クシャトリラはTier1デッキになれるか【遊戯王マスターデュエル】
こんばんは。
DCの時期は土日に仕事入りがち、草間大作です。
先月のDCでは「さくっと銅アイコン取れたらいいな~」と思っていたら29戦20勝(勝率68.9%)で本当にさくっと取れました。ありがてぇ。
「クシャって思ったほど強くないよね」と言われながらも、思ったよりも構築難易度が高くて奥が深かったことと、それに反したプレイング自体のお手軽さに魅了されてすっかりクシャトリラおじさんになってしまいました。
ところがクシャの1枚初動である「シャングリラ+アライズハート(+フェンリルorユニコーン)」という基本展開自体はマクロコスモス系の墓地封印を苦手とする【ティアラメンツ】や【ドラゴンリンク】等にはそこそこ圧があるものの、「フェンリルとユニコーンという高級食材を作って出て来た料理がこれ……?」と言わざるを得ないほど脆い盤面です。
が、クシャは展開がとても簡単で格下蹂躙が得意なデッキタイプなので、その微妙なデッキパワーに反して使用率は堂々の1位。ゆえにそこまで強くないのにガッチガチにメタられます。
そんなクシャの弱点といえば、「裏側除外」という妨害の“質”は高いものの、大体が相手の効果処理後に発生するため妨害の“速度”が致命的に足りないことに尽きるでしょう。
能動的に妨害を飛ばせるのがアライズハートぐらいなので、コントロール奪取や泡影等により一発で無力化されてしまいます。
特に魔法・罠による捲りに非常に弱いのは大きな課題です。
というわけでガッツリクシャメタに寄せた相手に対して無類のパワーを発揮する【トマラドン型クシャトリラ】をご紹介いたします。
新パック「シンギュラリティウォリアーズ」発売によって環境に【斬機】【@イグニスター】が増えると予想され、そちらへのメタを強めに意識しながら調整した型なのでぜひご参考ください。
トマラドン型クシャトリラ
さて、次期トップメタ候補として鳴り物入りで参戦した【クシャトリラ】でしたが、みるみるうちに化けの皮が剝がれてDC開始時点では既に「tier2~3ぐらいの微妙なデッキ」の烙印を押されていました。ディアブロシス返せ。
実際何も工夫せずに構築すると「フェンリルとアライズハート以外弱すぎだしこいつらも言うてそこまで強くないぞ……?」となりがちなので、各々使い手は紅蓮の指名者やら結界像、神の宣告などのパワーカードを引っ張ってきて無理やり弱点補強しているような構築が目立ちます。その構築理論なら普通に神碑とかメタビ使った方が強いだろ。
ところが、私の目指す最終盤面はこちらです。
クシャトリラどこいった?
デッキレシピ
(デッキレシピ)
この構築では「No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク」の成立から、「効果破壊耐性付きスプライト・エルフ+対象耐性が付与されたサベージ+バロネス+墓地にマスカレーナ(相手ターンにエルフで吊り上げ)」の3妨害+αの盤面を目指します。
展開ルートはこちら↓
さて、クシャの使い手の皆さんはご存じだと思いますが、テーマ屈指のパワーカードである「クシャトリラ・フェンリル」は実は純構築だと一枚初動になりません。
ところが上記トマラドン展開の成立を目指した場合、なんとフェンリルを1枚初動としてカウントすることができますので、初動の細いクシャを安定させるのに一役買います。
本来の【クシャトリラ】はユニコーン3、パライゾス1、探査車3の7枚ぐらいが純粋な1枚初動でしょうか。
確率にして約63%。探査車とパライゾスを一緒に引いて渋い表情をした経験のある方も多いでしょう。
いくら壺を積んでもこれでは厳しいです。
ところがフェンリルが1枚初動となったこと、さらにスモールワールドを搭載したことで、このデッキではフェンリル2、ユニコーン3、パライゾス1、探査車2、スモワ3の計11枚が初動になります(スモワは厳密には1枚初動ではないですが……)。
確率にして約82%。
約19%もの初動率の向上。
掛け値なくこれが一番のメリットです。
その代償として、
・幻獣機オライオン(ゴミ)の採用。
・EXデッキの圧迫(壺が採用できない。オライオンがいるので強貪もほぼ不可)
・致命傷になる誘発(トマホークへの泡影やG、ラドンへのうらら等)の増加
というリスクを受け入れる必要がありますが、万能無効を持たない故に魔法・罠に弱いクシャにとってはこのデメリットを遥かに上回るメリットがあると感じました。
