
スタバ、2月15日から立地別価格を導入 約3割の店舗で値上げへ
はじめに
大手コーヒーチェーン「スターバックス コーヒー ジャパン」は、2025年2月15日から店舗の立地などに応じて商品価格を見直すと発表しました。コーヒーやラテといった定番商品を中心に、一部の店舗で税抜き4円から最大32円ほど値上げされ、値上げ率は平均4%~6%ほどになる見通しです。今回の措置は全国のスタバ店舗およそ1900のうち約3割が対象で、原材料費や人件費などのコスト上昇が背景にあります。本記事では、スターバックスの新たな価格体系の概要と、外食・宿泊業界における“ダイナミックプライシング”の事例としてのアパホテルの取り組みをご紹介します。
スターバックスの新価格導入のポイント
1. 対象店舗は全体の約3割
スターバックスは全国に1900余りの店舗を展開していますが、そのうち約3割で新たな価格体系が導入されます。具体的には以下の立地にある店舗が対象です。
高速道路のサービスエリアや空港など
税抜きで13円~32円(平均およそ6%)の値上げ
東京23区や大阪市内など都市部の一部店舗
税抜きで4円~28円(平均およそ4%)の値上げ
2. 価格据え置きの店舗が大半
値上げ対象店舗以外のおよそ7割の店舗では、価格が据え置かれます。利用者にとっては、同じドリンクでも立地によって価格が異なるという状況が発生するため、今後は店舗選択時に料金差を意識するケースが増えるかもしれません。
3. 値上げの背景
スターバックスは2022年以降、原材料費や人件費の上昇を受けて毎年のように値上げを実施してきました。今回の改定では、さらに立地や商圏の特性に応じた価格設定を加味しており、「定期的に価格を見直す中で、店舗の立地や商圏の特性を踏まえて総合的に判断した」というコメントが発表されています。
広がる立地別・変動型の価格設定
スターバックスのほか、日本マクドナルドやすかいらーくホールディングスといった大手外食チェーンでも、都市部と郊外で価格に差を設ける事例が増えています。背景には、下記のような要因が挙げられます。
都市部や特別立地(空港やサービスエリア)ではテナント料や人件費が高い
物流面でもコストが異なる場合がある
メニュー開発費やマーケティング費用を立地特性に合わせて回収する必要がある
外食業界全体でコスト増が続く中、売り上げを確保しつつ顧客ニーズに応えるため、店舗が置かれた環境に合わせた価格戦略が今後さらに進むと考えられます。
アパホテルに見る“ダイナミックプライシング”の事例
立地や需給状況に応じて価格を変動させる動きは、外食業界だけでなく宿泊業界にも顕著に見られます。その代表例のひとつがビジネスホテル大手の「アパホテル」です。アパホテルでは、「ダイナミックプライシング」と呼ばれる仕組みを導入し、宿泊料金を需要と供給に応じて日々変動させています。
1. 需要と供給のバランス
需要が高い場合
週末や連休、ゴールデンウィーク、花火大会やスポーツ大会などの大規模イベント時期は、旅行者や出張需要が集中します。そのため宿泊料金が上がる傾向があります。需要が低い場合
平日やシーズンオフなど宿泊需要が落ち着く時期は料金が下がりやすく、割引プランが出る場合もあります。
2. 空室状況と予約動向
予約が多い日程
空室が少なくなるほど価格は上昇しやすくなります。直前キャンセルや空室の増加
需要が予想より下回って空室が増えた場合、一時的に宿泊料金が下がることがあります。
3. イベントの有無・シーズン要因
大規模イベント開催
近隣エリアのホテルは一気に需要が集中し、料金が上昇しやすいです。観光シーズン
夏休みや紅葉、桜の季節など、観光客が増える時期も高めの価格が設定される傾向にあります。
これらの要因により、アパホテルでは“需要のある時に高めに設定し、需要が低い時は割安に提供する”という価格戦略を取ることで、収益の最大化と稼働率の向上を図っています。
まとめ
スターバックスが2月15日から導入する「立地別価格」は、高速道路のサービスエリアや空港などコストが特にかかる立地、あるいは東京23区や大阪市内などの都市部を中心に、定番商品の値上げを実施するものです。全国のおよそ3割の店舗が対象となり、値上げ幅は税抜き4円~32円、率にして平均4%~6%。一方、それ以外の店舗では価格が据え置かれます。
外食業界では、人件費や原材料費などのコスト上昇を背景に、立地や需要に応じた価格設定が進んでおり、宿泊業界ではアパホテルのように“ダイナミックプライシング”が一般的になってきています。今後は消費者側でも、利用するエリアやタイミングによって価格が変動しやすいという点を意識した上で、より賢い選択が求められそうです。