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Ingressのアノマリーで勝ちたいという話

2018年7月28日。札幌の旭山記念公園で、緑にライトアップされたステージを見ながら、私は心のなかで呟いていた。「一回でいい。勝ちたい勝ちたい勝ちたい…」


私がIngressをプレイし始めたのは、2015年2月末。なにかの雑誌の記事を読んで、真っ黒な画面に青と緑の光が浮かぶSFチックなスクリーンショットに興味を惹かれたのだ。青の方がきれいだな、と思ってレジスタンスを選んだ。

普段のIngressは陣取りゲームだ。世界中に点在する「ポータル」を3つ繋げて三角形を作る。青のレジスタンス陣営と緑のエンライテンド陣営が、作った三角形の面積で競っている。ポケモンGOでいう「ポケストップ・ジム」がIngressでいう「ポータル」だ。

Ingressのプレイ画面

行ったり来たり遠回りしたりして、通勤時間がめちゃめちゃ長くなった。今まで存在に気付いていなかった記念碑や地蔵を知った。そして自宅近くと通勤路は、「会ったことはないけど、確かにこの近くにいる敵プレイヤー」との戦いの場になった。まさに「The world around you is not what it seems.」(あなたの周りの世界は、見たままのものとは限らない:当時のIngressのキャッチコピー)だ。


私にとってIngressが、「一人孤独に、目に見えないが実在する敵と戦うゲーム」ではなくなったのは、2015年9月。7ヶ月かけてやっとレベル12か13くらいになっていた私は、当時Ingressのスポンサーだったローソンの前で、同年代の見知らぬおじさんに声をかけられた。「Ingressプレイヤーのk1silver(←当時の私のコードネーム)さんですよね?レジスタンスの地域コミュニティに入りませんか?」

まさか自分が「ゲームを通して知り合った人」と仲良くなるとは。SNS (当時はGoogle+) で1000人以上の人と繋がるとは。自分がゲームのイベントを主催する立場になるとは。このおじさんが声をかけてくれなければ、その後の私は今とは全く違う人生を歩んでいただろう。ありがとうワハハさん。


でも私にとってIngressは、まだ地元でやるゲームだった。「シャードとかいうやつが飛んできたらしいので、(どこか遠い街←どこに誘われたか忘れた)に行きませんか?」とか「今度沖縄でアノマリーという大きなイベントがあるんですけど行きませんか?」と誘われても、内心「いやいや行くわけないでしょ、スマホゲームのために」と思っていた。

ところが、Abaddon沖縄アノマリーのたった2ヶ月半後の2016年2月27日に、私はObsidianアノマリーに参加するために浜松にいた。なぜ参加するつもりになったのかは覚えていない。Abaddon沖縄でオペレーター (パソコン画面で現地の状況を把握して、現地参加者に指示を出す人) 的なことをして興味が湧いたのは覚えている。浜松が日帰りで行ける距離だったことも大きいだろう。ちなみに帰りの新幹線で寝過ごしてしまい、岡山で一泊することになったので、結果的に日帰りはできなかったんだけど。


さて、それから約7年。大阪へ、東京へ、札幌へ、コロナ禍を挟んで横浜へ。行けるときはできるだけ現地へ。無理なときはオペレーターとして。私が参加するようになってから、レジスタンスは日本の大規模アノマリーで連敗を続けている。(その前にも何連敗かしていたらしいが、よく知らない)

負け続けても参加するのは、楽しいからだ。負けるのが楽しい?そんなドSではない。勝ちたいに決まってる。でもアノマリーに現地参加するのは、負けても楽しいのだ。負けるのはとても悔しいけど。

数千人のプレイヤーによるポータルの奪い合い (詳細は省くが、アノマリーの戦いは三角形の陣取り合戦ではない)。全身に緑の風船をかぶったおじさん。イヤホンから聞こえるオペレーターの指示。久しぶりに見る顔。息を切らして走るおっさん。攻撃を妨害するように、どこの地方かわからない方言でわざと話しかけてくる敵プレイヤー。統率の取れた集団で戦闘していることの充実感。そして何より、普段のIngressでは感じることのできない、膨大なエネルギー。あの硬いAegisシールドが、入れても入れても簡単に剥がされるのだ。

さて、ここからが本題だ。レジスタンスはどうすれば勝てるだろう。


ここからが本題だ、と書いたが、実はそうたくさん書くこともない。アノマリーは基本的に現地参加人数の勝負だ。年月とともにルールは変わってきたが、最近はよりシンプルなルールになり、より一層人数勝負の色が濃くなっている。

もちろん人数が全てとは言わない。練度の高いプレイヤー4, 5人で、練度の低いプレイヤー7, 8人に勝てる場面はある。でも練度の差はどちらの陣営にもある。現地でログを出しても戦闘には参加せずミッションをしている人も少しはいるだろう。でもそんな人はどちらの陣営にもいるし、圧倒的に少数派だ。

何時間前から免疫戦を始めるか、どうチーム編成するか、当日陣営受付に来た人にどう動いてもらうか、そういうノウハウの差も多少はあるかもしれない。対象ポータルに対する散らばり方/距離の取り方とかフラッシュボムのタイミングの合わせ方は、平均的にはエンライテンドの方が上手いような気もする。同人数なら勝てると思ってるのか?とエンライテンドの人は言うかもしれないが、少なくとも同人数を集めて初めて立てる同じ土俵に、我々レジスタンスは立てていない。

