キムチ鍋にキャベツを入れるのは正解か？

ナッシュという宅配サービスだか何だかの広告を目にすることが多く、その中で「一人暮らしの料理は割高」と言われている。俺は「そんなわけあるか、金持ちのタワケめ。どう考えても2人分作るより1人分作るほうが安く済むに決まってるだろ。定理をくつがえすなよ」と思っていたのだが、最近になって思うのは、一人暮らしの料理は割高だということである。

肌が汚すぎるうえに便秘だしたまにウンコが出るときは下痢に苦しまされるという一体何の罪に対してなのか分からない罰を受け続けて5年ほどになるが、それの解決策として長年アドバイスされ続けながら「そんなもので身体が良くなるなら大麻やコカインが流通するわけないだろ」と一蹴してきた、ビタミンや食物繊維を取るというのを最近本格的に試している。

試しているとは言ってもコンビニで飲み物を買うときパッケージに「ビタミン」と書かれているのを選ぶ、バナナを食う、野菜を食う、誠実に生きるといった程度なんであるが、これがプラシーボ効果というものか、なんだか肌がきれいになってきた気がするし、排便の回数も多くなった。3日連続で出た。一生懸命このしょうもない人生を思い返してみても、ウンコが3日連続で出たことはない。肛門を酷使しているように思え、不健康にすら感じられる。

ただ、野菜を意識的に食べようと心掛けながら西友に入店、ドーナツたちを目で犯しながら生鮮コーナーに向かうと、野菜の高さに目が飛び出てドーナツの穴を通り抜けていく。いや、野菜のでかさと言うべきか。俺の生活において基本的に作り置きという概念は存在せず、一度の料理ですべて使い切って腹いっぱい食って苦しくなって寝て深夜のキモい時間に起きて泣くのがルーティーンであるから、一度の料理ですべて使い切れるくらいの量で構わないというのに、3個入りで売られていたりデカいのがドンと298円で売られていたりキュウリが売られていたりして、まったく俺に関係がない場所なんである。色々な種類の野菜を同時に調理するのなんかとうてい不可能なのであると気付かされる。

特に俺は白菜が好きなので白菜を死ぬほど煮込んでジュルジュルにして食いたいのだが、白菜は4分の1カットでも多い。とても1度で使いきれず、8分の1になった残りをサランラップでくるみ冷蔵庫に入れて1週間くらいしてなんか黄色くなってて黄色くなりますって言えよバカと勢いよく捨ててしまうのだが、こんなことは良くない。しかし、白菜は食べたい。それなら白菜料理を週に2度行えばいいだけなのだが、俺は白菜と豚肉を煮ただけの質素な鍋が大好きで、しかし肉は高くて1食分の小間切れしか買えない。白菜と豚肉を煮た鍋を食ったあと、白菜だけを煮た鍋を食う気にはなれない。豚肉と同居することなくラップにくるまれた8分の1の白菜を見ても、薄気味悪くしか思えない。俺は事が終わった途端に冷たくなるカスの男なのか？そんな自己嫌悪に苛まれたくないから、もう白菜は買わないことにした。

白菜は買わないことにしたし、肉は高いから月に1，2度くらいしか買わないくせに、今日の俺の胃袋はキムチ鍋を求めた。しかし白菜も肉も入れられないとなると何を入れればいいのだろう。果てしなき問いに苛まれながらカット野菜のコーナーを見ていると、野菜炒め用のパックがあった。100円程度で、主にキャベツやニンジンの入ったものだ。キムチ鍋にキャベツとかニンジンってアリか？いや別にアリだろ、カタツムリを食うくらいなのだから、と自問自答を終え購入。西友オリジナルのキムチ鍋のつゆも一緒に購入し、帰路についた。

どうやら調べてみるとキムチ鍋にキャベツを入れるのはそう珍しいことでもないらしく、料理だってつゆとカット野菜があれば何も難しいことはない。鍋にぶちこみ早く食べたいから最強火で5分くらい煮込んで早速食べた。俺はもうかなしくなって、つゆが悪いのか野菜が悪いのか俺が悪いのか分からないけど、とにかくかなしくって、それくらい意味のわからない味で、結局一緒に買っていたドーナツで口を治したというわけでありますが、水を1日2リットル飲むのなんかムリじゃね？