2003

2003という数字に特別な思い入れがある。それは何かというと、これが、自分でもよく分からないのであって、確か地元のゆめタウンにて、「2003」と書かれたTシャツか何かを見て、「ああ、今は2003年なんだなあ」と認識したのだ。本当にこれだけだ。2003年ということは、当時の俺は7歳で、7歳の頃に、2003という数字を見て、「ああ、今は2003年なんだなあ」と思った、というだけの話だ。その出来事を、もう20年以上もの間、記憶し続けている。当時、2003という数字が、歴史の上限であるような気がしたのだ。2003年より先に、西暦が進む気がしなかった。今は2003年で、2003という数字が歴史の最先端であり、これより先にさらなる未来が広がっているという事実が不思議でならなかったのだろう。だから、どれだけ時間が進もうとも、俺の魂はどこか2003年に留まっているというか、2003という数字から伸びているロープを腰に巻きつけてバンジージャンプをしているような感覚なのだ。2024年って。信じられやしない。20年と1年も経ってしまったのだ。

俺は1996年に生まれ、2003年に再び生まれている。1996年も遥かに昔だし、2003年も遥かに昔だ。1996年から2003年の間に生まれた、映画でも音楽でも文学でもなんでも、あらゆるモノを目の当たりにすると、言いようのない、単なる郷愁とはまったく違う、名のない感傷に襲われる。1995年以前のモノであれば、ああ自分は生まれていないね。と容易に片付けられるが、1996~2003の時間に関しては、生まれているはずなのに、ぽっかりとした空白に感じられるのだ。空白を感じるのも、生まれ、生きているからだ、といえばそれまでなのだが、とにかく、2003という数字に、俺の心は乱されている。20年余りも、ずっと乱され続け、時間を突き付けられ、何かから指を差されている。2003が確かに存在した。1996年1月15日から2024年の3月9日まで、あの日2003という数字を目撃したのは、2003年の何月何日だっただろう……。もしかすると2002年の年末だったりしたかもしれないが、目撃した日時など大して重要でもないのだろう。2003という数字を見た瞬間に、俺に時間が流れ始めたのだ。

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