日本国内でレジスタンスプレイヤーの数が少ないわけではない。要は「どうやってより多くのプレイヤーにアノマリー現地に行ってもらうか」という仕組みを作ったり、「アノマリーは本当に楽しいから一緒に現地に行こうよ」と各地のコミュニティがメンバーを誘う取り組みをしたり、そういう点で日本のレジスタンスはエンライテンドに負け続けているのだ。

そして、負けが続くと、より人数差が広がりやすくなる。エンライテンドは「勝てるよ!楽しいよ!」と誘いやすい。レジスタンスは「負けても楽しいよ!」とは言いにくいし、「行ってもどうせ負けるんでしょ」と思われてしまう。負けても楽しいんだけどね。いやほんとに。


エンライテンドの中田吉法さんが、直近のEpiphany Dawn横浜アノマリーについて分析されている記事がこれだ。

この記事によると、エンライテンドとレジスタンスの現地参加人数比は「バトルビーコン戦の支配率平均から算出される1.35倍と大きくは乖離していない」そうだ。ということは、レジスタンスが現地参加人数を3〜4割増やせれば、いい勝負ができるはずだ。どうすればそれだけ増やせるだろうか。

もし私の息子がSnow Manやキンプリのメンバーなら、息子に「Ingressってゲームが面白いよ、やるなら青でね」と言ってもらうだろう。ファンのうちたった数百人がアノマリーに来てくれたら、戦況は大きく変わるはずだ。だが残念ながら、私は目黒蓮の父親でも平野紫耀の父親でもない。
もし私の娘が乃木坂46のメンバーなら(以下略)


Epiphany Dawn横浜に関して、私は完全に「ふらっと参加した普通の一プレイヤー」だったが、個人的には今回のレジスタンス準備室 (陣営の取りまとめとして様々な事前準備などをしてくれていた集団) は素晴らしい頑張りをしてくれていたと思う。(←謎の上から目線)
各地のWake UP! パレードもよかったと思うし、無料配布された陣営独自グッズは感心するほど素晴らしかった。

レジスタンス陣営登録者に配布されたキーホルダー
レジスタンス現地参加者に配布されたバンダナ

「アノマリーに現地参加すれば、こんなに素敵なグッズがもらえるよ」というのは、次回以降の人集めの際に大きな手助けになるだろう。しかし、準備室を頼ってばかりはいられない。次回の大規模アノマリーがいつどこで開催されるかはまだわからないが、勝つために参加者を増やすことができるのは、我々のような「各地の普通のプレイヤー」なのだ。


先ほど、「負けが続くと、より人数差が広がりやすくなる」と書いた。でも私は、レジスタンスにとっては次回がチャンスだと思っている。

おそらく規模的なピークだった2016年7月のAegis Nova東京アノマリーや、コロナ禍前2019年3月のDarsana Prime東京アノマリーに比べて、直近のEpiphany Dawn横浜アノマリーは、同じ首都圏開催だったにも関わらず、両陣営とも大幅に現地参加者が減っていたと聞いている。逆に言えば、大幅に増やせる余地があるということだ。

今から各地のコミュニティが次のアノマリーに向けて動き出せば、追いつける可能性は十分にあるんじゃないか?そしてもし一度でも勝てれば、その次からは「我々も勝てるかも!」と思って参加者をずっと集めやすくなるんじゃないか?そう思ったから、私は年末の大掃除もせず、年賀状も書かずに、このノートを書いている。(もう大晦日なのに…


レジスタンスエージェントの方へ

もしあなたが直近のEpiphany Dawn横浜に参加されたなら、エンライテンドとの差が確実に縮まっていることを肌で感じられたはずです。次も行きましょうね。そしてもし可能なら、今回は参加されなかった仲間を一人誘って連れていきましょう。きっと追いつける。いつか必ず勝てる。私はそう信じています。

もしあなたがしばらくIngressを離れているなら、久しぶりに一緒に遊びませんか?私もアノマリー当日以外はアクティブプレイヤーとは言いがたいですが、今も変わらずアノマリーは楽しいですよ。次のアノマリーがいつどこであるかはまだわかりませんが、お待ちしています。

もしあなたがアノマリーに参加したことがない人なら、「ゲームのイベントのために遠くに旅行するなんて信じられない」と思うでしょう。でも普段のIngressでは絶対に味わえない興奮と楽しさが、そこにはあります。できれば翌日のミッションデーと合わせて、ぜひ一度参加してみてくださいね。あなたの人生観が変わるかもしれませんよ。

もしあなたが地域コミュニティに参加している方なら、久しぶりに地域の作戦をしてみるのはいかがでしょう?一人では作れない規模の大きなコントロールフィールド(←三角形のこと)を作ったり、ノヴァ(←1つのポータルから放射状に多くのリンクを張ること)を作ることで、最近コミュニティに参加された方にも「大勢が協力して一斉にIngressをすることの楽しさ」を少しわかってもらえるんじゃないでしょうか。

もしあなたが地域コミュニティのリーダーなら、最近始めたプレイヤーにコミュニティのメンバーになってもらう動きはしておられますか?全てのIngressコミュニティの鍵だったGoogle+がなくなってもう3年半以上。その期間の大半がコロナ禍で、コミュニティとしての活動がしにくかったと思いますが、そろそろアフターコロナに向けて動き始めましょう。Ingressの地域コミュニティに入ることを嫌う方も、もちろんおられるでしょう。でもそれがきっかけで人生が変わる私のような人も、きっとおられます。とりあえずゲーム内チャットで話しかけてみませんか?

そしてもし、あなたの息子さんがSnow Manやキンプリのメンバーなら、息子さんに「Ingressってゲームが面白いよ、やるなら青でね」と宣伝してもらえるよう頼んでみてくださいね。


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