クシャ使いなら誰もが三戦の才やサンダーボルト等を撃たれて怒りの感情に呑まれた経験がおありだと思いますが、これらをケアできるだけでも安心感がダンチです(東映版遊戯並感)し、実際に三戦サンボルを弾いて勝った試合は一度や二度ではありません。
おまけに3枚初動最大展開を紹介します↓
これで
・サベージによる万能無効(ターン1で計3回まで、対象耐性付き)
・バロネスによる万能無効破壊(対象耐性付き)
・エルフによるマスカレーナ吊り上げから相手を巻き込んでサロス特殊召喚(サロスにも墓地蘇生無効あり)
・フェンリルによる盤面裏側除外
・アライズハートによるフリチェ裏側除外+永続マクロコスモス
・シャングリラによる盤面封鎖+3ターン目のリソース確保
という盤面を作ることができます。
理想としてはここを目指しながら相手に誘発を吐かせ、冒頭の3妨害盤面or基本展開に着地してターン返すのがベストかと思います。
誘発の枚数について
永遠に答えの出ない問いではありますが、クシャは実は捲りがそこそこ苦手(手数が出せない)のため、コインに自信のないプレイヤーは拮抗勝負やサンボル、ラヴァゴなどのピーキーな後手用カードを採用していると思います。そういった択の中では三戦の才が先行でも使える関係上、最も丸い選択肢になるでしょうか。
しかし何度も言っている通りフェンリルを1枚初動にカウントできたとしてもクシャは初動が細く、スモワを腐らせることは自分の首を絞めることに直結します。
さらに捲りをほぼアーゼウスに依存する【クシャトリラ】では、完成した盤面を崩すよりも相手を中途半端な展開に留め、自慢のパワーカードたちを押し付けていく方が向いていると判断しました。
つまりここで、このデッキにおいてはなるべくモンスターの誘発を増やしながら構築するという構築方針が定まります。
となるとあとは枚数の問題ですが……
誘発1枚引ける確率が90%を超える誘発14枚ラインがベストかと思います。
約58.2%で重ね引きすることができ、後攻でもそこそこ抗うことができます。
スロットが余りがちなデッキにおいては基本的な水準かと思いますが、スロットが余らない【クシャトリラ】でも無理やりねじ込んでいきましょう。
というわけで、
初動10枚(78%)
手札誘発14枚(90%)
ゴミ1枚(12.5%)
を基本とし、あとは2枚引きで貫通になる札、そして相手の誘発を弾けるカードを搭載して安定感をアップさせていったのが本デッキというわけです。
なお、ドロバ、アトラクター、増Gのターンスキップ三銃士については、環境から【クシャトリラ】が減ってきたゆえの採用です。斬機(サーキュラー)に何かしらテコ入れが入るまではこのままでよいと思われます。
スモールワールドについて
純クシャではあまり見ないカードですが、トマラドン型クシャではフェンリルが一枚初動になったことでスモワのバリューが爆増しています。
というかこのデッキは手札1枚減らしてでもフェンリルorユニコーンにアクセスできなかったら終わりです。
具体的には「フェンリル・惑星探査車・増Gの三枚」が見事にトライアングルを形成しているため、ダブつくと腐りがちなこれらを一枚初動、もしくは最強手札誘発へと変換できます。
他には
・ライズハート→探査車→フェンリル
・うらら→ライズハート(ドロバ)→ユニコーン
・オライオン→ドロバ→ユニコーン
→増G→フェンリル
等のルートも優秀です。
スモワ中継リストはこんな感じです↓
なぜかパキケとアトラクターの攻撃力が同じなので、不要になりがちなアトラクターをフェンリルorユニコーンに変換できる択が生まれるのは嬉しいところ。
微調整案
バース、パーピヤス
従来は脳死で3ずつ入れてましたが、2枚初動かつ被り微妙なのでトーナメントならともかく連戦したときの安定感を考えるとどちらもそこまで枚数を採用したいカードではないです。
ただしこれらを素引きしてないと誘発が貫通できないので枚数設定には非常に悩まされますね。
このデッキはパーピヤスのX縛りが付くともうトマラドン展開に戻れないので、バース-パーピヤスのバランス的には3-1、2-1、3-2あたりでバース優先で調整していく見込みです。
3ターン目にパーピヤスが欲しい場面(ライズハートのデッキから除外も含む)ってそんな発生しないのでピンでも問題ないんじゃないかと思ってるんですが私だけですかね??
