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ウクライナの初攻撃とロシアの核基準緩和 – 高まる地政学的緊張



はじめに

ウクライナ情勢を巡る新たな展開が、地政学的な緊張を一段と高めています。ウクライナは米国が供給した西側兵器を使い、初めてロシア国内の軍事施設を攻撃。一方、ロシアのプーチン大統領は核兵器使用の基準を緩和する大統領令に署名しました。これにより、世界的な金融市場にも影響が広がっています。本記事では、これらの動きを分かりやすく整理し、関連する市場の動向について解説します。


ウクライナ、初の西側兵器による攻撃

攻撃の詳細

11月18日、ウクライナ軍は米国から供給された長射程の戦術弾道ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃しました。ロシア国防省によると、この攻撃によりカラチェフの兵器保管施設が標的となった模様です。

ウクライナ参謀本部は攻撃を確認しましたが、使用した兵器についての具体的な情報は機密扱いとしています。一方、ロシア側はミサイル5発を迎撃したと発表し、死傷者の報告はないとしています。この攻撃は、バイデン米大統領がウクライナにロシア領内への限定的な攻撃を許可した後の初めての事例とみられています。

背景と影響

米国が供給した兵器がロシア領内への攻撃に使われたことにより、米露間の緊張も一層高まっています。これまでプーチン大統領は、西側製兵器を使ったロシア領への攻撃があれば、それは直接的な対決を意味すると警告してきました。この一線が越えられたことで、ロシア側がどう応じるのかが注目されています。


核兵器使用基準の緩和

プーチン大統領は、新たな核ドクトリンの改定を承認しました。通常兵器による大規模攻撃や、非核保有国が核保有国の支援を受けて攻撃を仕掛けた場合、核兵器での報復を可能にする内容です。この改定は、ロシアの安全保障政策における重要な転換点といえるでしょう。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、西側のミサイルを使った今回のウクライナの攻撃を「核保有国の支援を受けた非核保有国の攻撃」とみなす可能性があると述べています。これにより、核使用への警戒が国際社会で一段と強まっています。


地政学リスクが金融市場に与える影響

この緊張の高まりを受け、安全資産とされる国債や円、スイス・フランへの買いが進みました。具体的には、以下のような動きが見られました:

  • 米国債利回りの低下:各年限で少なくとも6ベーシスポイント(0.06%)低下。

  • 円の上昇:ドルに対し0.8%値上がり。

  • スイス・フランの高値:ユーロに対して8月以来の高値を記録。

一方、株式市場はリスク回避の動きが強まり、下落傾向を示しました。地政学的な不安定要因が市場心理に影響を与えていると考えられます。


まとめ

ウクライナによる西側兵器を用いた攻撃とロシアの核基準緩和という二つの大きな動きは、地政学的リスクを一段と高めています。このような緊張は、金融市場にも波及し、安全資産への資金流入やリスク資産の売却といった動きを促しています。今後の展開次第では、さらなる市場の変動が予想されます。引き続き、慎重な情勢分析と市場動向の注視が求められるでしょう。

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