20240731 ②
長谷川白紙 the first take「外」
白紙がずっと言っていて、そして今作のテーマに掲げている、「声が仮構する身体をぼやかして最大化したい」という欲求が、今まで成されなかった形で達成されていた。感動した。
ゲストボーカルには白紙の知り合いや友人のアーティスト(敢えて)が迎えられている。クィアなアイデンティティを思わせる面々だが、前傾化されることはなく、長谷川白紙の発する詞を象って歌っている。
「外がだいすきだから、外に出たいのだ」
これまで長谷川白紙が複製芸術の手法と、歌の身体性にフォーカスしたライブ表現で行ってきた撹乱を、今回のアクトでは、ゲストボーカルの身体を用いて行ったと言えるのではないだろうか。純新無垢の印象を懐かせる素直なコード進行と歌詞は、懐の広さとして機能しているように思える。
「ちょうど良い歪みまで 今は来たようだ」
ここはもっとも長谷川白紙の輪郭がくっきりする歌詞に思えるが、ファーストテイクではあまりにゲストボーカルとの共振が激しすぎて、むしろ個人を超えた意思が発する、捨て台詞のような無骨ささえ顕れている。
わたしはこの部分で震えた。音楽をどこまでも拡張してくれるという期待がとまらない。