少なくともどちらも3枚採用はありえないと考えています。
レッドリブート
生成するのと被りが嫌でマスターパックの左側から出た1枚だけ持ってる現状なんですが、ラビュやメタビ系の後手が普通に厳しいので2採用もあり。
クシャはそれぞれの素の攻撃力の高さからキルもまあまあ狙いやすく、無理そうなら基本展開通りバロネスサベージを作りにいってリブートで伏せられた罠を割りにいけます。
ただまあ「それやるなら【斬機】でワンキルすればいいんじゃない?」感が凄かったのでとりあえず様子を見ます。
エフェクト・ヴェーラー
先述の通り本デッキはフェンリルが1枚初動になりますが、ヴェーラーを重ね引きしていると、1ハンデス入れたうえでトマラドンに移行できます。
……という理想論はあるものの、ヴェーラー通常召喚って動きが弱すぎんだろ。
【ピュアリィ】をはじめとして無効妨害が割と刺さる対面も多く、増Gを撃たれた際も、場に初動のフェンリルやユニコーンがいて手札にヴェーラーがいれば心理的に余裕をもってエンドすることができるのでだいぶありかなーと思いつつも、一方で【ラビュリンス】、【メタビ】等の全く刺さらない対面があるため慎重に調整する必要があります。
なおその枠にジェット・シンクロンを採用すると上振れが狙えますが、今のところ上振れより後手の勝率が欲しいので却下。
雷仙神
一周回って採用候補に挙がってきた1枚。
メリットとしては主に
①フェンリルorユニコーンを止められた時のフォローになる
②スモワの中継になる(ヴェーラー→雷仙神→ユニコーン)
の二点。
スモワ型の場合、ヴェーラーの増加と合わせて採用が検討できます。
ティアクシャやスケクシャが初手でダブついて非常に困った試合が何回かあったので、トマホーク成立に全てを懸けるならアリだと思います。
一方、ライフコスト面でリブートと微妙に食い合うので、罠パカやラビュの流行り具合を見て調整。
まとめ
Q.クシャトリラはTier1デッキになれるか?
A.無理です。
今のところ安定感、最大展開の圧、後手捲り性能のどれをとってもトップメタとはとても言い難い内容。
ただそもそもコンセプトとして墓地封印系に弱いデッキをメタれたり、構築単位(コントロール奪取等)でアライズハートを処理しようとするデッキに対しては本デッキならサベージバロネスで追い返せたり、まだまだ拡張の可能性があると思います。
【クシャトリラ】が使用率トップから落ちてメタから外れた時が本領発揮といったところでしょうか。
【ティアラメンツ】や【ピュアリィ】等とは異なり、一度構築さえ固めてしまえばプレイング自体はものっそい簡単でノンストレスなので、トーナメントを勝ち切るというよりかはリーグ戦のような長期的に戦い続ける形式に向いているデッキなのかもしれません。
おまけ
X(言い慣れない)で拝見したクシャトリラの素敵なイラストをご紹介。
※センシティブ判定ですが全然エッチでもグロでもないです。
「なんかこの関係性“良い”な」と思ってコメントを眺めていたら、「フェンリルとユニコーンだけは色んなとこに出張が多いからテーブルマナーに詳しい」というような解釈を見かけて目から鱗が落ちました。
なんか最近この真っ赤なおじさんたちに愛着感じ始めてるんですけど。
おわりです(性癖が)