安倍首相が国会を召集しないのは憲法違反なのか?憲法とは何か。
野党が臨時国会の召集を求めている。
これは憲法53条に基づいており、憲法53条は以下の通りですある。
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
決定しなければいけないと書かれているので義務規定であることは明らかであると思う。
判例として以下の通り沖縄地裁の判決がある。
やはり規定を満たした召集通知がある場合、召集することは義務であることは間違いない。
もう一つの論点として、いつまでに召集しなければいけないという規定がないから、まだ召集が行われていない今の状態は問題ないという議論がある。
これについては地裁の判決内容は召集時期に関する内閣の裁量も必ずしも大きいものとは考えられないとあり、意図的に内閣が召集時期を決めるのは法の趣旨には反すると沖縄地裁は判断している。
一方、報道では安倍内閣は10月に臨時国会を召集するというような事が言われている。
おそらく今の安倍総理の対応(野党の臨時国会召集要求に直ぐに答えない対応)は、憲法53条の趣旨には反しているだろう。
ただ実際に10月に召集して臨時国会を開くことが明確に憲法違反になるかというと微妙だと思う。
おそらく法廷で争ったとしても、明確に憲法違反という判決が出る可能性はかなり低いのではないかと考えている。(そもそも争っている間に10月になってしまうが)
明らかに憲法に反しているという疎明が難しいからである。(そもそも憲法の記載が曖昧だからそういうことになるのではあるが)
ちなみに憲法には罰則規定がない。
罰則規定がないから、憲法を守らないでも良いという考えは全くない。
憲法とは、権力を国家権力を制限して個人の人権を保障することが最も重要な目的と言われている。
憲法に罰則規定がないのは、おそらく明らかな憲法違反を犯すような政権は選挙という国民による洗礼によって変えられるという前提に基いているのだろう。
なお政権側から見ると、憲法53条は濫用される可能性がある危ない法律と見ることもできる。
憲法をそのまま読むと、いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求を満たせば、いつでも何度でも国会の召集を求めることができるとも読めるからである。(回数とかの明記が無い)
悪用しようと思えば、行政の妨害が可能なわけである。
もちろん今までそんなことはなかったし、そんな愚かなことをするところが出てくるとも思ってはいないが、可能性ベースではあり得るのである。
上記のような論点があるから、もっと明確に憲法に規定するべきであるという意見がある。(要求からどれぐらいで召集しなければいけないか、濫用できないような召集する要件など)
それについては、総論賛成である。
ちなみに私は右でも左でもないし、安倍総理支持の立場でもないし、安倍総理批判の立場でもない。
少し天邪鬼なので、大きな声(多数の声かどうかはわからないが)に対して反対の事を言うのが好きなだけである。