのバトンを引き継ぐ
懸命な夜通しの彼らのカートを並べ
都市の人々の現実を見る
彼女ら彼らは 都市の影で
静かに寄り添い
身体を張りくねらせる
都市の人々の名もなき
ほうきの音色
ザーサー
ザーサー
ザーサー
朝霧は黄金色の時。。。
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